te'、ツアー・ファイナルは身体で感じる音の洪水

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日本のインディーズ・シーンにおいて確固たる支持を集める残響レコード。そのレーベルを代表するバンド、te'(テ)が、2010年6月に4枚目のアルバム『敢えて、理解を望み縺れ尽く音声や文字の枠外での『約束』を。』リリース、7月からスタートした全国ツアーのファイナル公演を、9月18日渋谷CLUB QUATTROで行なった。

ヴォーカルがいないインストゥルメンタルのロック・バンドであるte'のライヴには、彼らの音楽を聴きに来る、というよりは“音を体感しよう”というファンが多い。この日も、1曲目の「勝望美景を愛し、酒食音律の享楽を添え、画に写し『世』に喩え。」から始まり本編全22曲。ステージ上のバンドも、そこから放たれる音を浴びる観客たちも、音の洪水の中で、身体で音楽を感じているようだった。

本編最後の「自由と孤立と己とに充ちた時代に生きた犠牲として訪れる『未来』」では、「インストのライヴですが最後に皆で大合唱して終わりましょう!」というベースのmasaのMCを受け、観客たちが“ラ~ララ~”と合唱で応える。バンドはインストなのに、歌は客席からという不思議な現象が、しかも自然に起こってしまう。

そうした本編終了ですでにかなりの達成感をもたらしたものの、2回のアンコールに応えてさらに6曲を演奏。バンドも観客も完全燃焼しきった、爽快な熱気が会場に溢れた夜だった。

現在、te'の過去3枚のアルバムをフルで収録した3枚組LPが、ドイツのレーベル「Denovali record」(http://denovali.com/)からリリースされている。

また、BARKSにて掲載中のムック逹瑯の対談連載「異種格闘対談-Ring【round2】-」最新回は、te'のギターhiroが登場。それぞれの音楽スタイルのことやバンド名の由来、さらに愛猫のことまで、“緊急ツイッター質問”も交えながらのバーリトゥードなトークが展開されている。ぜひ、こちらもチェックしていただきたい。

写真●森 久

【セットリスト】
1.勝望美景を愛し、酒食音律の享楽を添え、画に写し『世』に喩え。
2.人々が個を偉人と称する時が来れば彼は既に『傀儡』へと変わる。
3.天涯万里、必然を起こすは人に在り、偶然を成すは『天』に在り。
4.言葉を用いて奏でる者は才能に在らず、ただの記憶に『過』ぎぬ。
5.決断は無限の扉を開くのでは無く無限の誤謬に『終止符』を打つ。
6.性は危険と遊戯を、つまり異性を最も危険な『玩具』として欲す。
7.愛も信仰も同じ様に日々のささやかな勤行でのみ『維持』される。
8.具眼の士に検閲されることは、最も正しい『価値』の決定である。
9.詩はただ、病める魂の所有者と孤独者との寂しい『慰』めである。
10.沈黙中の表情にこそ、言葉選びに勝る本当の雄弁が『存在』する。
11.闇に残る遅咲きは、艶やかな初花より愛らしく『夢』と共になり。
12.逆さまにゆかぬ年月、幸福に最も近い消耗がまた『明日』も来る。
13.何らの苦しみにもあわずして、何人をも幸福とは『呼』ぶなかれ。
14.美しき旋律も、音を語る言を持たずしては心にも『留』めがたし。
15.夜光の珠も闇に置けば光彩を放つが白日に曝せば『魅力』を失う。
16.思想とは我々の選ぶものを見せず、我々の好むものを『見』せる。
17.秤を伴わない剣は暴走を、剣を伴わない秤は『無力』を意味する。
18.人間は自由なものとして生まれ、至る所で『鎖』に繋がれてゆく。
19.如何に強大な精神や力といえども知性なくしては『無』に等しい。
20.夢とは現実という平凡なものに付ける美しさに似た『嘘』の俗称。
21.『参弐零参壱壱壱弐伍壱九参壱伍九伍弐壱七伍伍伍四壱四壱六四』
22.自由と孤立と己とに充ちた現代に生きた犠牲として訪れる『未来』
Encore
En-1.他に寄せる信頼の大部分は、己の内に抱く自信から『生』まれる。
En-2.いつも好転する未来を望み、しかし時節の変化は「恐」れている。
En-3.意味の在る巡り会いを求めず、出会いに『意味』を見つけて行く。
Double Encore
WEn-1.己が分を知りて及ばざる時は速やかに止むるを『智』と言うべし。
WEn-2.我々は希望に従って約束をし、恐怖にかられて約束を『果』たす。
WEn-3.死闘、勇鋭、死憤、励鈍、倖用、待命、陥陳、勇力、必死、冒刃。

<Drums magazine Festival2010>
10月24日(日) DIFFER有明

<心響(HIBIKI) winter show case>
12月18日(土) 渋谷 O-East

◆「決断は無限の扉を開くのではなく無限の誤謬に『終止符』を打つ。」PV
◆オフィシャル・サイト
◆MySpace
◆「異種格闘対談-Ring【round2】-」
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