UNITED、結成30周年の猛攻“30曲ライヴ”にオーディエンス熱狂

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去る4月20日にリリースされた実に6年ぶりとなるニュー・アルバム『TEAR OF ILLUSIONS』が、飢餓感を募らせてきたコア・ファンたちを満足させるのみならず、各方面で高い評価を集めているUNITEDが、5月3日、同作の発表を記念してのリリース・パーティを開催した。

◆UNITED画像

しかしパーティと銘打たれてはいても宴の場が設けられたわけではなく、そこで行なわれたのはあくまでライヴ。ゲストに迎えられた大阪のRIVERGEの熱演を経て、午後7時を15分ほど過ぎた頃に代官山UNITのステージに登場した彼らは、実にトータル30曲、2時間20分に及ぶ激烈な演奏を繰り広げ、オーディエンスはフロアで渦を巻いた。もちろん曲数や演奏時間の問題ではないが、これほど気合いのこもった轟音を、確実にテンションを保ちながら、執拗なまでの“攻め”の姿勢で放出し続けられるバンドというのは、世界的に見ても非常に稀有な存在だと言えるはずだ。このバンドは、いわば熟練の味と説得力、前傾姿勢の疾走感を併せ持っているのだ。

最新作の冒頭に収められていた「Tear of Illusions」をオープニングSEに据えながら、同作の曲順通りに「My Inner Revenge」でスタートしたUNITEDの演奏は、当然ながらこのニュー・アルバムを軸としながら進行。しかしもちろんそればかりにとどまるはずもなく、「Sniper」や「S.R.S.」といったオールド・チューンをはじめ、過去さまざまな時代の楽曲が網羅された掟無用のメニューとなっていた。

今作が初の参加作となるフロントマン、Ken-Shinにとっては初挑戦となった楽曲も含まれていたが、そこに違和感は微塵もなく、クウェート出身のこの屈強なヴォーカリストがいかに適任であるかを改めてファンの前で実証する結果となった。途中、そのKen-Shinが、これまで口外せずにいた過去の記憶について語りながら涙するという場面も見られたが、それを断ち切るようにしながら披露された「The Awakening」に込められていた激情には、ことに凄まじいものがあった。この夜を境に、この楽曲自体が彼にとっていっそう特別なものになったのではないだろうか。

UNITEDにとって2011年は、結成30周年のアニヴァーサリー・イヤーでもあり、この夏には彼らの全音源を網羅したボックス・セットのリリースも予定されている。実際のところ、結成時からのオリジナル・メンバーは誰ひとり現ラインナップには残されていないし、ヴォーカリストとドラマーのチェンジが幾度も重ねられてきたことを読者の多くはご存知だろう。が、1983年の加入以来ずっとこのバンドを牽引してきたベーシスト、横山明裕は、ある意味オリジナル・メンバー以上の存在と言っていいだろうし、彼と、HALLYこと吉田良文(1988年加入)、大谷慎吾(1990年加入)のギター・チームからなるトライアングルを核とする体制が生まれた瞬間からでさえ、すでに20年以上が経過しているのだ。しかも2004年に合流したドラマーのAkira、そして前述のKen-Shinを迎えた現在のこのバンドは、文字通り過去最強の状態にあると言っていい。

そんな彼らに期待したいのは、言うまでもなく“攻め”に徹した密度濃い活動ということになる。現在のところ、彼らの今後のスケジュールはライヴ日程でぎっしりと埋め尽くされているわけではない。が、この夜のステージ上から告げられた、Ken-Shinが5月より本格的に日本に居を構えることになったとの朗報は、UNITEDが“本来あるべき状態”に近付きつつあることを具体的に裏付けるものだったし、何よりもその強力無比なライヴ・パフォーマンスの充実ぶりが、このバンドの2011年後半以降の明るい未来を象徴していたように思う。

日本が誇るべきバンド、UNITED。結成30周年の大きな節目となる年に、彼らはこれまで足を踏み入れてこなかった領域へと歩みを進めることになるに違いない。

文/写真:増田勇一

◆ユナイテッド・オフィシャルサイト
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