BOOM BOOM SATELLITES、メンタルなイマジネーションを強く刺激する最新アルバム『TO THE LOVELESS』リリース大特集

ツイート

BOOM BOOM SATELLITES

最新アルバム『TO THE LOVELESS』2010.5.26 リリース

革新的なビート
美しく浮遊感あふれるメロディと歌
メンタルなイマジネーションを強く刺激する

INTERVIEW

――前作から2年半ぶりのアルバムということで、今回は制作にじっくり時間をかけたようですね。

中野雅之:たいがいの場合、アルバムが完成するともうすぐ次のを作ろうというムードになるんですけど、前作が完成した時点では「次の作品は時間をかけて作ろう」ということは決めていたと思います。リリース・プランを立てずに制作していたので、せかされることもなく、じっくりと取り組めたんですけど…やっぱり長かったですね(笑)。

――具体的なアルバムのテーマやコンセプトとして、何をやりたくて、時間をかけなきゃいけないと思ったわけですか。

中野:このところ、音楽業界の不況と共にバジェットが下がっていって、同時に巨大なコンソールに代わるコンパクトな制作ツールも出てきて、そもそも神聖なものだったレコーディングという作業やスタジオというものが文化として失われていく中で、粗悪なものが大量に出てくる状況を見て、いちリスナーとして残念だなと思っていたわけです。ここ3~4年は。ただコンピューターを使う新しい制作ツールというものは、クリエイティヴの面ですごく自由を与えてくれるので、あとはいかにぜいたくに時間を使ってプロダクションを高めるかが大事だと思ったんですね。大事に育てられていないプロダクションがどんどん世の中にリリースされている今、そこに対して、もっと愛情を深く注いだ完成度の高いものを聴いてもらわないと、リスナーもどんどん麻痺していっちゃう。そういう責任感が芽生えてきて、「今こそ丁寧に作られた作品が輝いてくるんじゃないか」という、そういうものを作らなければならないという使命感もありました。時間をかけて、繊細に、かといって複雑な精密機械のようなものではなく、ちゃんと情に訴えかけてくる、音楽としてエンタテインメントしてくれるもの。そこを目指して、制作はスタートしました。


川島道行(以下、川島):僕も、同じようなことを考えていましたね。音楽を作る機材がすごく安くなって、フレーズもいっぱい入っていて、「なんとなくそんな感じのもの」を作ることが簡単になって、それを聴いてもらうためにもインターネットとかがどんどん敷居を低くしている。そんな中で、本当に感動するような音楽になかなかめぐり合えていなかったので、「もっと音楽や言葉やアティテュードの深さをこれだけ大事にしている人たちがいる」という姿勢を示すだけでも、聴いてくれる人たちの想像力に訴えかけるんじゃないか、というところを期待して、頑張って作りこんだわけですけども。でも2年半かけてやっても、完成しきることはないんですよね。結局、それが届けられて、聴いた人によって音楽が完成されるんじゃないかな?って、それが自分が音楽から受けてきた恩恵だと思うし、僕たちもそれを返したいという思いもありました。

――アルバムの前半にアップテンポでダンサブルなもの、後半にスロー~ミッドで浮遊感のあるもの、という色分けがあるように聴こえるんですけど、それは意図したものですか。

中野:長いアルバムなので、曲順は相当考えました。前半に比較的アップリフティングなものが入っていて、後半にアルバムの深度がどんどん深くなっていくという、今出回っている音楽ではなかなか体験することのできない深さや広さがあって、リスナーはそこに潜っていくような浮かんでいるような感覚になって、最後は現実にスッと戻っていく。長い旅ができるアルバムの構成になっていると思います。後半はクロスフェイドも多用して、イントロとアウトロを曲順を決めたあとに作り直したり、最後の最後まで緊張しましたね。いい形に落とし込めて、ほっとしてます。

川島:最初に「BACK ON MY FEET」ができて、性急なビート感の中にたゆやかなメロディアスな要素があって、一聴するとアンバランスだけど、人の気持ちに深く分け入っていくようなムードが、すごく破壊力を持っているという確信を持っていたので。それがこのバンドの良さだと思うし、アップリフティングな曲もゆっくりな曲も、僕自身が感動しながら作っていけたというところはあると思います。


BOOM BOOM SATELLITESのプレイベートスタジオ全景

この記事をツイート

この記事の関連情報

*

TREND BOX

編集部おすすめ

ARTIST RANKING

アーティストランキング

FEATURE / SERVICE

特集・サービス