MERRYが迎えた新たな“覚醒”の瞬間&新音源も続々と登場

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単なる変化や方向転換ではなく、進化であり深化。そして本当の意味での新章開幕。10月2日、東京・品川ステラボールにて<~The opening of a Decadence~disillusion from crisis>と銘打ちながら行なわれたMERRYのライヴは、ここ数ヵ月にわたってメンバーたちが各方面で熱っぽく語ってきた変革の意味が、むきだしのサウンドと彼ら自身のたたずまいをもって実証される機会となった。

◆MERRY、ライヴ@品川ステラボール 2010.10.2~画像~

ステージの中央に設置されたのは、このバンドのステージに欠かせないアイテムとして長年見慣れてきた華奢な学習机ではなく、どっしりとした革張りの椅子。しかも1曲目に据えられたのはこれまで一度もライヴで演奏されたことのない最新シングル曲、「クライシスモメント」(10月6日発売)。そうしたあからさまな過去との差異が象徴していたのは、さまざまな紆余曲折を経てきたMERRYが現在、しっかりと地に足の着いた状態にあるということ。装飾要素を排した無機質なステージでの、照明効果や映像のみを用いながらのパフォーマンスというのも、節目となるライヴではいつも必要以上の演出や仕掛けを盛り込みがちだった彼らの歴史を踏まえれば意外ではあった。が、それが結果、バンドと楽曲自体の存在感を際立たせることになったのは言うまでもない。

しかもMERRYの変革は、過去との決別とイコールで結ばれるものではない。「バラードではないバラード」とガラが形容する「クライシスモメント」に続いて炸裂したのは「頭がザクロ」、そして「ハライソ」。起伏の豊富なセットリストには定番曲から久しく耳にしてこなかったものまで、このバンドの歴史を彩ってきたさまざまな楽曲たちが盛り込まれていた。しかもそこで浮き彫りにされたのは、MERRYが新しい何かを獲得するために他の何かを捨てたわけではなく、すべての過去に意味があり、そのうえに現在が成立しているのだという絶対的な事実。コアなファンの間でも賛否両論を巻き起こした移籍後第1弾シングル、「The Cry Against...」にしても、フロアで極上の一体感に包まれていたオーディエンスには、もはや「ロストジェネレーション」や「ジャパニーズモダニスト」と同様に、とてつもなくMERRYらしい代表曲のひとつとして響いていたに違いない。

ライヴ本編を「クライシスモメント」のカップリング曲であり、ファンや関係者の間でも早くから「新たな名曲!」との声を集めてきた「Fleeting Prayer」で締め括ると、怒濤のアンコールへと突入。しかし「コールing」でふたたび5人が姿を消した後も拍手と歓声は鳴り止むことがなく、最後の最後には予定外の「T.O.P」を披露。約1時間40分に及ぶステージは、冷めることのない熱気のなかで幕を閉じることになった。

この夜のステージ上でネロの口から告げられたのは、早くも12月1日には「クライシスモメント」に続く新天地での第3弾シングルが登場するとの朗報。すでにファンの興味はそれを飛び越えて、12月29日に東京・渋谷AXで行なわれる昼夜2回公演のスペシャル・ライヴ、<MERRY SONIC10 WINTER~Special 2night [白い羊] [黒い羊]~>に向かっていることだろうし、それに先駆けて名古屋と大阪で行なわれる<10th オープニング セレモニー ~Smell of Decadence~>も見逃せないところだが、注目すべきはそれだけではない。

彼らが参加したニューロティカのトリビュート・アルバム、『ピエロとスイカと88ライダー』が11月10日に発売されることは以前にもお伝えしたが、それに続き、12月1日には、やはり彼らの音源が収録された画期的なアルバムがもうひとつ登場する。題して『ロマンチスト~THE STALIN・遠藤ミチロウTribute Album~』。THE STALIN時代のみならずソロ作品からの楽曲までもが網羅されたこのトリビュート作品は、遠藤ミチロウがこの11月に還暦を迎えることを記念して制作が進められているもの。MERRY以外にも、DIR EN GREY、BUCK-TICKから、戸川純、AA=、銀杏BOYZに至るまで、豪華絢爛かつ奇想天外な顔ぶれが参加者として名を連ねている。

ふたつのトリビュート作品、移籍後第3弾シングル、そして年末のスペシャル・ライヴ……と、結成10周年目のアニヴァーサリー・イヤー突入とともにめまぐるしさを増してきたMERRY周辺。今回のライヴに掲げられていたタイトルは「危機的局面からの覚醒」を意味していたわけだが、きっぱりとした覚醒を経た彼らの新たな波状攻撃は、まだまだ始まったばかりだ。5人がこれから描こうとしている、めくるめくようなストーリーを妄想しながら、まずは10月6日発売の「クライシスモメント」をじっくりと堪能したいところである。

文●増田勇一

~The opening of a Decadence~ disillusion from crisis
2010.10.02 sat 品川ステラボール

M 01 クライシスモメント
M 02 頭がザクロ
M 03 ハライソ
M 04 モノクローム
M 05 首吊りロンド
M 06 青年秘密倶楽部
M 07 月食
M 08 高層ビルの上でラストダンス
M 09 赤い靴
M 10 The Cry Against...
M 11 [human farm]
M 12 Friction XXXX
M 13 ロストジェネレーション
M 14 ジャパニーズモダニスト
M 15 Fleeting Prayer

EN1 Midnight Shangrila
EN2 不均衡キネマ
~NEROMC~
EN3 Charlie
EN4 妄想rendez-vous
EN5 コールing
EN 6 T.O.P

<MERRY SONIC 10 WINTER~Special 2night [白い羊] [黒い羊]~>
2010年12月29日(水)SHIBUYA-AX
[問]フリップサイド 03-3466-1100

<10th オープニング セレモニー CORE PREMIUM GIGS 2010>
2010年11月07日(日) 東京キネマ倶楽部
※CORE会員限定
[問]フリップサイド 03-3466-1100

<10th オープニング セレモニー~Smell of Decadence~>
2010年11月28日(日) 名古屋OZON
[問]サンデーフォークプロモーション 052-320-9100
2010年12月05日(日) 心斎橋CLUB QUATTRO
[問]大阪ウドー音楽事務所 06-6341-4506

<MERRY NEW SINGLE『クライシスモメント』発売記念 トーク&握手会>
10月9日(土) タワーレコード梅田NU茶屋町店
時間 18:00~
[問]タワーレコード梅田NU茶屋町店06-6373-2951
10月10日(日) タワーレコード名古屋近鉄パッセ店
時間 16:00~
[問]ソニー・ミュージックディストリビューション名古屋オフィス 052-221-8735
10月28日(木) タワーレコード新宿店
時間 19:00~
[問]タワーレコード新宿店 03-5360-7811

<little HEARTS. 2nd Anniversary「MY little HEARTS. Special Edition Vol.2>出演者(順不同):ナイトメア/MERRY/Lc5/Sadie/DELUHI/THE KIDDIE/SKULL
9月19日(日)Zepp Sendai
[問]キョードー東北 022-217-7788
9月25日(土)渋谷C.C.Lemonホール
[問]ディスクガレージ 03-5436-9600

『クライシスモメント』
2010年10月6日(水)発売
【初回生産限定盤】(CD+DVD) SFCD-0072~73 ¥1,890 (tax in)
<ディスク1> -AUDIO DISC-
クライシスモメント
Fleeting Prayer
<ディスク2> -DVD DISC-
クライシスモメント (MUSIC VIDEO)
The Cry Against... -bootlegged- *at 渋谷CLUB QUATTRO 20100807
オリエンタルBLサーカス -bootlegged- *at 渋谷CLUB QUATTRO 20100807
【通常盤】(CD) SFCD-0074 ¥1,260 (tax in)
<ディスク1> -AUDIO DISC-
クライシスモメント
Fleeting Prayer
クライシスモメント -UNPLUGGED -
*通常盤購入者特典
CORE LIMITED GIGS 2010 #1 ~「東京Decadence」~のダイジェスト映像が見れるパスワード発行
詳細は、商品帯裏で。

◆MERRY オフィシャル・サイト
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