レディ・アンテベラムが求め続ける、永遠のポップ・ソング

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レディ・アンテベラムに対する認識が完璧に間違っていたことを、5月10日、NYタイムズ・スクエアに位置するノキア・シアターに入った瞬間に気付かされた。

ナッシュビル出身の若手実力派3人組、ファースト・アルバムは150万枚を突破。アメリカでは発売済みのセカンド・アルバム『ニード・ユー・ナウ』もグラミー賞を授賞し、ビルボードでは1位を獲得!売り上げは200万枚を突破し、なんと現時点でアメリカで最も売れているアルバムとなっているのだ。このCDが売れないと言われている時代に、確実に人気を伸ばし続けている彼らを、“カントリー”バンドと位置付けていたのだ。が、この会場に集まった2100人の熱狂的なファンの多様性に、その認識がまったくの誤解であったことに気付かされた。

ステージ最前列の立ち見席を埋め付くすのは、なんと10代前半の女の子達。「今日は私達の“パーフェクト・デイ”」という手書きのポスターを掲げる熱狂っぷりは、アイドルの追っかけそのものだし、しかも、彼らのことを、“レディ・エー”と呼んでいる。かと思えば、中程には、20代のOLやカップルが多数デートとしてやって来ている。さらに、後方のイス席に陣取る60代くらいの年配の方達は、歌をじっくりと聴きに来ている感じなのだ。

例えば去年600万枚という売り上げを記録したテイラー・スウィフトの『フィアレス』に似た現象でもあるのかもしれない。つまり、レディ・アンテベラムへの支持も、アメリカ王道の美メロ・ポップ・ソングとして最大公約数に届いているということなのだ。しかも、さらに驚いたのは、ライブでは、そのポップ性がより拡大されるということ。

もちろん「バンドとして初めて作った曲」と深情たっぷりに「All We'd Ever Need」などをアコギで披露する聴かせどころたっぷりの場面もあるのだが、始まりの「スターズ・トゥナイト」のノリと言ったら完璧にポップ・アクトそのもの。ヒラリーも、チャールズも、ステージを所狭しと駆け回るし、とりわけ「パーフェクト・デイ」などにおけるヒラリーのダンスと言ったらほとんどファーギー!全体的にもブラック・アイド・ピーズのシンガー・ソンガー版と言いたくなるようなパンチのあるパフォーマンスを休むことなく続けるのだ。

もちろん、デイヴのギター・ソロでロックンロール・ショーに展開する場面もあったし、見所、そして聴かせどころに溢れ、オーディエンスは常に大合唱という素晴らしいエンターテイメント性に溢れたステージであった。しかし、それでいて、今年を代表するポップ・ソングの1曲「ニード・ユー・ナウ」などに象徴されるように、最終的には、彼らの真髄が、フックの強いメロディと、心にじーんと染み込む歌詞、そして美しいハーモニーにこそ集結するというところが最大の強みでもある気がする。

彼らのライブを締めくくったのは、ザ・ビートルズの「ヘイ・ジュード」だったように、だから究極的に目指しているのは永遠のポップ・ソングなのだということをこの日のライブは象徴していたのだと思う。

中村明美(2010年5月15日)


『ニード・ユー・ナウ ~いま君を愛してる(原題:Need You Now)』
2010年5月26日発売
2,200円(税込) TOCP-66947

◆レディ・アンテベラム・オフィシャルサイト
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