【D.W.ニコルズ・健太の『だからオリ盤が好き!』】 第23回「レイドバック・クラプトン」

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D.W.ニコルズの鈴木健太です。

ライヴの打ち上げなどでミュージシャンが集まった時、音楽の話になることは意外と少ないものです。互いのバンドや友達のミュージシャン、また自分たちの音楽活動についての話になることは多いのですが、好きな音楽の話になることが少ないのです。僕はそれをとても寂しく思います。せっかくミュージシャン同士が集まったのですから、そんなときこそ好きな音楽についてとことん語り合いたいと思うのです。

しかし同じパートが集まれば、さすがにそのパートについて、つまりギタリスト同士なら好きなギタリストについて、ベーシスト同士なら好きなベーシストについて…というような話をすることが多い気がします。僕の場合はギタリストについての話になることが多いわけですが、好きなギタリストは誰かと訊かれたとき、僕は、デュアン・オールマン、ジョージ・ハリスン、エリック・クラプトン、ロビー・ロバートソン(ABC順。順位はつけられないので)の4人の名前を挙げます。この4人、それぞれ僕の連載の中でも登場していますが、今回はその中からエリック・クラプトンについて、少し詳しく書いてみたいと思います。


エリック・クラプトンと言ったら…?

Unplugged。
「Tears In Heaven」やChange The World。
ロックの金字塔、「LAYLA」。
伝説のバンド・Cream。

これらのイメージを持っている人が多いと思います。そしてこれらは実際にクラプトンのキャリアを代表するものですが、実は彼を語る上で重要であり、最も魅力的とも言える部分がもうひとつ、あるのです。

それはレイドバック・サウンドのクラプトンです。いつごろのことを言うのかというと意見がわかれるところかもしれませんが、1974年の『461 Ocean Boullevard』の頃から1978年の『Backless』までの頃のことを指すのが無難なところでしょうか。

'60年代中期に結成され、毎回のセッションやライヴが果たし合いのようであり、爆音で演奏していたというCream。そして大物ミュージシャンが集まって結成されたもののアルバム一枚で解散に至ったスーパーバンド・Blind Faith。これらの活動で疲れ果てたクラプトンは、Delaney&Bonnieとの出会いもあり、それまで拘り続けていたブルースに捉われない、米国南部の音楽を追い求めていきます。そしてDelaney&BonnieのメンバーらとDerek And The Dominosを結成、デュアン・オールマンをゲストに迎え、ロックの金字塔『LAYLA and other assorted love songs』が生まれます(連載第2回参照)。

しかしそのDerek And The Dominosも長続きはせず解散。盟友デュアン・オールマン、ジミ・ヘンドリックスの死や、親友ジョージ・ハリスンと彼の妻パティ・ボイドを巡る三角関係など、プライベートの様々な問題により、クラプトンは麻薬に溺れていきます。
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