亀井絵里、ジュンジュン、リンリンの卒業と、モーニング娘。という名の“家族”の絆

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<モーニング娘。コンサートツアー2010秋 ~ライバル サバイバル~>ファイナルが12月15日、横浜アリーナにて開催された。すでに報じられているとおり、この公演をもって、亀井絵里、ジュンジュン、リンリンが約1万人のファンに見守れながら卒業。会場には、8人体制のモーニング娘。のラスト、そして3人の卒業を惜しみつつも、新たな旅立ちを祝福するために集まったちびっ子から制服姿の女子高生、そして多くの男性ファンらがつめかけたほか、モーニング娘。のOGメンバーやハロー!プロジェクトの後輩ら、そしてプロデューサーのつんく♂の姿もあった。

◆モーニング娘。画像@2010.12.15 <ライバル サバイバル>ファイナル

早くも激しい「えりりん、ジュンジュン、リンリン」コールが響く公演前。そして“3人の卒業公演”が幕を開けた。

1曲目はハードなダンスパートが加えられ、横浜アリーナのステージでは炎も吹き上がった「そうだ! We're ALIVE」。ミリタリーを意識した衣装に身を包んだモーニング娘。による、完璧なフォーメーション、完璧なダンスパフォーマンスで、オーディエンスは冒頭から思わず息を飲む。仮にこれまでモーニング娘。のライヴを観たことがなかったファンがあの会場にいたならば、テレビラジオ、雑誌などでは伝わりきらないモーニング娘。の凄さ、クオリティーの高さをこれでもかと見せつけられたことだろう。

6期メンバーの3人(田中れいな、道重さゆみ、亀井絵里)のMCコーナでは、亀井が道重の家に泊まりに来た時、パンツ一枚でうろついて、なかなかお風呂に入ってくれなかったという“爆弾”を最後に爆発させ、亀井がステージ上で崩れ落ちたり、また、新垣里沙が楽しそうに亀井絵里をハグした「強気で行こうぜ!」で、GAKIKAMEの見納めに一抹の寂しさを感じる。とはいえ、メンバーは、今回が卒業公演だからと気負うことなく(もちろん、それぞれの胸の内には様々な想いが溢れていたには違いないが)、巷に溢れかえるアイドルグループのライヴとは明らかに一線を画す“いつも通りのモーニング娘。のライヴ”を展開しているように見えた。

一方で、これまで8人が送り出してきた卒業生たちと、亀井、ジュンジュン、リンリンの卒業は状況が異なっているのも事実だった。ジュンジュンとリンリンは、自分たちの故郷である中国に戻り、亀井絵里は芸能活動を休止。モーニング娘。を卒業しても、同じ事務所(もしくは系列の事務所)で芸能活動を続けているOGのメンバーとは異なり、この3人は、モーニング娘。を卒業してしまったら、簡単には会えなくなってしまう。離れ離れになってしまう。8人のメンバーが、当然この認識を持っていたことは、この日の卒業公演に限らず、今回のツアー中、様々な会場でメンバーが涙を見せていたということからもうかがい知れるはず。もちろんそのため、ツアーにかける気合いも普段以上のものがあったのは、新垣がライヴのMC中に述べたとおりだ。

ライヴの中盤に用意された、卒業する3人のメンバーからの手紙の朗読と、思い入れのある楽曲をソロで披露するコーナー。ジュンジュンは、自身の想いを綴った手紙の中で、メンバー、ファンを含めて「家族」と表現した。またリンリンは、「私は一人っ子政策の子供だから」と語って会場の笑いを誘ったが、この発言も裏を返せば、メンバーやスタッフ、ファンのことを姉妹や家族のような存在として感じていた、ということだろう。

中国などのアジア圏では、“家族”という存在に対し、日本よりもさらに重きを置く。家族という関係は尊いものであり、時にその意見は個人の意見をも凌駕し、尊重される。つまり、リンリン、ジュンジュンにとってモーニング娘。という存在は、家族という言葉で言い換えられるほどに深い絆で結ばれたものだったのだ。

それはもちろん亀井絵里も同じ。6期メンバーとしてモーニング娘。に加入し、高橋 愛、新垣里沙の5期メンバーと、同期の道重、田中、そして後輩たちと、苦楽をともにした。病気を完治させるために卒業という道を選択した彼女にとって、卒業発表とは、同時に自身の弱い面を世間に発表するということ。「本当に怖かった。でもメンバーがいてくれた。」と、卒業発表までの日々について言葉少なに語ったが、この時期に亀井自身が抱いていた恐怖心は、「本当に怖かった」というフレーズで我々が想像でき得るものよりも、はるかに大きなものだったはずだ。しかし、そんな亀井を支えたのは、ほかでもない、仲間であるモーニング娘。の存在だった。
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