忌野清志郎、「Thank you!武道館。ベイベーまた会おうぜ!」
2009年にがん性リンパ管症のため58歳で死去した歌手の忌野清志郎の楽曲などで構成したライブ<忌野清志郎 ロックン・ロール・ショー 日本武道館 Love&Peace>が、命日である5月2日に東京・北の丸の日本武道館で開かれた。ステージでは泉谷しげる、奥田民生、ゆずら26組のアーティストがずらり。「スローバラード」「デイ・ドリーム・ビリーバー」など48曲を約6時間で熱唱した。
◆<忌野清志郎 ロックン・ロール・ショー 日本武道館 Love&Peace>画像
コンサートは忌野清志郎が愛用の自転車「オレンジ号」で街を走り、武道館に到着。ヘアメークをし、舞台横に控えるという臨場感ある映像でスタート。舞台に登場し、「OK、CHABO!」とVサインした忌野の映像に合わせ、盟友の仲井戸“CHABO”麗市が名曲「雨あがりの夜空に」のイントロを演奏。斉藤和義、トータス松本らの歌声に合わせ1万2000人が合唱し、大パーティーが始まった。
細野晴臣、YUKIらが思い思いに忌野の楽曲を歌う中、小ステージに登場した泉谷しげるは、忌野がエルビス・プレスリーの名曲「ラブ・ミー・テンダー」に反核の思いを込め歌詞をつけた替え歌を披露。顔を真っ赤にしながら<♪何言ってんだー ふざけんじゃねー 核などいらねえ>と歌い、中盤には「安全だって言うなら、原発はお台場に作れ。この九段の近くに作れ。安全なんだろ石原!」と絶叫し、政府や東京電力に対して怒りをあらわにした。
東関東大震災後、自粛や延期が多い中、同公演のチケットは震災翌日に発売された。このことについてトータス松本は「清志郎さんの歌は、こんなときこそ歌いたい、聞きたい曲がある」と熱弁。2009年に<青山ロックンロールショー>と題し青山で開かれた忌野の葬儀の際、俳優の竹中直人らと、代表で弔辞を読んだ甲本ヒロトはザ・クロマニヨンズのメンバーらと「ROCK ME BABY」など3曲を熱唱。「今日ここに出られて本当に良かった」とかみしめていた。
日本武道館は忌野がRCサクセションとして1981年から10年連続で舞台に立ち、さらに2008年2月には<完全復活祭 日本武道館>と題し公演を行なった忌野にとって思い入れのある場所のひとつ。終盤には1981年のクリスマスイブに同地で行なったステージの映像を約40分間放映。「Thank you!武道館。ベイベーまた会おうぜ!」と手を振る忌野の元気なその笑顔に、涙を流すファンの姿もあった。
会場では震災の復興支援にと募金箱を設置。集まった義援金とグッズの一部収益は日本赤十字を通じ被災地に送られる。
取材・文:西村綾乃
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