音楽という言葉で互いを理解し共鳴し合う、テイ・チャー・シアン

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国際交流基金のプロジェクトで2008年に結成されたジャズ・バンド、UNIT ASIA。日本の気鋭のミュージシャン3人に加え、タイの第一線で活躍するサックス・プレイヤーと、マレーシアの新進気鋭のピアニストが参加するユニークな多国籍ユニットだ。これまで、東南アジアや日本でツアーを行なってきたUNIT ASIAが2010年5月末、新宿PIT INNで再びライブを行なった。そこで来日したメンバーの一人、テイ・チャー・シアンにマレーシアやUNIT ASIAでの活動などについて、話を聞いた。

◆テイ・チャー・シアン画像

――日本の読者に自己紹介をお願いできますか。

テイ:私はマレーシアのマラッカという町の出身で、高校卒業後はクアラルンプールのカレッジに行き、演奏活動を開始しました。その後、アメリカのウエスト・ヴァージニア大学の大学院でクラシックとジャズを専攻し、在学中にヤングアーティストコンテスト等を受賞しています。クアラルンプールに戻ってからは、大学などで生徒の指導をしたり、様々なグループのメンバーとして活動してきました。WVCトリオなど、自分のバンドのアルバムも何枚かリリースしています。

――2008年からUNIT ASIAのメンバーになって、いかがですか?

テイ:日本やタイのトップ・ミュージシャンと一緒に仕事をする機会を得て、とても光栄に感じています。メンバーからは音楽に対する真摯な姿勢など、たくさんのことを学び、本当にいい経験を積むことができました。

――それぞれのメンバーは、出身の国やバックグラウンドが異なりますが、とても仲がいいそうですね。

テイ:皆と初めて顔を合わせたのは、マレーシアだったのですが、最初はうまく意思疎通ができるか心配していました。しかし、リハーサルを始めてみると、すぐに息があって、まるで長い間一緒に演奏をしてきたように感じました。普段、話すときは英語を使いますが、英語で言いたいことを表現するのはむずかしい場合があります。でも、音楽的には私たちは話をしなくても、通じ合うことができる。音楽という言葉は、国籍やどこで育ったかといったことは、まったく関係ない。お互いの音を聞けば分かり合うことができるんです。

――子どもの頃はクラシック・ピアノを学んでいて、10代の頃にジャズに興味を持ったそうですが、ジャズの魅力はどんなところにあるのでしょうか?

テイ:私の家族は誰もジャズを聴く人がいなくて、母は中国の歌が好きでした。高校のとき道を歩いていたら、レコードショップから音楽が流れてきて、「これは何?」と思ったんです。ボサノバの「コルコバード」という曲だったのですが、すぐに店に入ってCDを買いました。それからは、このジャンルの音楽に夢中になり、たくさんの曲を聴きました。ジャズは、私や家族がそれまで慣れ親しんできた音楽と全く異なっていたので、とても興味を引かれ、その道に進むことになったんです。

――来日は今回で3度目だそうですが、日本の印象はいかがですか?

テイ:日本では、様々なことに驚かされます。電車は時間通りに来るし、町も清潔。私のような外国人が、日本国内を旅行しようと思っても、時間のことなど余計な心配をする必要がありません。日本の人は、何にでも真面目に取り組んで、物事がすべて予定通りに進みますね。

――村上春樹のファンだそうですが。

テイ:彼の小説は、高校のときから読み始めました。村上春樹もジャズが好きで、私がこの世界に関心を持ったのは、彼の影響でもあります。その他、村上龍のエッセーや片山恭一なども読みますよ。日本については小説だけでなく、奈良や京都のお寺にも興味があり、刺身やラーメンなどの食べ物も大好きです。

――本日はお時間をいただき、ありがとうございました。

Text: Emi Saito
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