タワレコがショパンを力いっぱい応援「実はショパンはその裏にとてつもないものを隠し持っていたりする(笑)」

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ショパン生誕200年のショパンイヤーも大詰めの中、『タワーレコード・ショパン・スペシャル・キャンペーン応援隊長』の7人目、そして最後の応援隊長に、新鋭ピアニスト山本貴志を任命。記念してインタビューでたっぷりと語っていただいた。

◆山本貴志画像

山本貴志は、第15回ショパン国際ピアノコンクール第4位入賞し、2006年1月にショパン・コンクール受賞コンサートで、ワルシャワ・フィルとともに日本各地で演奏。7月には、ポーランド・ショパン協会主催でショパンの生家にてソロ・リサイタルを行ない、第33回日本ショパン協会賞受賞が話題に。2008年にワルシャワ・ショパン音楽アカデミーを首席で卒業し、卒業生代表としてワルシャワ・フィルと共演という経歴の持ち主。11月10日にアルバム『ショパン:ノクターン集』をリリース。若さに似合わぬディープで濃厚な演奏で本格派としての評価を確立している。

──今回、タワーレコードのショパン応援隊長となった感想をお願いします。

山本貴志:ショパンは幼い頃から僕の憧れの存在でしたので、そんな彼の応援隊長という大役を仰せつかりドキドキしています。

──では、山本さんはショパンについてどのようなイメージをお持ちですか?

山本貴志:ショパンは優雅で美しい曲を沢山作曲していますが、実は彼ほど感情の揺れ幅が大きい作曲家はいないのではないかと弾いていて思います。夢のような旋律が出てきたと思えば急に現実に連れ戻されたり、オクターヴを叩きつけた後にコラールのような祈りの音楽が現れたり…。彼自身も20歳という若さで祖国を後にし、その後の動乱を辛く見つめていたと思いますので、そんな気持ちも作品ににじみ出ているのではないでしょうか。

──ショパンへの理解を深めてきた山本さんならではのお話ですね。そんな中でも特に思い入れのあるショパンの曲はありますか?

山本貴志:思い入れのある曲、ですか…?(と困る山本さん)全部、と言いたいところなのですが、やむなく絞るとすれば…(とさらに困る山本さん)。舟歌、ノクターン第16番、即興曲第1番、スケルツォ第4番、前奏曲第19番、全く絞れていませんね(笑)。思いつくまま並べてみましたがすべて長調の曲…!ショパンは幻想即興曲、ワルツ第7番、ピアノ協奏曲第1番第1楽章のように短調のメロディーが有名ですが、長調の曲の気品漂う雰囲気も大好きです。

──山本さんはショパン国際ピアノコンクール入賞という経歴をお持ちですが、ショパンを弾くにあたって、必要な資質はなんでしょう?

山本貴志:これは心構えかと思いますが、やはり「ショパンの音楽が好きなこと」に尽きると思います。メロディーがあまりにも美しい半面、ポピュラーなので飽きてしまった、というお話も耳にしますが、実はショパンはその裏にとてつもないものを隠し持っていたりするので(笑)、何度弾いても聞いても飽きません。

──11月10日に発売されたアルバム『ショパン:ノクターン集』にはどのようなメッセージが込められているのでしょうか?

山本貴志:私の1枚目のアルバム『ワルツ集』とは対照的なまさに「静」の音楽です。リズムの要素が少ない分、彼ならではの旋律と和声の陰影が細部にまで行き渡った作品ですので、1曲1曲異なったイメージを持って録音に臨みました。タイトル通り、ぜひ夕方から夜にかけてお聞きいただければ、と思います。

──今回のアルバムではノクターンの全21曲から11曲に絞ってらっしゃいますが、この収録曲を選ばれた理由は?

山本貴志:ノクターンもすべて好きなので11曲に絞るのは本当に大変でした…。第1番、第2番、遺作のような有名で皆さんから愛されている曲と、第16番、第17番のように難解だけれどもショパンの美学に溢れた味わい深い曲をバランスよく選んでみました。

──「ポーランド人にしか弾けない」と言われるマズルカも収録されていますが?

山本貴志:マズルカはショパンの日記のような存在だと感じています。日常の出来事や人間同士の付き合いの中の僅かな変化や色合いも見逃さなかった彼の人柄が目に浮かぶようです。マズルカを弾いているとポーランドで勉強していたときのことを思い出します…。

──ショパン生誕200年の2010年ももうすぐ終わりですが、山本さんはどのようなショパンイヤーを過ごされましたか?

山本貴志:本当に有意義な1年でした。今年はショパン以外の曲はほとんど練習しなかったのでは…?(笑)

──では、山本さんご本人のお話を少し聞かせてください。最近のマイブームは?

山本貴志:旅行の本を眺めて「行った気分」を味わうことです(笑)。本当は時間ができればすぐにでも出かけたいくらいなのですが、ピアノを抱えて行かない限りなかなか…。でもきっと、日頃はショパンを勉強して、その息抜きに時々旅行に出るのが一番良いサイクルなのでしょうね。

──ちなみに、タワーレコードにはどのようなイメージをお持ちですか?

山本貴志:やはり「音楽の殿堂」というイメージでしょうか…?新宿駅隣にあるあの煌びやかな建物を見るたびに心弾ませていました!

様々な側面からショパンへの理解を深める努力が“ポーランドの魂を伝えるピアニスト”と称される所以。ショパンイヤーを締めくくりにふさわしい新鋭ピアニストの作品を、ぜひチェックしていただきたい。

◆山本貴志オフィシャルサイト
◆山本貴志/『ショパン:ノクターン集』

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