ムック、豪雨の野音でツアー開幕、海外ツアーと武道館2daysも発表

ツイート

2010年10月6日に、1年7ヶ月ぶりとなるアルバム『カルマ』をリリースしたムック。“ディスコ・サウンドとデジタル・サウンドとヘヴィ・ロックの融合”を、実にムックらしく表現したこのアルバムは、1枚を通して、まさしく、“業=カルマ”を感じさせる作品であった。

打込みのみで構成されたデジタルなインストあり、ディスコ・サウンドあり、泣きのギターが胸を打つ往年のハード・ロックを感じるサウンドあり、ムックというバンドが結成当時から貫いてきた人間の感情を赤裸裸に描いた歌詞の乗った、アコースティックでも成り立つ歌モノありと、様々な形の楽曲たちが“カルマ”というテーマを軸に集まったこの作品を手にした時から、彼らが、この世界観をライヴでどのように届てくれるのかが楽しみでならなかった。

そして。2010年10月30日。彼らは“現在のムックの音”が詰め込まれた『カルマ』を引っさげ、日比谷野外音楽堂を皮切りに、いよいよ全国ツアー<MUCC Tour 2010 "Chemical Parade" >をスタートさせたのだった。

◆<MUCC Tour 2010 "Chemical Parade" >画像

しかし。ナントも不運なことに、初日でもあったこの日は、季節外れの大型台風とぶつかってしまったのだ。台風14号は関東地方を直撃し、18時から21時という、まさにライヴの時間を狙ったかのように強い風と雨を降らせたのだ。

各地でイベントや試合が中止になったというニュースが入る中、ムックからは中止を報せるインフォメーションは来ない。やる気だな、ヤツら。この悪天候を逆手に取り、この日しかできないライヴをしてやろうと勇んでいる4人の姿が目に浮かんだ。よし。それならこっちも受けて立とう。暴風雨で警報が出ている中、野音に向かった。

日比谷の駅はムッカー(ムック・ファン)たちで溢れかえっていた。野音の敷地内では傘がさせないことを承知しているムッカーたちは、持参した雨カッパを羽織り、会場へと向かった。

乳白色の雨カッパを、頭からすっぽりかぶったムッカーたちで埋め尽くされた緩やかな斜面になっている客席は、雪山を彷彿させる、白銀の世界にも似た実に美しい景色をそこに描き出していた。

17時30分。ライヴは定刻どおり、『カルマ』のオープニングを飾っていたSE「Chemical Parade」から幕を開けた。SATOち、YUKKE、ミヤが勇ましく、雨の中、ステージに登場すると、オーディエンスはいつも以上の大きな歓声を彼らに贈った。

続いて逹瑯。ピークだったのではないか? という程の強い雨の中、彼はステージ脇から、ステージギリギリの所まで一気に走り出ると、全身で雨を受けるように両手を横にめいっぱい伸ばし、空を仰ぎ、オーディエンスを挑発した。ゾクゾクするオープニングだ。もう、この瞬間、彼らとオーディエンスは、この悪天候を味方に付けたと確信した。

1曲目は「フォーリングダウン」。オーディエンスは彼らから届けられるサウンドに身を委ねるように体を揺らした。「逆にテンション上がるよな! これこそが、我々ムックのカルマでございます!」(逹瑯)。逹瑯がそう叫んだ後に届けられた曲は「零色」。この激しいナンバーに、ステージからも客席からも蒸気が上がった。続いては「ケミカルパレード」。曲中のデジタル・クラップに重ね、ライヴではオーディエンスの生のハンド・クラップが重要な役割りを担っていた。そんなライヴならではの光景が、曲の印象をまた別物へと変化させていたのがとても印象的だった。

アルバムの並びどおりに届けられたこれまでの流れを一気に断ち切ったのは、この直後だった。ナント。ここでまさかの選曲。いきなり「スイミン」が投下されたのである。まさか、ここで、このタイミングで旧曲の投入とは。予期せぬ流れにオーディエンスは歓喜の声を上げた。

予期せぬ流れに驚きを隠せなかったが、そこから続けられた「A.」「約束」「アイアムコンピュータ」という“現在のムック曲”たちへの繋がりも、実に不思議と溶け込んでいたのだった。いや。ここで「スイミン」を持ってきていたからこそ、音源の印象以上の深い静寂を「A.」に感じたのかもしれない。雨の中で聴くからこそ、“例えば今日が何時かの答えだろ?”という歌詞の1行が、こんなにも胸に深く入り今できたのかもしれない。そう思った。

ムックの音と歌詞は、彼らが音を発し、ムックとしてうぶ声を上げたそのときから現在まで、想像を絶するような大きな進化をし続けてはいるが、軸とする部分は、揺るぐことなくしっかりと貫き通されているのだと、この日のライヴを見て改めて感じたのだった。

本編ラストは「名も無き夢」。今の彼らが歌うからこその説得力を感じたこの曲と、今の彼らが歌うからこその大きな包容力を感じるアンコールラストの「フリージア」では、サウンド面はもちろん、改めて彼らの精神的な成長を感じた瞬間でもあった。

そして。彼らがステージからはけた後、スクリーンによって、2011年の1月15日から23日まで<“chemical Parade” in EURO>が決定していることが発表され、さらに、5月21日に<Tour “chemical Parade” FINAL>、22日に<MUCC history GIGS 97~11>と題し、日本武道館で2Daysライヴを行なうことが発表されたのだった。

久々の海外ツアーと新たなる試みでもある武道館2Daysを発表したムック。今日からの全国ツアーも含め、この先の経験が、またムックというバンドを、思いがけない方向に進化させてくれることだろう。

文●武市尚子
写真●畔柳ユキ

日本武道館2DAYS決定
ツアーファイナル&スペシャルライヴの2日間
<TOUR “Chemical Parade” FINAL>
2011年5月21日(土)日本武道館
OPEN 16:00 START 17:00

<MUCC history GIGS 97~11>
2011年5月22日(日)日本武道館
OPEN 14:00 START 15:00

チケット料金
  通常指定席券 ¥5,800(税込・指定席) 
通し券 ¥10,000(税込・指定席)
チケット一般発売日 2011年3月12日(土)
(問)ディスクガレージ 03-5436-9600

<ヨーロッパツアー “Chemical Parade” in EURO>
2011/1/15 Tochka Club / Moscow (Russia)
2011/1/17 Nosturi / Helsinki (Finland)
2011/1/19 Diesel / Budapest (Hungary)
2011/1/20 Backstage / Munich (Germany)
2011/1/22 Zeche / Bochum (Germany)
2011/1/23 Elysee Montmartre / Paris (France)

LIVE DVD
『WINTER CIRCUIT 2010 @NHKホール』
2011年2月14日発売
※2010年2月14日・17日に行われた東阪NHKホールツアー「WINTER CIRCUIT 2010」の模様を収めたDVDのリリース決定!

<MUCC Tour 2010“Chemical Parade”>
10月30日(土)日比谷野外大音楽堂
10月31日(日)日比谷野外大音楽堂
11月03日(水)水戸 LIGHT HOUSE
11月06日(土)札幌 PENNY LANE24
11月09日(火)青森 Quarter
11月11日(木)山形 MUSIC昭和Session
11月12日(金)仙台 darwin
11月14日(日)郡山 HIPSHOT JAPAN
11月17日(水)名古屋 Electric Lady Land
11月19日(金)大阪 umeda AKASO
11月23日(火)長野 CLUB JUNK BOX
11月25日(木)神戸 CHICKEN GEORGE
11月27日(土)高知 CARAVAN SARY
11月29日(月)広島 CLUB QUATTRO
12月01日(水)鹿児島 CAPARVO HALL
12月03日(金)熊本 DRUM Be-9
12月05日(日)福岡 DRUM LOGOS
12月07日(火)京都 FANJ
12月09日(木)岐阜 club-G
12月11日(土)新潟 LOTS
12月14日(火)千葉 柏 Drunkard's STADIUM
12月16日(木)東京 吉祥寺 CLUB SEATA
12月21日(火)沖縄 桜坂セントラル
...and more
チケット料金 ¥5,250 (税込・ドリンク代別)
※日比谷野外大音楽堂は¥5,800(税込)
◆チケット詳細&購入ページ

◆ムックオフィシャルサイト
この記事をツイート

この記事の関連情報

*

TREND BOX

編集部おすすめ

ARTIST RANKING

アーティストランキング

FEATURE / SERVICE

特集・サービス