クミコ、「禎子ちゃんの思いを伝えるのが私の使命」

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2010年大みそかの第61回NHK紅白歌合戦に初出場するクミコが、12月20日紅白で披露する「INORI~祈り~」のモデルになった広島原爆の被爆少女・佐々木禎子さんが眠る「妙静寺」を訪れ、墓前に手を合わせた。紅白出場を報告したクミコは「禎子ちゃんの思いを伝えるのが私の使命。心を静かに、自分の使命を果たすべく歌いきりたい」と思いを語った。

◆クミコ画像

「INORI~祈り~」は2歳で被爆し12歳で死去した少女・禎子さんの甥である祐滋さんが制作した反戦歌。2009年秋に祐滋さんから歌ってほしいと依頼がきた際、茨城県出身のクミコは、身内に被爆者もおらず、原爆のことを書籍などでしか知らない自分が歌っていいのか迷ったという。しかし祐滋さんから自身が被爆二世であること、関係者だけでなく第三者に戦争や原爆のことを伝えていきたいという思いにうたれ、歌うことを決意した。

6月6日には米ニューヨークのセントラルパークで行なわれた<JAPAN DAY>で同曲を披露。この際、在米被爆者の笹森恵子(しげこ)さんと出会い、ケロイド化した肌に触れた。「原爆は人間の身体をこんな風に犯すのか」と書物の中にはない現実を目の当たりにし、歌い継ぐことの必要性を再確認したという。

楽曲では禎子さんが元気になる日を信じ、病床で折り鶴を折る日々を歌う。CD発売に合わせ折り鶴を募る「INORIプロジェクト」を設立。自らも折り鶴を折る中で、「痛みが襲う生活の中で、唯一の光が折り鶴を折ることだったのだと思う。当時は紙も高級だったから、飲み薬のセロファンを5センチ四方に切り幾つも幾つも折っていた。折ることに集中することで痛みを忘れたのかもしれませんね」と思いをはせた。

ファンらから募った折り鶴は6万5000羽にも及んだ。膨大な鶴を前に、祈りが少しずつ広がっていることを実感。集まった鶴は原爆が投下された8月6日に、禎子さんの銅像がある広島平和記念公園に届けた。「折ることは祈ることと、小さな鶴を見て感じた」。歌詞にある「二度と二度と辛い思いは 誰にもしてほしくはない」と胸に「平和への祈りを歌い継いでいきたい」と力を込めた。

取材・文●西村綾乃

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