ORANGE RANGE、ツアー全公演終了

ポスト

2010年11月にスタートしたライブハウスバージョンから、新年の幕開けと共にホールバージョンへ突入したオレンジレンジの全国ツアー<ORANGE RANGE LIVE TOUR 010-011 ~orcd~>。自主レーベル<SUPER ECHO LABEL>からの第一弾アルバム『orcd』を引っさげたロングラン・ツアーのファイナル公演、3月8日・渋川市民会館のステージには、全国で作った様々な思い出を感慨深そうにかみ締めるメンバー一同の笑顔があった。

◆<ORANGE RANGE LIVE TOUR 010-011 ~orcd~>画像

YAMATO「まだ終わりたくない気持ちがやっぱり大きくて…。皆さんの表情とか、一緒に歌ってる表情とか見てたらさ、この長いツアーの活力になってたし。本当にもう、みんなと踊りたいぐらい楽しく、ファイナルまで皆さんのバトンをつないで来れてることを感謝してます」

メンバーとファンが一緒に歌って、踊って、心の底から楽しさを共有してきた全45公演。その集大成にふさわしい盛り上がりだったこの日のライブは、<一緒に歌って踊れる>というオレンジレンジの最大の魅力を凝縮したような楽曲が全面展開! <SUPER ECHO LABEL>からの第一弾シングルでもある「ウトゥルサヌ」は、何かの呪文を唱えているかのようなメロディーと、ピュンピュン弾ける可愛げな電子音が融合して、キャッチーなんだけれども何ともいえない摩訶不思議なムードに会場を染める。「ヤーヤーヤー」も、YAMATOのハイトーン・ボイスがエコーからRYOのロー・ボイスへすぐさま変幻、かと思えば……。<先に進むこと決めたんだ――>。「落陽」のRYOの熱いラップを引用しつつ、<そんなのどうでもよくなくな~い?>とHIROKIが超軽薄な歌いっぷりで斬り捨てる(笑)。自分たちの楽曲を自分たちでネタにしてしまうというオレンジレンジの遊び心の真骨頂的楽曲や、本格的なスカ・テイストを取り入れてダンサブルに攻めまくる「今夜はtonight」など、今回のツアーのセットリストの核はもちろん『orcd』収録の最新楽曲。そしてそれは、結成以来一貫して彼らが追求してきたオレンジレンジ流の<POP>の、さらなる新たなアプローチだ。

爆音の中でYOHのスクリームが炸裂した「giga palooza」や「Insane」は、これまでにも「キリキリマイ」などで彼らが見せてきた激しさをさらに増幅したようなナンバー。そんな、会場の熱気を沸点越えまで持っていくハイテンション系新曲群の中でも、特に印象的なシーンとして残ったのは「風灯らす」。スピード感豊かに、爽快な空気感と共に疾走するサウンドに彼らが綴ったリリックのテーマは、地元である沖縄の基地問題。その答えは簡単に出せるものではないけれど、こういうテーマを歌うことが、何かを考えるきっかけになってほしい…。バンド結成から10周年を迎え、一歩一歩大人になっていくメンバーが見つめている現実も、今のオレンジレンジの作品の中には描かれている。そして、そんなシリアスな問題を解決する糸口も、僕たち一人ひとりの心の中にきっとあるはずと彼らはメッセージを送る。

HIROKI「辛いときもありますけど、そういうときは別に後ろを振り返ったっていいんですよ。下をうつむいたって、泣いてもいいと思います。でも、前を向くときはしっかりと笑顔で歩んでいける、そんな人間になれたらいいなと僕自身も思っています。一緒に、色んな人に感謝しながら、共に前に進んでいきましょう」

決して楽しいことばかりではない人生の中で、悩んで、壁にぶつかっても、前を向いて一緒に笑顔で歩んでいこう――。この日のライブの雰囲気は、音楽を通して笑顔を届けるオレンジレンジのポジティブ・パワーを象徴しているかのようだった。

RYO「バンドを組んだときに作った曲なんで僕たちも懐かしい曲なんですけども、そのときは、制服を着ながら、校舎の隅で部活みたいな感じでやっておりました…。そのころを思い出しながら、ちょっと若返った気分でいきたいと思います!」

そんな曲紹介で幕を開けた「中毒」は、オレンジレンジ結成当初も当初、まだ高校生だった彼らが作った懐かしさたっぷりの1曲。そのファンキーでラウドなミクスチャー・テイスト濃厚なナンバーにも、若かりしころ(今でも十分若いけれど・笑)から変わらないこのバンドの圧巻の高揚感が満ち溢れていた。高校で制服を着て音楽を始めた沖縄の高校生が、全国に向けて羽ばたいて大きくなった成長の証し。そして、大人への階段を昇っていく中で現在感じている心境や、その中から導き出したリアルなメッセージが、今回のツアーはファンの胸を打ったに違いない。 4月に行なわれる追加公演でも、一緒に歌って踊って、エンディングでは<明日も頑張ろう!>と思わせてくれる、オレンジレンジの最高のポジティブ・パワーをぜひ感じてもらいたい。

文●道明利友

◆ORANGE RANGEオフィシャルサイト
◆SUPER ECHO LABELオフィシャルサイト
この記事をポスト

この記事の関連情報