フィンランドの異端児、アポカリプティカ最新インタビュー

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9月22日に日本発売を迎えた待望の通算第7作、『セヴンス・シンフォニー』が各方面で好評を博しているAPOCALYPTICA。去る9月12日、オレゴン州ポートランドでの公演をもって幕を閉じたDIR EN GREYとのダブル・ヘッドラインによる北米ツアーの模様については以前にもお伝えしたが、今回は改めて、同ツアーの少し前に行なわれた、この最新作に関するインタビューをお届けすることにしよう。全米アルバム・チャートでも初登場で31位を記録している今作は、当事者であるメンバーたち自身にとっても非常に画期的な意味合いを持った1枚であるという。今回はこのバンドの創設メンバーの1人であるチェロ奏者、エイッカ・トッピネンが取材に応えてくれた。

◆「Wacken Madness」映像&アポカリプティカ・ライブ画像

▲今回のインタビューに応じてくれたエイッカ・トッピネン。
――まずは新作完成の手応えから聞かせてください。当然、満足していますよね?

エイッカ:もちろん大満足さ! そうでなけりゃ、リリースする必要もないからね(笑)。APOCALYPTICAのアルバムとしてまったく新しいスタイルのものになったと思うし、とても気に入っている。従来のアルバムにはなかった新しい要素がたくさん詰まっているし、楽曲もヴァラエティに富んでいて実にさまざまだ。俺たち全員、あらゆるタイプの音楽を聴いているから、実際に作る音楽にもそういった幅広さが出るのさ。まぎれもないクラシックもあれば、プログレ、ヘヴィ・メタル、シンフォニーもある。プロデューサーのジョー・バレッシによる音作りにも満足しているし、今回は実にさまざまなアンプやエフェクターを駆使しているんで、とても豊かで扇情的なサウンドになっている。しかも同時に、とてもオーガニックでナチュラルな音でもあるし、要するにダイナミックスがあるんだ。俺は、アルバムというのは壮大な旅のようなものであるべきだと思っているんだけど、きっとどの曲も、聴き手に新しい何かをもたらすことになるはずだと思う。

――前作『ワールズ・コライド』から3年近くが経過しています。これだけの時間を要することになった理由は主に何だったのでしょうか?

エイッカ:死ぬほどツアーしていたからだよ!(笑)『ワールズ・コライド』をリリースしてから、220本くらいライヴをやってきたんじゃないかな。その期間中、日本で1回しかライヴをやれなかったのは残念なことだけどね。とにかく、このブランクの理由はそれさ。通常、ツアー中には曲を書かないし、ツアーが終われば当然ながらオフも欲しいし(笑)。だからアルバムに取り掛かるには、しばらく時間が必要なんだ。あと、アメリカでのアルバム・リリースが他のテリトリーよりも半年遅れだったことも理由のひとつに挙げられる。結果、北米だけでも80公演くらいやったからね。それによって、さらにアルバムの寿命が延びることになったわけだよ。

▲髪を振り乱しながらチェロを弾くエイッカとペルットゥ・キヴィラーコソ。このバンドのライヴにおける象徴的な風景のひとつ。
――今作はある意味、とても両極端なところのある作品だと思うんです。インストゥルメンタル曲はいっそうインストゥルメンタル然とした、ヴォーカルの必要性を感じさせないものになっていて、逆にヴォーカルをフィーチュアした曲は、より“歌”に重点を置いたものになっている。それによって結果、このバンドの特性がこれまで以上に明確に打ち出されることになったと感じます。

エイッカ:そう言ってもらえてすごく嬉しいよ。それこそまさに今回、俺たちが目指していたことなんだもの。前作では、インストゥルメンタルになるのか歌モノになるのか、わからないままに曲をたくさん持ち込んだ。で、結果的にそれらの多くはインストゥルメンタルになったけど、必然的に歌モノと同じような構成になってしまったんだ。つまりヴァースがあってコーラスがある、みたいな感じにね。その結果、「この曲は素晴らしいインストだけど、ヴォーカルを入れたほうがいいんじゃないか?」みたいな意見をたくさん耳にすることになった。だから今回は、インストゥルメンタルはインストゥルメンタル、歌モノは歌モノとして、ハッキリと分けて書こうと決めたんだよ。そのほうがずっと両者とも際立った仕上がりになると思ったからね。俺たちのアルバムには常に多くのゲストが参加しているから、制作過程はパズルのように入り組んでいて、ゲストのスケジュールが合わずにアルバムから洩れてしまう曲というのもある。ただ、少なくとも“ヴォーカリストが決まらず余った曲をインストゥルメンタルにする”みたいな真似だけは避けようと思った。インストゥルメンタルの楽曲は、あらかじめインストゥルメンタルとして書かれるべきものなんだ。その判断は正しかったと今でも思う。

――今作で起用されているゲスト・ヴォーカリストたちについて、参加経緯や共演の感想など聞かせてください。まず、BUSHのギャヴィン・ロスデイル。

エイッカ:「エンド・オブ・ミー」という曲ができたとき、真っ先に彼の存在が思い浮かんだんだよ。俺たち、90年代後半にBUSHの曲のリミックスを手掛けたことがあってね。それ以来、彼の声やスタイルが大好きになった。それで今作には是非とも参加してもらいたいと思ったんだ。

――「ノット・ストロング・イナフ」にはSHINEDOWNのブレント・スミス、「ブロークン・ピーセズ」にはFLYLEAFのレイシーが参加していますよね?

エイッカ:うん。その2人には数年前にアメリカのフェスで知り合ってね。どちらも素晴らしいシンガーで、しかもいい人たちだということがわかっていたから、この機会に一緒にやりたいな、と。特に「ブロークン・ピーセズ」については女性ヴォーカルが必要だなと思ったし、FLYLEAFと俺たちは、アメリカでは好都合なことにレーベル・メイトでもあるからね。

▲3人のチェロ奏者+1人のドラマーという変則的な成り立ちのこのバンド。ちなみに写真はすべて9月4日、デンバー公演より。
――そしてアルバム中もっとも過激なナンバー、「ブリング・ゼム・トゥ・ライト」では、GOJIRAのジョセフ・デュプランティエが起用されています。

エイッカ:彼と俺は、同じフランスの音楽出版社と契約していて(注:GOJIRAはフランスのバンド)、その関係者を通じて知り合ったんだ。前作当時から一緒に曲作りをしているんだけど、今回はちょっとこれまでとは違ったタイプのヴォーカル曲をやってみたいと思ってね。この曲は、このアルバムのなかでも特に気に入っている。ものすごくファストでクレイジーで激しいんだけど、同時に非常に美しくて悲劇的だったりもするからね(笑)。

その“お気に入り”の楽曲を、まさか彼ら自身が北米ツアーのステージで、DIR EN GREYの京によるヴォーカルで再現することになるとは、エイッカ自身もこのインタビューが行なわれた時点ではまったく想像できずにいたに違いない。


文/撮影●増田勇一
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