【D.W.ニコルズ・健太の『だからオリ盤が好き!』】 第17回 『ROGER TILLISON'S ALBUM』と名盤リイシュー企画

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D.W.ニコルズの鈴木健太です。

さて今回からいつもの連載に戻ります。と言っても今回の話は、久しぶりにオリジナル盤ではないレコードを買った話。

オリ盤の魅力に取り憑かれてからというもの、レコ屋に行ってもオリ盤以外には見向きもしなくなっていた僕ですが、つい先日、オリ盤ではないどころか国内盤のレコードを買いました。そのレコードとは、これ。ROGER TILLISONの『ROGER TILLISON'S ALBUM』。


今ではSSW(Singer Song Writer)系やスワンプ系の“名盤中の名盤”と言われるこの作品。1971年にAtlantic傘下のATCO Recordsからリリースされたものの、これといった評判にはならなかったため日本では発売されませんでした。しかし彼を知る熱心な音楽通の間では非常に高く評価され、当時、“幻の名盤”とさえ呼ばれていたのです。

'70年代後半、Atlanticの日本での配給会社であるワーナー・パイオニアが日本未発売の名盤たちをリイシューした『ロック名盤復活シリーズ』によって、ようやくこの作品の国内盤レコードが発売となり、日本での認知度も上がって再評価されました。また'90年代後半には、同じくワーナーの、今度はCD化されていない名盤たちをCDでリイシューする企画『名盤探検隊』シリーズで取り上げられ、再再評価されました。実は僕がこの作品を知ったのも、その『名盤探検隊』によってCD化されてからのことです。

朴とつで味わい深いRoger Tillisonの歌と、それに絡むJesse Ed Davisのギター(スライドも素晴らしい)。そしてそれを支えるLarry Knechtelのオルガン、Billy Richのベース、Jim Keltnerのドラムはしっかりとした重みもあり説得力十分。また、Jesse Ed Davisによる土臭く男臭い南部感覚溢れるサウンドプロデュースもとても素晴らしく、この作品の肝となっています。これほどの名盤と讃えられているのは、彼の手腕によるところも大きいと言えるでしょう。

CDでこの作品を初めて耳にしてから数年の後、オリジナル盤の魅力にすっかり取り憑かれた僕は、当然の如くこの作品もオリ盤で欲しくなりました。しかし、今となっては広く評価を得ているこの作品でも、リリース当時にそれほど評判にならなかったということは、やはりセールスも伸びなかったということであり、それはつまりプレスされた絶対数も少ないということなのです。そのためレコ屋をしていてもこの『ROGER TILLISON'S ALUBUM』のオリ盤にはまったく出会うことができず、何度かネットで見つけましたが、なかなかの高値がつけられていて買うには至りませんでした。

しかし諦めることなく、レコ屋へ行けば必ず探していたところ、その『ロック名盤復活シリーズ』の国内盤に出会ったのです。普段ならまず見向きもしない国内盤ですが、この作品に関しては、値段によっては国内盤でも構わない、とにかくアナログで聴きたいと思っていたので、今回ばかりは心躍りました。

ちなみにその気になる値段は何と3ケタ(数百円)! そして検盤してみると、盤はピカピカ、まるで新品のようなのです。まさにミントコンディションってやつですね。ライナーを見てみると<=ロック名盤復活シリーズ =>とあり、小倉エージ氏の解説が載っています(確かこの『ロック名盤復活シリーズ』は小倉エージ 氏監修だったはず)。ということは、これは日本盤におけるオリジナル盤、言うなればJPオリ盤といったところ。まあJPオリジナルと言っても、基本的にUS / UKオリジナルの音とは雲泥の差があると言っても過言じゃないのですが、それでもアナログはアナログ。CDでは感じられない味わいがあるはずなのです。
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