戦場カメラマン渡部陽一、クイーンを語る

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2011年1月12日、クイーンの『グレイテスト・ヒッツ』と『グレイテスト・ヒッツ VOL.2』が同時発売されると同時に、戦場カメラマン渡部陽一のナレーションによるTV-CMが放送開始となった。

◆渡部陽一画像、「バイシクル・レース」PV映像

クイーンの熱烈なファンであるという渡部陽一は、クイーンの魅力、フレディー・マーキュリー、好きな楽曲、及んでは自身と共通のフレディのヒゲについて、熱くゆったりと、語ってくれている。この様子は現在オフィシャルサイトに公開となっているが、ここにその発言を紹介しよう。

■戦場カメラマン渡部陽一とクイーン

「戦場カメラマンの渡部陽一です。僕にとってクイーンとは、戦場カメラマン駆け出し時代を支えてくれた大切なアーティスト、そう断言できます。実は僕は今38歳です。約18年間戦場カメラマン生活を送ってきたんですけれども、20代の頃、戦場でも自宅に帰ったときでもいつもクイーンを聴くことが多かったんですね。僕自身も好きであり、周りの友人たちもクイーンをよく聴いていた。それゆえ帰国してから戦場報告を友人にする時、飲み屋でもそして自宅でもBGMに流す音楽はクイーンが多かったんです。それゆえクイーンのイントロが世界中を旅しているときに、どの町、どのカフェからもポンとイントロが聞こえただけですぐに反応できるほど、どっぷりとクイーンに浸かっていました。」

「個人的にもっともはまった曲、それは「バイシクル・レース」。このテンポや間、リズムに非常に本能的に惹かれた思いがあるんですね。それゆえ今でも僕自身が当時購入した『グレイテスト・ヒッツ』…その中での「バイシクル・レース」は個人でも友人のパーティーでも必ず流す大切な曲。」

「さらに僕自身にとって忘れられないのはフレディー・マーキュリーさん、あのヒゲ、シルエット、独特な動き、そしてルーツがたしかインドだったと思うんです、そのインドというルーツにも僕自身は強く惹かれた。でも一番惹かれたのは動き。あのムチのようなしなやかな動き、ステップ、音楽だけではなくあの動きがクイーンに入り込んでいった大きなきっかけと言えます。20代クイーンにはまり30代クイーンで昇華した僕にとって、戦場カメラマン渡部陽一、非常に聴き込んできた音楽と言えます。」

■戦場カメラマン渡部陽一とクイーン・ベスト3

「クイーン、渡部陽一好きな曲ベスト3、第3位は「ドント・ストップ・ミー・ナウ」。この曲もやはりテンポとリズムに惹かれるんですね。僕はライフスタイルが基本的にゆったりとしたリズムで動いているんですけど、このクイーンの「ドント・ストップ・ミー・ナウ」、非常に軽快なスピードで曲の中にどんどん引っ張り込まれていく、その思いが聴いていてあったんですね。歌詞というよりもテンポとそのメロディーこれに惹かれた第3位といえます。」

「第2位「ボヘミアン・ラブソディ」。クイーンの王道中の王道、これもたくさんあるクイーンの中で誰しもが1位にあげてくる曲なんですけども、もちろん僕にとっても1位と言っても決して過言ではない名曲なんですね。というのは僕にとって1位を通り越してしまうもうひとつ曲がありますので非常に苦しい選択だったんですけど、「ボヘミアン・ラブソディ」、第2位におかせて頂きました。」

「なぜこの曲に惹かれていたのか、それはなんというんでしょうか…あの舞台演劇を見ているような光景や映像や役者さんが目の前で僕に対して演じてくれているそれを、音楽でひとつひとつ台詞でも背景でも演出でも、1対1でクイーンが演じてくれている、そんな思いで「ボヘミアン・ラブソディ」を聴いていたんですね。「戦場カメラマンとしてボヘミアンでありたい」そう思っております。」

「そして1位。「バイシクル・レース」、ダントツ1位です。リピート回数星の数ほど、もう永遠とリピートを繰り返し続けた大切な曲、この「バイシクル・レース」、これも音楽というよりも詩を朗読していたり舞台の演劇を報告してくれていたり、逆に戦場で出会うたくさんの流浪する方々がその中で休憩中の時間に僕の前で演じてくれるような、作りこんだというよりも世界中の情勢が自然とこの曲を作り上げた、そんな気がします。音楽であるけども音楽ではない、音楽ではないけれども音楽であるこのパラドクスが僕にとって魅力であったといえます。第1位「バイシクル・レース」、ここで断言致します。」


■戦場カメラマン渡部陽一とフレディのヒゲ

「ヒゲ。唯一クイーンと戦場カメラマンの共通項ヒゲ、まさにボーカルのフレディ・マーキュリーさん。ヒゲを生やし顎のほうまでには生やしてないんですけれども、剃りあげた青いラインがクッキリと残っている。僕もヒゲを伸ばしているんですけども、戦場カメラマンとしてヒゲを伸ばすのは、世界中の紛争地の成人男性のコミュニティーに入れて頂く為、だからヒゲを生やします。そしてヒゲを生やしている方に極度に惹かれます。それがフレディ・マーキュリーさん。」

「マーキュリーさんはヒゲを、非常にもちろん濃いヒゲなんですけども、鼻と唇の間にかなり男爵的なヒゲの伸ばし方を丁寧に整えてある。おそらくイギリスの中でも当時の時代、ヒゲを伸ばすというのは、決してポピュラーではなかったとは感じます。紳士であれ、これがイギリス文化でありますので、ヒゲを仮に整えてあってもそれを伸ばしているということは、そこまでイギリスのコミュニティーの中では表には出てなかった。」

「でもフレディ・マーキュリーさんは、もちろんイギリスの方ではありながらもルーツは紐解いていけばインドの血も入っている、そのアジアの一国のその血がフレディさんの中に入っていて目元や、鼻や、ヒゲ元のその形というものに僕はアジアのルーツを強く感じていたんですね。だからこそ愛着がわき、フレディさんを丁寧に見ていったんですけど、同じヒゲを生やし整えていて青く線がの残っているあのフレディさんのようなヒゲも試してみようかなと、一度ヒゲを剃る機会があり剃りながらマーキュリーさんのように鼻の上だけヒゲを伸ばした。それを剃りあげてそこだけ残して鏡で自分を見てみました。するとまったく似合わない、変なおじさん。それゆえに全部一度剃りあげて、また一からヒゲを伸ばしていった。憧れのフレディ・マーキュリーさんのヒゲに一度だけ鏡の前でリハーサルさせて頂いたんですけど、変なおじさんそのまま終わってしまったので、フレディさんを見ることで僕は満足しています。」

「フレディさんのヒゲ、あとあの輪郭ですね、ちょっと角ばったっぽい顔で、でもやっぱり鼻や目元はヨーロピアンの血も十二分に入っている中で、もっともコスモポリタンという印象を受けているんです。身体つきも決して西洋西洋しているというよりも、どちらかというとスリム…アジア的なスリムの血もあり、あとは動き、胸毛、そうしたものがヨーロッパとアジアがもう国境を越えて全部もう国そのものが超えてしまい、コスモポリタンですね。どの血も交じり合ったその象徴をしっかり体現してくれている気がしました。そしてヒゲ、シルエット、身体のライン、あとはステップですかね、動き方が僕にとって惹かれた一面であります。フレディさんあって確かにクイーンが表に出て来ることができた、大切な存在であったと感じています。」

戦場カメラマン渡部陽一にとって、クイーンはその活動の後ろで彼を支えてくれる特別な存在であったようだ。2011年、彼は挑戦の年にしたいという。2010年も挑戦の年であったと振り返るが、戦場カメラマンとして世界中を柔軟に飛び回り、日本国内でも柔軟にたくさんある選択肢をひとつひとつ丁寧に足元を見据えていきたいと語っている。

「柔らかくフットワーク良く、そしてひとつひとつ国境すべてを超えて、挑戦する」と、自らの2011年の抱負を語っているが、まさしくこの姿勢こそ、クイーンが40年をかけて実践してきたスピリットではなかったか。

戦場カメラマン渡部陽一を勇気付け、次への前進を推し進めてきたクイーン・サウンド。世界で起こっている紛争が、沈静化することを願いながら、耳を傾けてみよう。


◆クイーン・オフィシャルサイト

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