すべてが完璧、倖田來未のビルボードライブ

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倖田來未によるビルボードライブ<KODA KUMI at Billboard Live ETERNITY ~Love&Songs~>が10月24日、ビルボードライブ東京にて最終日を迎えた。

◆倖田來未 画像@2010.10.24<Billboard Live TOKYO>

倖田來未といえば、東京ドーム公演も可能なアーティスト(現に12月5日には、自身単独公演2度目となる東京ドーム公演も控えている)。そんな彼女が、大きな会場での大規模な演出も含んだエンターテインメントショウではなく、あえて、倖田來未というヴォーカリストそのものの歌唱力、パフォーマンスに重きを置き、“歌”と向き合いたいという想いから企画されたのが、ビルボードライブだった。なお、六本木にあるビルボードライブ東京は、1公演のキャパシティーが300人。今回、東京と大阪合わせて日本人として最長となる8日間公演を行なった倖田來未だが、それでもこの公演に足を運べたのは計5400人に過ぎなかった(2010年春から夏にかけて行なわれた全国ツアー<KODA KUMI LIVE TOUR 2010 ~UNIVERSE~>が総動員数20万人であることを考えると、これがいかにプレミア公演だったかわかるだろう)。

日常から切り離された、ビルボードライブ東京の空間。照明が落ちると、ムーディーなベースラインとコーラスがオーディエンスを煽る中、倖田來未が2階から登場する。ウエスト部分がシースルーとなっているオリエンタルなモスグリーンのドレスを身にまとい、階段を一歩一歩ゆっくりと降りながら歌う最初のナンバーは、10月13日にリリースされた、自身初のカヴァーアルバム『ETERNITY ~Love&Songs~』収録曲「SWEET MEMORIES」。客席の間を通る途中には、手を差し出すオーディエンスと握手したり、そばにいた女性の瞳を見ながら、その人のためだけに歌っているかのようなファンサービスも。もちろん、自分の好きなアーティストに手を握られ、見つめられながら、目の前で歌われたその女性ファンが感激で涙ぐんでいたのは容易に想像できることだろう。

「みなさんこんばんは、倖田來未です。ビルボードライブ最終日ということで、ホント寂しいです。でも、こうして足を運んでくれて本当にありがとうございます。今日はビルボードなので、お酒も出てきますし、みなさんほろ酔いでいつもと違う倖田來未のライヴを楽しんでもらえたら、と思います。今日は“愛”をテーマに歌わせてもらいます。みんなと一緒に、楽しい一日を過ごせたらと思っています。」

短いMCが終わった瞬間に、それまでの「SWEET MEMORIES」の雰囲気を一転。紫の照明にシャンデリア、妖艶なムードを立ち込めさせて、同じくカヴァーアルバム『ETERNITY ~Love&Songs~』に収録された中森明菜のカヴァーで「TATOO」、さらに「Break it down」とハードにつなぐ。そして、インタルードを挟んでジャジーなナンバー「MORE」を熱唱した。ちなみにビルボードライブ東京に足を運んだことがある人ならわかるかもしれないが、この日、ステージ上方に設置されたシャンデリアは、よりラグジュアリーな雰囲気を演出するため、このライヴ用に持ち込まれた装飾だ。

また、実妹であるmisonoの楽曲「0時前のツンデレラ」のパフォーマンス前には、そのmisonoについても「彼女はとても歌がうまくて、歌詞もいいアーティストなんです。」と、コメントする。同じ世界に飛び込んできた妹のほうが、先に(day after tomorrowとして)ブレイクして、ずっと背中を追いかけてきたという倖田來未。そんなmisonoが綴った「0時前のツンデレラ」という作品ついて「自分の気持ちを素直に伝えられない、ツンデレの曲なんですけど、彼女はそういう性格なんですね。私はストレートに気持ちをぶつけてしまうんですけど。妹の歌詞は奥が深くて、読めば読むほどいろんなことを感じられるんです。」と分析・評価。一方、この曲を恋愛に関して“一番好きじゃなくても、二番目でもいい”と思うところがある妹・misonoが歌うと、がむしゃらな女の子の歌として聞こえるが、「私が歌うと不倫の曲になります(笑)」と発言して会場を笑わせつつ、ピアノの音色とともに、その妹の綴った深い女心を歌い上げた。

そしてビルボードライブ東京といえば、ステージ後方の窓から見える夜景。ライヴスタート時には閉められていたカーテンが開いたのは「愛のことば」のタイミングだった。倖田來未の歌声と後方に広がる夜景、そして「愛のことば」。“極上”“プレミアム”“ラグジュアリー”と呼ぶには完璧すぎるほどに、“すべてのパーツがそろった瞬間”を迎える。ステージまで0cm。文字通り最前列のシートにいる女性が差し伸べた手を握ったり、全体を見渡すというよりは、300人のオーディエンスひとりひとりの顔を確認するかのように目を向け、微笑みを投げる倖田來未。歌い終わると、会場は大きな拍手に包まれた。それはもちろん倖田來未に贈られたものだが、同時にこの時間、この瞬間に感謝するかのような温かい拍手だった。
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