増田勇一の『今月のヘヴィロテ(5月篇)』

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6月もすでに中旬となり、東京方面もなんだか梅雨モードに突入。遅ればせながら5月に発売された新譜群のなかから「日々、聴きまくりの10作品」をご紹介したいと思う。

●DEFTONES『DIAMOND EYES』
●STONE TEMPLE PILOTS『STONE TEMPLE PILOTS』
●LOUDNESS『KING OF PAIN因果応報』
●MIKE PATTON『MONDO CANE』
●MELISSA AUF dER MAUR『OUT OF OUR MINDS』
●THE DEAD WEATHER『SEA OF COWARDS』
●PEARL『LITTLE IMMACULATE WHITE FOX』
●EXTREME『TAKE US ALIVE』
●WE ARE THE FALLEN『TEAR THE WORLD DOWN』(輸入盤)
●GODSMACK『THE ORACLE』(輸入盤)

こうして改めて書き連ねてみても感じることだが、5月はかなりの豊作だった。チ・チェン(B)の不在が気になるところではあるが、待望のデフトーンズの新作はこのバンドの魅力をストレートに伝えてくれる文句なしに強烈な1枚だったし、ストーン・テンプル・パイロッツの復活作についても妙な小賢しさや路線設定とは無縁の“まんま”な感じが痛快だった。ぶっちゃけ、スコット・ウェイランドの“家”はやっぱりこっちだ。

樋口宗孝(Dr)の他界を乗り越えて完成されたラウドネスの最新作は、収録曲の大半がレギュラー・チューニングで、しかも、あからさまなギター・ソロの類いが徹底的に排除された大胆な作風。そのぶん、逆にリフの重要性というものを改めて感じさせてくれる1枚でもある。これは画期的だし、今月下旬からの国内ツアーにも期待したい。

仮に「歌のうまい奇人」なんて番組があったなら間違いなく優勝候補筆頭であるはずのマイク・パットンによる『モンド・カーネ』は、イタリアン・ポップのカヴァー集で、当然ながら全編イタリア語で歌われている。まさに彼にしか作ることのできない、いろいろな意味で“すごい”としか言いようのないアルバムだ。

同様に「さすがはこの人!」と感じさせてくれたのが、かつてホール~スマパンの一員でもあったメリッサ・オフ・ダ・マーの新作。マルチでアーティスティックな才能の素晴らしさももちろんだが、このミステリアスな空気感がたまらない。かのグレン・ダンジグとのデュエット曲が収録されていたりするのも興味深い。

同じく才能のすごさと感性の鋭さという意味では、やはりジャック・ホワイト率いるザ・デッド・ウェザーの新作が強烈だった。前作以上に、他では味わえないものを確実に届けてくれたという印象だ。また、かのミート・ローフを父に持ち、アンスラックスのスコット・イアンの奥様でもあるというパールのデビュー作は理屈抜きに楽しめるロック・ヴォーカル作品だったし、地元ボストンでのパフォーマンスが密封されたエクストリームのライヴ作品は、とにかく臨場感が半端じゃない。DVDでも同時発売されているので是非チェックしてみて欲しい。

そして、基本的にこの場ではいわゆる日本盤を優先的に紹介しているのだが、とりあえず現時点において国内発売が決まっていない模様の輸入盤を最後に2作品。エヴァネッセンスの中枢だったベン・ムーディ(G)がアメリカン・アイドルのファイナリストだった女性ヴォーカリスト、カーリー・スミスソンらと組んだ新バンド、ウィ・アー・ザ・フォールンは、記録的大ヒットとなったエヴァネッセンスのデビュー作『フォールン』に思い入れ深い人たちには間違いなくマスト・アイテムとなるはず。もちろんエヴァネッセンスとは異なった色も持ち合わせているし、個人的にはこっちのほうが好きかも。そして信頼のブランド、ゴッドスマックの久しぶりの新作も説得力ありすぎ。もはや言うことなし、という感じだ。

さらに10選からは洩れたが、アズ・アイ・レイ・ダイイング、ソウルフライ、ルーファス・ウェインライト、カレン・エルソンなどもよく聴いた。そしてもうひとつ、DIR EN GREYのライヴ映像作品、『UROBOROS-with the proof in the name of living…-AT NIPPON BUDOKAN』の初回生産限定盤に含まれている4枚目のディスク(ライヴCD)が、実はデフトーンズやストーン・テンプル・パイロッツと並ぶ“超ヘヴィ・ロテ”だった事実を付け加えておきたい。

すでに6月リリースの新譜、7月発売予定新譜の試聴音源などで埋もれつつある今日この頃の筆者だが、次回のへヴィロテは、かならずや7月に突入後まもなくお届けしたいと思う。毎回、そう心に決めてはいるのだが。

増田勇一
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