【D.W.ニコルズ・健太の『だからオリ盤が好き!』】 番外編(第16回) ~オリ盤DJの全国ツアー~

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D.W.ニコルズの鈴木健太です。

11月、D.W.ニコルズは<ONENNIVERSARY TOUR>というメジャーデビュー一周年を記念した全国ツアーを行なっていました。新潟、仙台、札幌、福岡、広島、高松、名古屋、大阪、東京の全9都市を回ったのですが、ただライヴをするだけではなく、何か自分達らしい内容のものにしたいと考えました。

そのひとつとして、やはり雰囲気作りは大切なので、会場でのBGMを自分たちチョイスのものにしようということになり、それもどうせならトコトンこだわって、僕がこの趣味を生かしてアナログレコードでのラウンジDJをやってみようということになったのです。もちろん、オリ盤限定です。

もちろん、アナログのよさ、オリ盤の音のよさを少しでも広められたら、という意図もなくはなかったのですが、何よりも、とにかく少しでも雰囲気を出せれば、というのが、事の発端でした。しかしいざやってみて、色々と思うことがありました。せっかくなので、今回は番外編として、そんな話をしてみたいと思います。



まず、アナログでDJをやるということで、各会場にその機材があるのかを確認する必要がありました。ただ、ライヴハウスと言っても、DJイベントやクラブイベントで使われることも多いため、機材の心配はほとんどしていませんでした。

ところが、残念ながらそう簡単には事は運びませんでした。置いてあるDJ機材はCDJ(CDでDJができる機材)ばかりで、アナログのターンテーブルを置いているライヴハウスはほとんどなかったのです。正真正銘のクラブならさすがにそんなことはないのだとは思いますが…。時代の流れなのか、はたまた、CDJという手軽な機材があるからライヴハウスでもDJイベントやクラブイベントをやるようになったということなのか…。これは大きな読み違いでした。

結局、アナログのDJ機材を友人に借りることができ、それを全会場に持ち込んでオリ盤DJをやることにしました。が、実際の話、繊細な機械であるターンテーブルを他人に貸すのは勇気のいることだと思うのです。アナログでDJをやりたいという僕の意思に賛同してくれた友人に心より感謝しています。

その友人とアナログレコードについての話をしたときに彼が言っていた、もっともだなあと同感した話をひとつ。

「CDはなくなるかもしれないけどアナログレコードはなくならない」

その彼曰く、「MP3のデータ付きのアナログレコードという形態の出現が、それを不動のものにした」と。「アナログレコードにMP3のデータを付けたことで、アナログの、他に代替の効かない音質を楽しめるだけでなく、音楽をデータとして持ち歩く利便性も兼ね備えることを実現した。だから、決して主流にはならずともニーズはなくならない」とのこと。「なるほど」と、僕も思いました。

CDとMP3の音質の差に比べ、レコードとCDの、つまりアナログとデジタルの音質の差は比べ物にならないほど大きい。もっと言えば、CDとMP3の音質は比べることができるけれど、CDとレコードの音質は比較にさえならないのです。だからこれから先、もし本当に音楽をダウンロードで買うことが主流になったとして、デジタルであるCDは、MP3など他のデジタルのメディアに取って代わられようとも、アナログであるレコードは、デジタルのメディアでは代わりになりようのない絶対的なもので、それにMP3などのデータを付けることで、デジタルの利便性は補えてしまうのです。実際、日本よりも音楽のダウンロードの購入が進んでいる欧米では、有名・無名に関わらず様々なアーティストがMP3付きのアナログレコードでも新譜をリリースしているのです。

アナログの未来は決して暗くない。はっきりそう思います。

さて、オリ盤でのラウンジDJですが、ツアーの各会場で開場から開演までの30~40分間、Bob Dylan、The Band、Allman Brothers Band、James Taylor、Joni Mitchell、Neil Young、Jerry Reed、Jesse Colin Young、Jesse Winchester、Jim Croce、Dr. John、Eric Von Schmidt、Marc Benno、Ohio Knox、Paul Simon、Aretha Franklin、Otis Redding、Sam & Dave、Staple Singers、Eric Clapton、George Harrison、The Beatles等々、'60~'70年代の米国音楽を中心にかけました。でかい音で聴くオリ盤はたまりませんでした。あくまでもラウンジなので爆音でかけるわけではないのですが、家で聴くような音量とは比べ物になりません。個人的にはそれだけでもやった甲斐があるようなものです。

そして意外だったのがお客さんの反応です。正直言って、まったく期待していませんでした。これらの音楽に詳しい人もきっと少ないだろうし、何となくいい感じのBGMが流れてるなあって思ってもらえればそれでよし、というつもりでした。ところが、「この曲大好きです」とか「○○から△△への流れ最高でした」とか言ってくれる人もちらほらいて、それは予想外の嬉しい反応でした。

また、これもすごく嬉しかったと同時に少し驚いたのが、「全然詳しくないんですけど、これ何ていう人ですか?」などと、新たに興味を持ってくれた人が何人もいたことです。しかも最近の日本の音楽しか聴かないという人も多くて、やはりいい音楽というのは耳に入りさえすれば心に届くんだなあと感じました。

ある会場では、前回の連載でも取り上げたNeil Youngの『Heart Of Gold』の7インチのUSオリジナル盤をかけているとき、ひとりのお客さんが「僕が知っている『Heart Of Gold』と全然違います!」と話しかけてくれました。オリ盤にこだわった甲斐もありました。

このオリ盤DJ、機会があれば、いや、また機会を作って、必ずやりたいと思っています。

ただ、今回やってみて気付いた反省点もあって、それは盤質にもっと気をつけなきゃいけないということです。部屋で普通の音量で聴いている分には、ノイズがプチパチいっていてもそれほど気にならないのですが、今回のようにDJで大きい音で聴くと、思っていた以上にノイズが気になったのです。きっとそれは僕だけでなく、聴いているお客さんも気になってしまったはずだと思います。結局、実際にかけるレコードはそれなりに盤質の良いものに限られてしまい、持って行った中にはDJでは使えないレコードもたくさんあって、これにはとても悔しい思いをしました。

またオリ盤DJをやるということを考えると、これからレコードを買う際には盤質にもっと気をつけなきゃいけないようです。

オリ盤探求の旅はまだまだ続くのであります。

text by:鈴木健太(D.W.ニコルズ)

◆連載『だからオリ盤が好き!』は、D.W.ニコルズのアーティストページに順次掲載されます

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「イイ曲しか作らない」をモットーに、きちんと届く歌を奏で様々な「愛」が溢れる名曲を日々作成中のD.W.ニコルズ。
2005年9月に、わたなべだいすけ(Vo&Ag)、千葉真奈美(Ba&Cho)が中心となり結成。
その後、鈴木健太(Eg&Cho)、岡田梨沙(Drs&Cho)が加わり、2007年3月より現在の4人編成に。
一瞬聞き返してしまいそうな…聞いた事がある様な…バンド名は、「自然を愛する」という理由から、D.W. =だいすけわたなべが命名。(※C.W.ニコル氏公認)

待望のメジャー1st フルアルバム
2010年4月7日発売
『ONELBUM』(ワンルバム)
初回盤(DVD付)
AVCH-78012/B/3,000円(tax in)
通常盤
AVCH-78013/2,500円(tax in)

【CD】
01.B.D.K.
02.春風
03.ファミレス
04.SMOKE
05.グリンピースヌーピー
06.熱帯夜
07.太陽
08.サマーレイン
09.波待ちサーファー
10.マイライフストーリー
11.haleiwa
【DVD(初回盤のみ)】
01.マイライフストーリー
02.春風
03.B.D.K.

◆D.W.ニコルズ オフィシャルウェブサイト
◆D.W.ニコルズ MySpace
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