46°haloこと石塚貴洋、世田谷線ジャック・ライブ開催

2011年4月24日（日）、気持ちよく晴れた日に開催された＜setagayamusictrain2011＞。これは東急世田谷線（三軒茶屋～下高井戸：片道約17分）を貸し切って、電車内ライブを行なうというもの。

◆46°halo画像

2両編成のゆっくり走る路面電車のなかで、ビールを飲みながら気持ち良い音楽を聴く。ミュージシャンは、46°haloこと石塚貴洋。以前は東京に住んでいたが、今は北海道岩内に住み水産加工業を営みながら音楽活動を続けている。

イベントは
14：41　三軒茶屋を出発
15：40　下高井戸で下車
という世田谷線を1往復半する約1時間。

三軒茶屋で受付を済ませてバッチをもらう。そのバッチの色によって乗車位置が決められる。そして、発車時刻までしばらく待つ。「貸切」と書かれた電車が到着すると、車内は風船とキラキラが飾られ、ゴザが敷かれたお座敷列車状態。かなりテンション上がります。そして電車にはすでに、46°haloが乗車している。

飲み物とお菓子が配られたあとライブ開始。周りの景色を楽しみながら走る電車のなか、ギターの弾き語りで行なわれるライブはとても優しい。そして46°haloの音楽も同じくらい優しい。東京でも余震が起こり、緊張が続いている日々に灯されたあかりのよう。

彼の歌を聴くのは初めてだけど、いつの間にか身体を揺らし、手拍子をして笑顔になっている自分に気づく。音楽の力を改めて感じる時間だ。

MCでは、朝6時に北海道の家を出て、千歳空港から東京に来た話を。飛行機で関東上空を飛んでいるときに、この家のひとつひとつに泣いている人も笑っている人もいることを感じた、と。そして、人は忘れることができる。忘れていけないこともたくさんあるけれど、生きていくためには、ゆっくり忘れることも大切というようなことも語った。

確かに、すべてを記憶していたら人はその記憶に支配されて明日へ向かう力を持つことができないだろう。心に強く刻むと同時に忘れていくことも生きるためには必要だと感じた。忘れることは人が持って生まれた自己防衛なのかもしれない。

2両編成の中央で行なわれたライブ。前半は後方を向いて歌い、後半は前方を向いて歌うという配慮も。彼のキャラクターと歌、そして路面電車というシチュエーションが最高の化学反応を起こして、日曜の昼下がりをただ優しいだけでない意思のあるうららかさで演出する。

電車には、兄ちゃん（46°haloはこう呼ばれている）を、昔から知っている人たちも多く乗車しており、この場所で彼の歌が聴けることを、本当に楽しんでいるよう。ちょっとした同窓会なのかも。これも、彼と彼の歌の温かさなんだろうな。

音を外に漏らさないように窓を締めていたため、車内はかなり暑くなっていたけれど、それは気持ちが熱くなっていたってことかもって思うくらい。でも、途中で演奏を止めて窓明け＆空気入れ替えタイムも。

終点が近づくと、スタッフから残り4分ですという声が。普通のライブではあまり意識しない、時間をいう概念を感じる。電車は通常のダイヤの合間に走っている貸切。下高井戸に着いたら、すばやく降りなければならない。それが、とても残念。もっと曲を聴いていたい、もっとここで優しさに包まれていたいと思いながら、列車を降りる。乗客を降ろして、46°haloとスタッフを乗せた貸切の世田谷線が車庫に戻っていくとき、窓越しに手を振ってくれている46°haloに手を振り返しながら、キュンとした。

＜setagayamusictrain2011＞は、出合いと別れがあるひとつの物語。短い時間を異空間で過ごし戻ってきた。最高の日曜日だった。

彼の歌を、今度は違うシチュエーションで聴いてみたい。

＜setagayamusictrain2011 2011年4月24日＞
1.Floe
2.Clock
3.窓
4.Exit
5.Everlasting
6.Night Song
7.ロボット公園
8.For Tomorrow

＜Let It Come Down vol.8＞
2011年4月30日（土）
open15:00 start15:30
＠小樽 かもめや
前売 2,000円、当日2,500円（別途、要1オーダー）

＜46°halo presents "FRAG SHOP SAPPORO"＞
2011年5月1日（日）
open16:30 start17:00
＠札幌 sound lab mole（札幌市中央区南3条西2-14 ニコービルB2F　011-207-5101）
前売 1,500円 / 当日 2,000円 （別途ドリンクチャージ500円）

「rebirth [Original recording remastered, Special Edition]」
1,600円（税込）

◆46°haloオフィシャルサイト
◆46°haloオフィシャルブログ
◆46°halo Twitter

[寄稿]　伊藤 緑：http://www.midoriito.jp/