次曲のシーケンス・トラックが流れだしても、ステージに身を投げたままうずくまるyukihiro。立ちこめたスモークと乱反射するライトに視界を遮られながら、誰もが息を呑んでその動向を見守った。だが同じく床に転がっていたマイクを這うようにして掴むや怒声一発、「跳べ、オラァッッ!!!」。これに客席が応えないわけがない。残すところあと数曲、カオスでバトルな熱狂が空間を満たした。

圧倒的孤高と無二なる存在感を見せつけて再始動した<#1>、SHIBUYA-AXの夜から、<#2>の大阪BIG CATを挟んできっかり3ヵ月。acid androidが再び姿を現した。

◆acid android、ジェットコースター的展開の挑発的ライヴ~画像~

会場は初の赤坂BLITZ、当然ながらチケットは発売即日ソールド・アウトだ。平日にも関わらず、開場と同時に客席フロアがみるみる埋まっていく。さざめく空気。前回同様、いや、それ以上の期待が宿って膨張する。

この夜のyukihiroはいつになく挑発的だった。突き放しては指先一本で招き寄せ、煽るだけ煽ってまた置き去ろうとする。悲鳴、嬌声、ディストーション。寄せては返す波の如く、それらが場内を否応なしに熱くする。ステージに立つ4人も相乗して然り。セットリストも大胆に変わった。過去3作品からの楽曲に加え、随所に新曲を織り交ぜたジェットコースター的展開。新曲が差し挟まれることで既発3作それぞれの個性がより際立つから面白い。また、耳慣れない新曲に、前回までは“聴く”態勢だった観客も今やその轟音にごく自然に身を浸し、思うがまま揺れ踊っているのが印象的だった。

acid androidは馴れ合いを求めない。少なくともyukihiroはそうだ。予定調和を忌み、ステージと客席の間にはむしろ率先して一線を画す。それでいてけっして無頓着なわけではないのだ。ゆえに自分自身に対してもサディスティックな矛先を向け、徹頭徹尾のストイックさで空間に全身全霊を放つ。越えられない一線があるからなお互いの熱はひたすらに掛け合ってどこまでも募る。そうして昇りつめた結果がこの日のステージだ。端的に書けばいい夜だった。クールに徹した<#1>も、アグレッシヴに振り切れた<#2>もそれぞれ“らしかった”が、この特異かつ緊張感を孕んだ一体感こそがacid androidのライヴだったと改めて知る夜ではなかったか。結局、冒頭の咆哮以外にMCは皆無。だが、それでなんら不足はない。すべての音が消え、yukihiroが去った直後、客席から一斉に歓声と大きな拍手が起こった。

終演後ほどなくオフィシャル・サイトにてニュー・アルバムのリリースが告知されたことは既知の通り。今度はきっかり2ヵ月後だ。その間にも4本(!)のライヴが予定されている。この先のacid androidを待望せずにいる理由などもはやどこにもないだろう。

文●本間夕子/写真●三島タカユキ

<♯3>
5月13日(木)赤坂BLITZ

<♯4>
5月19日(水)なんばHatch
OPEN/START 18:00/19:00
チケット:1F立見/2F指定・ドリンク代別 ¥6,000
一般発売:2010年4月3日(土) *未就学児童入場不可
(問)キョードー大阪 06-7732-8888
http://www.kyodo-osaka.co.jp/

◆acid androidオフィシャル・サイト
◆acid android MySpace