ケミカル・ブラザーズ、7thアルバム『時空の彼方へ』の強靭なサウンド

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18年のキャリアを誇るUK最大のダンス・アクト、ケミカル・ブラザーズ。彼らが通算7枚目となるオリジナル・アルバム『時空の彼方へ』を遂に6月9日(水)日本先行発売。6月5日には、<BIG BEACH FESTIVAL'10>にDJセットで出演のため来日し、日本でのケミカル現象はますます盛り上がりを見せている。このケミカル・ブラザーズケミカル・ブラザーズを検証するシリーズ。今回は、オリジナル・アルバム『時空の彼方へ』を中心に、彼らへのインタビューを織り交ぜて紹介しよう。

既存のポップ・ミュージックとは異なるフォーマットを提示しながら5枚連続でUKチャート制覇し、グラミー賞を複数受賞(「Block Rockin' Beats」「Galvanize」の2曲と『Dig Your Own Hole』『Push The Button』の2作)。メインストリームで結果を出しながら、時代時代に音楽的「気付き」を与える革新性をキープし続ける離れ業を成し遂げてきたアーティスト、それがケミカル・ブラザーズだ。

そんな彼らの最新作『時空の彼方へ』は、パッション・ピットやアニマル・コレクティヴ、MGMTらネオサイケ/エレクトロ・ポップ・サウンドを通過しながらも、慟哭とも呼べるような強いエモーションを喚起するようなメロディと、タイトル通り「トぶ」ことに全精力を傾けたような強靭なサウンドが聴き手を蹂躙するライヴ感溢れる作品に仕上がっている。取材に対してトム・ローランズはアルバム制作のポイントを次のように語っている。

「このアルバムは間違いなく僕らの要となる作品だ。僕らのアルバムは、例えばQ-TipやFlaming Lipsをフィーチャーした曲があれば、フルテクノみたいな曲があったりと、大半はミックステープみたいに様々なアイデアが盛り込まれている。今作がこれまでと異なる点は、最初から最後までが一貫して、共通の雰囲気、エモーション、サイケデリア・サウンドになるようなアルバムを目指した点にあるんだ。アルバムの収録曲の中には、前回のツアーの後半で既に取り掛かっていた曲もあって、ライブセットに組み込んでプレイしていたんだ。その時に僕らが作った曲だと知らなくても、その想いは十分観客に伝わった。スタジオの外でも成り立つ音楽だと感じたんだよ」

そしてアルバムのムードを統一することは序の口とばかりに、2人はこれまでとは異なるドラスティックな変化を求めることになる。それがこれまでの全てのアルバムで繰り広げたフィーチャリング・アーティストを排すること。もうひとつは全ての楽曲にライヴ・ヴィジュアルを担当していたアダム・スミスとマーカス・ライオールの映像をつけた点だろう。セールス面のアピールを考えれば、特にノン・フィーチャリングに関してはリスキーなチャレンジと言えるだろう。

「ステファニー・ダズンにはバック・ヴォーカルを担当してもらったんだけど、それ以外は誰ともコラボレーションしないって決めてたんだ。僕自身が歌ってるトラックもあるんだ。僕らの作品の中で最もヒットしたのはおそらく「Hey Boy, Hey Girl」と「Block Rockin'Beats」で、これらの曲はゲスト・ヴォーカルは起用していない。つまりアイデアがよくて人々の心に響くものであれば、必ずしもポップ・レコードの特徴に当てはめる必要はないし、そもそもヒット・ソングに絶対的なフォームはないと思うんだよ。だからリスクは気にしていなかった。むしろ僕らが新しいことに取り組めるチャンスとして捉えていたな。アダムたちの公演でのヴィジュアル部分を音楽と全面的にコラボレーションするのもそのひとつ。音楽ではなく映像というのが面白いと思ったんだ」

悲鳴のようなノイズが力強いサイケデリアを生み出す冒頭の「Snow」から12分にも及ぶ果てないエクスタシーをもたらす「Escape Velocity」。独特の揺らぎを持ったシンセで琴線を揺らす「Swoon」や、MGMTの新作と共振しそうなウェストコーストなサイケ感が耳を惹く「K+D+B」。怒濤のブレイクと共にスコールのようなシンセが解き放たれる「Another World」に「Dissolve」。『We Are The Night』で見せたメロディ、ビートのシームレスな融合とは対局。機材を極限まで追い込んで繰り出すメロディ、ビートの衝突が特大の恍惚を生み出し、体験する者を時空の彼方へと連れていく。

「シンセサイザーは常に僕らの音楽の核となる部分で、“Chmical Beats”と最初のアルバムで起用したEMS VCS 3は僕らの曲には欠かせない、基本となるシンセサイザーなんだ。僕は壊れかけた感じがする電子機器が好きなんだよ。それこそ東京に行く度にチェックしている。「Dissolve」は音が自由に解き放たれたような感じのするトラックだし、「Swoon」のブレイクは個人的にとても気に入っている。きっと面白いドラムブレイクを好む傾向が僕のDNAの中に組み込まれているんだろうね。僕らはアーティストたちが新しい音を試して何か違ったものを模索していた時代のアルバムが好きだし、僕らのアルバムにも同じスピリットを持ち続けて欲しいと願ってるんだ」

アルバムがリリースされる頃にはDJを披露するため、久しぶりの来日を終えている彼ら。DJプレイは勿論だが、2005年以来実現していない単独ライヴ公演も期待したいところだ。

「DJギグをやるためだけに遥々来日するのは僕らにとっても変な感じがするね。ライヴ公演は本当に是非やりたいと思っている。日本は世界の中でも、僕らが最も演奏したいと思う場所のひとつだからね。是非また来日してアルバムをフルに披露したいと思う。みんなの前で演奏することを心待ちにしているよ」

佐藤讓


『時空の彼方へ』
6月9日(水)日本先行発売
[スタンダード・エディション]CD
TOCP-66960 \2,500 (tax in)
[リミテッド・エディション<初回生産限定盤>CD+DVD+豪華36Pブックレット]
*DVD収録内容は全8曲のヴィジュアル映像
TOCP-66961 \3,800 (tax in)
[日本盤のみ]<初回生産分のみ>
ケミカル・ブラザーズ 最新ロゴ・ステッカー封入
ケミカル・ブラザーズ アーティスト・グッズが当たる応募券付
ボーナス・トラック1曲「DON’T THINK」収録―解説付
1.SNOW
2.ESCAPE VELOCITY
3.ANOTHER WORLD
4.DISSOLVE
5.HORSE POWER
6.SWOON
7.K+D+B
8.WONDERS OF THE DEEP
9.DON’T THINK (Japanese Bonus Track)

◆ケミカル・ブラザーズ・オフィシャルサイト
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