【D.W.ニコルズ・健太の『だからオリ盤が好き!』】 第4回 「オレンジ・キャピトルの謎」

ツイート

さて、オレンジ・キャピトルの話に戻りましょう。

THE BANDのアルバムには、もう一枚、“オレンジ・キャピトル”がUSオリジナルとされているアルバムがあります。それが、1977年発表の『Islands』です。

『南十字星』の淡オレンジ盤と同様、これも音はイマイチ。ただこのアルバムは、THE BANDがキャピトルレコードに残ったリリース契約を消化する目的で制作した“やっつけ”アルバムと言われているので、まあイマイチな音もしかたがないのかなと思っていました。

ところがある日、なんと『Islands』の濃い“オレンジ・キャピトル”盤を見つけてしまったのです。聴いみるとやはり音がいい。元から持っていた淡オレンジよりずっと音が太いのです。そしてマトリクスも早い。ということはどうやら『Islands』もこの濃オレンジが1stプレスと思われます。酷評されがちな『Islands』ですが、僕はこれも大好きなアルバムなので、この音のいい濃オレンジ盤は本当に嬉しい発見でした。(写真上:『Islands』 US 2ndプレス、写真下:『Islands』 US 1stプレス)

しかし、『Islands』にも濃オレンジがあるということは…うーむ…。

『南十字星』は'75年、『Islands』は'77年発表。そして“オレンジ・キャピトル”のデザイン自体は'78年まで使われていました。どちらにも濃オレンジと淡オレンジが存在し、またどちらも1stプレスが濃オレンジだと考えられるわけです。しかし、一度、濃オレンジから淡オレンジに切り替わったものが、また濃オレンジに戻り、それから再び淡オレンジに切り替わる、ということはまずあり得ないと思われます。したがって、少なくとも『Islands』の1stプレスが出る'77年までは濃オレンジが続いたということになります。

…が。もしそうだとすると、淡オレンジは…。

『Islands』の1stプレスの後、すぐに濃→淡に切り替わったとしても、“オレンジ・キャピトル”自体が翌年の'78年で終了となるので、淡オレンジは'77から'78年という、ごく短期間でしかプレスされていない、ということになってしまいます。ところが実際には、『南十字星』にしろ『Islands』にしろ、巷で見かける“オレンジ・キャピトル”は、ほとんどが淡オレンジで、濃オレンジは滅多に見かけないのです。

これでは実際に出回っている枚数と、プレスされていたであろう期間の比率のつじつまがあいません。うーん、おかしいおかしい…。
この記事をツイート

この記事の関連情報