BUMP OF CHICKEN、いまを懸命に生きるために未来を見つめるニュー・アルバム『COSMONAUT』特集

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BUMP OF CHICKEN ニュー・アルバム『COSMONAUT』2010.12.15リリース

いまを懸命に生きるために 過去の記憶を大事にしながら 未来を見つめる

INTERVIEW

──前作『orbital period』から3年、ついにニュー・アルバム『COSMONAUT』が完成しました。この作品に対していま抱いている率直な思いを聞かせてください。

藤原基央:音的なことは、まだ客観的にはなれないんですけど、これまでと違うところは、(デモの段階で)曲がまとまって生まれていたことで。なので、集中していっぱいスタジオに入って作った曲たちがこのアルバムに収められています。その環境は僕らにとってとてもよかったし、すごくいい状態で作れたアルバムだなと思います。僕が最初にひとりで曲を書くときも、みんなでレコーディングするときも、すべて作品を聴いてくれるリスナーがあってこそのことなので。やっとそこまでくることができたんだなと思います。

升秀夫:バラエティに富んだ曲が入っているんだけど、すごく作品としてまとまりのあるアルバムになったなと思います。聴いてもらえることがうれしくてしょうがないです。

直井由文:僕も升くんと同じでバラエティ豊かなアルバムになったと思うし、すごく楽しいアルバムだなと思います。

増川弘明:まだ全体を通してこうとは言えないんですけど、1曲1曲、ものすごい曲が集まっているなと思います。

──先行シングルで予見できたように、幼少期の記憶を起点に、いまや未来を見つめるソングライティングの視点こそが、本作の出発点になったと思います。そこに視点をシフトしたからこそ書けたことは何だと思いますか?

藤原:まず、懐古主義っていうんですかね、過去を懐かしんで、“あのころはよかった”っていうのとはまったく違うモードなんですよね。

──むしろ真逆ですよね。

藤原:そうそう。いまを生きるためにちゃんと僕らはそれを確認しなきゃいけなかったことがあって。で、逆の言い方をすると、確認できたから、いまに還元されて、そこから見えた未来みたいなものもあって。結局僕らメンバーはとことん一緒にいるし、このバンドでやるべき音楽は、バンドのいまを象徴した曲を出すことなんだなって思いました。あらためて、そういうことを認識しましたね。「宇宙飛行士への手紙」とか「ウェザーリポート」とかそういう曲ですね。

──あと「透明飛行船」もまさにそういう曲ですよね。疾駆するサウンドとともに幼少の記憶がフラッシュバックしながら、いまを生きる主人公を鼓舞するような歌になっている。

藤原:そうですね。人間という生き物として、結局本質的なことは本能的なものであるはずだから、過去にあったことも必ずいまに──まあ、これは歌詞のなかで唄っていることなので置いておきましょう(笑)。でも、ホントにそうやって過去を基軸にして、何かを唄っていくという手法の歌詞は、最初の数曲に必要でした。

──アルバムで最後に生まれた曲は、オプニング・ナンバーの「三ツ星カルテット」なんですよね。BUMP OF CHICKENというバンドの存在そのものが曲になったようなこの曲はどんな思いで書いた曲ですか?

藤原:これ、なんで書いたんだろう……。確かに「三ツ星カルテット」はめちゃめちゃいまのBUMP OF CHICKENのことを意識していて。バンドの曲を書こうというわけではなかったんですけど、この曲を書く前にスタジオで、熱っぽく自分たちのことをみんなで話し合うような時間があって。その次の日にポコンと生まれた曲なんです。

──ゴスペルの色合いが添えられている「angel fall」は、鎮魂歌と生命讃歌を同時に響かせるような感触があります。

藤原:この曲については……ザックリとさせておいてください。焦点が当てにくい曲なんですよね・・・(笑)。

──全面的にリスナーの想像に委ねたい?

藤原:そうなんです。音の話はできるんですけどね。僕がハネもの系の曲を書きたいなと思っているときに、プロデューサーから「ゴスペルを書いてくれ」というリクエストをもらって。その両方を再現しようと思ってつくったんです。

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