【BARKS編集部レビュー】ギタリストの強力な相棒となるレコーダー登場 BOSS MICRO BR BR-80

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BOSSから、多くのギタリストのニーズに応えるレコーダーが登場。このBR-80はMTR機能をベースに、高品位ステレオ・レコーダーと、以前紹介したeBand JS-8の練習機能を追加したぜいたくな内容で、ギタリストが自宅でやりたいことは、これ1台でほぼすべてできてしまいそう。“MICRO BR”の名前の通りコンパクトな手のひらサイズに、ギタリスト向けの機能がぎっしり詰め込まれている。


▲電源ボタンは長押しで電源のON/OFF。短く押すと、[MTR][eBand][LIVE REC]を切り替えられる。チューナーは[RHYTHM]と[COSM]の同時押しだ。[RHYTHM]はMTRモード時にリズム専用トラックのエディットが、[COSM]ではエフェクトの設定がエディットできる。
BR-80を実際に使ってみてまず感じたのは、操作性のよさだ。豊富な機能を持つ製品はとかく使い方が複雑になる傾向があるが、このBR-80はすべての操作がいたって簡単、かつわかりやすい。指先でくるくる回せるダイヤルや上下左右にカーソルを移動できるボタンがあるので、項目の選択やパラメータの値の変更もとても楽に行える。中央に見やすい液晶ディスプレイがあるのも使いやすいところ。各モードにどんな機能があるかを最初にザッと理解しておけば、あとはほとんどマニュアルを見なくてもOKだ。

■お気に入りのトラックと一緒に演奏できるeBandモードが、まずはオススメ!

BR-80の豊富な機能の中でも、とにかく簡単に、そしてすべてのギタリストが楽しめそうなのがeBandモード。ここではBR-80で楽曲を再生しながらギター演奏できる。つまりお気に入りの楽曲と一緒にセッションしてしまおうというモードだ。セッションのネタとなる楽曲は、SDカードから読み込んでもいいし、USB経由でPCから転送してもOK。また、ライン入力も装備しているし、BR-80はPCのオーディオインターフェイスとしても動作するから、楽曲を取り込まず、コンポやPCなどの外部機器で再生した楽曲とセッションすることも可能だ。

今回は学生時代に夢中になったオジー・オズボーンの「Bark At The Moon」に再び挑戦してみることにして、PCに保存してあったファイルを取り込んだ。あとはギターをつなぎ、[PLAY]ボタンを押せばすぐにセッションを開始できる、のだが、その前にBR-80をチューナーモードに切り替え、チューニングを確認しておこう。画面は一般的なクロマチックチューナーになり、ガイドも表示される。


▲ダイヤルとカーソル移動ボタンを使うことで操作性は抜群。非常にわかりやすく扱いやすい。[EXIT]と[ENTER]ボタンの位置も良い。
そしていよいよセッション開始。この曲はリフにもソロにもジェイク・E・リーならではの華麗なテクニック満載の強敵だが、以前かなり夢中になった曲だから身体が覚えているはず。曲のアタマから流してみると、むむ、追いつかない! 指も思うように開かないしスピードにもまったくついていけない。しかし、BR-80には速度変更機能がある。[SPEED]ボタンを押し、ダイヤルをくるくる回して速度を落としてやればいいのだ。もちろんピッチは変わらない。最大で50%まで落とせるので、速すぎてよくわからないフレーズだってコピーできる。[CENTER CANCEL]を押せばセンター定位の音がかなり小さくできるので、ギターソロパートが真ん中にあれば、元音に代わってソロが楽しめる。これはいい! 

60~70%の遅いスピードから始めて、だいたいできるようになったら徐々にスピードを上げていく。[A←→B]ボタンでループも設定できるので、気になるところ、たとえばソロとかキメの部分だけを集中的に練習することもできる。セッションは録音もできるので、練習の成果を確認することも可能。自分ではできたと思っていても、客観的に聴いてみるとそれほどではないことも多いが、今回もやはり惨敗。まだまだ練習が必要なようだ。


▲音楽CDから取り込んだ曲のアーティスト名や曲名をインターネットから自動取得(Gracenote(R) MusicIDに対応)できる専用ソフトウェア「eBand List Editor」(Win/Mac)
取り込んだ曲だけでなく、BR内蔵のバッキング・データを使ったセッションも可能だ。バッキング・パターンが約400種類用意されているので、ギターとヘッドホンを本体に接続して曲を再生すれば、手軽にジャム・セッションをすることができる。また、音楽CDから取り込んだ曲のアーティスト名や曲名をインターネットから自動取得(Gracenote(R) MusicIDに対応)できる専用ソフトウェア「eBand List Editor」(Win/Mac)も同梱している。これでディスプレイに表示できる。

内蔵データはドラム、ベース、キーボード、リズムギターで伴奏を演奏してくれるパターンで、ロック、メタル、ソウル、ラテンなどの幅広いジャンルを収録。伴奏はどれも高水準なので、テンションを上げて練習できる。これはアドリブの練習にもってこいだろう。

■リアルで“使える”エフェクトが満載

ただお気に入りの曲に合わせてギターを弾くだけなら、iPodを聴きながらギターを弾いたっていい。でも、BR-80でのセッションのほうが圧倒的に楽しい。それは内蔵されているCOSMエフェクトによって、すごくリアルでカッコいいギターサウンドが演奏できるからだ。

エフェクト・パッチは、ギター用、ベース用、アコギ用など7カテゴリーから成り、ギター用としてはブルース、70年代ハードロック、80年代メタル、ジャズ、プログレなどのカテゴリに分類された100パッチ以上から選択できる。パッチには、“WALK THAT WAY”とか“ERUPTING”、“DEEP HIGHWAY”など、ギタリストならピンと来そうな名前が付けられていて、思わずニヤリ。エフェクトにはローランド独自のCOSM(Composite Object Sound Modeling)と呼ばれる技術が採用されている。楽器の素材や回路、さらに電気的、電子的な影響、そして空間特性も含め、考えられる様々な要素をDSP処理し再現する技術だ。だから、サウンドはすごくリアル。渋い歪みからハイゲインサウンド、そしてクランチの音色もエディットしないでそのまま使ってもバッチリだ。

エフェクト・パッチは、アンプやコンプレッサー、ディスト―ション、モジュレーションエフェクト(コーラスやフランジャー、トレモロ等)、イコライザー、ディレイなどを組み合わせたマルチエフェクトになっていて、もちろん個々のエフェクトのオン/オフは可能だし、パラメータの設定を変更して保存することもできる。自分の奏法にマッチしたオリジナルエフェクトを作っておくといいだろう。

■アコギもバンドも手軽に録音できるLive Recモード

Live Recモードは、本体内蔵のステレオ・コンデンサー・マイクを使って録音するためのモード。アコースティックギターを録音したいならこのモードが便利だ。MP3のほか、非圧縮のWAVファイルで録ることも可能。記憶メディアはSDHCカードで、最大32GBまで対応しているので、非圧縮で録音しても余裕の容量だ。

このモードでは、画面にはレベルメーターと経過時間が大きく表示される。側面のつまみでレベルを設定し、さっそくアコギを録ってみたが、音質は期待以上。ローランドから、内蔵マイクの音質に定評あるコンパクトレコーダーが発売されており(ex:R-05)、その技術がここにも受け継がれているのだろう。


▲Live Recモードなどで使うボタンが下部に配置されている。両端にはステレオマイクが。小さいながらも音質は優れいているので、マイクと楽器の距離をいろいろ変えて録音してみたい。
近頃のアコギはピックアップ付きのエレアコが主流なので、これなら直接プラグインして録ってもいいのだが、やはりアコギは生の音を使いたいというコダワリがある。なので、内蔵マイクで生の音を録ってみた。サウンドホールに近い場所にBR-80を置いて録ってみたら、キュッキュッという弦を擦るスクラッチノイズも入るし、微妙なタッチの違いもわかってとてもリアルな音になる。おお、ランディー・ローズの「Dee」を弾いてみたくなる。やはりこの空気感がアコギの命。

サウンドホールに近づけたり、ネック寄りに置いたりと、位置を変えればちゃんと音色も変化するので、色々試してみると面白い。この録り方ではかなりパッキリとした音が録れる。1~2メートル離れたところに置くと、部屋の鳴りまで入ってまろやかな音になった。自分の曲がどういう音を求めているのかで録り方を変えられる。これも強い味方になりそうだ。ただしマイク感度が高いため、PCやエアコンのノイズもいっしょに入りやすいので、その点に注意する必要がある。これは贅沢な悩みだ。

曲のアイデアをためるのにギターやヴォーカル、ピアノなどを録ったり、もちろんスタジオなどに持ち込んでバンドを丸ごと録音するのにも活躍するだろう。ステレオ・レコーダーとしての実力も十分だ。

■録った素材から曲を仕上げるMTRモード


▲MTRモードでのトラックの切り替えなどはこのボタンで。他に、eBandモードでのSONGの選択やSPEEDの変更などが行える。
MTRモードは、その名の通りマルチ・トラック・レコーダーとして使うモード。同時に再生できるのは8トラックだが、各トラックには8つのVトラックと呼ばれる仮想トラックがあり、このうち1つを再生する仕組みなので、全体で64トラックに録音することができる。たとえば1つのギタートラックで8つのパターンを録り、他のパートとどれがマッチするかを聴き比べたり、同じパターンを複数回録って、どのテイクがOKかを後で決める、といった使い方ができるわけだ。

曲を作るにはまず土台となるリズムが必要だが、BR-80にはリズムパターンも内蔵されている。録音可能な8トラックのほかに、リズム専用トラックがあり、ここに内蔵のドラムパターンを並べるだけで、ドラムパートが出来上がってしまうのだ。手順はとてもシンプル。カーソルボタンでリズムを開始する位置を指定し、[RHYTHM]ボタンを押してリズム設定画面に切り替える。そしてイントロ、バース、フィル、ブレイクなど曲中のセクションにあたる「TYPE」と、ジャズ、R&B、ブルース、ポップなどの曲調にあたる「PATTERN」を指定してパターンを決め、「LENGTH」で小節数を設定する。やることはほぼこれだけなのだ。合計500以上ものパターンが用意されているから驚きだ。

実際に1小節のイントロ、16小節のAメロ、8小節のサビ、という構成でリズムを作ってみたが、これが本当に簡単だった。まずは曲のアタマ、1小節目の先頭に移動。イントロ用の中からブルース系パターンが気に入ったので、これを長さ1小節に設定し、[ENTER]ボタンを押す。これで曲の先頭から1小節分、イントロのリズムが挿入される。次はAメロ。このまま別のパターンを選んで、小節数を設定すればOK。今度はバース用で、やはりブルースのパターンを選択し、長さを16小節に設定。次は1小節のフィルのパターンを挿入してみると、サビ前にうまく変化がついた。そして19小節目からのサビにはR&Bのパターンを選択してメリハリをつけてみた。と、これだけで1コーラス分のドラムパターンが完成してしまった。とても手軽で簡単だ。いろいろ組み合わせてやってみるととても楽しく、アイデアも浮かび、一つの楽曲に自分なりの変化も付けられる。面白いパターンがいくつもあるので、ついついいろいろ使いたくなってしまう。これなら、ドラムのことがよくわからないというギタリストでも、リアルなドラムパートを作れるに違いない。

リズムパターンの使い方として、シンプルなパターンをギタートラックを録るときのメトロノーム代わりにする、というのももちろんアリだ。しかしそれだけではもったいない。音もリアルだし凝ったパターンも多いから、これにインスパイアされて曲のアイデアが膨らむこともあるだろう。積極的に使いたい機能だ。


▲ミキサー画面なら、別モードに入ることなくカーソルで1トラック分の設定をそのまま確認できる。
各トラックの調整も簡単。ミキサー画面では、全体が一度に表示されるわけではない。しかし、カーソルボタンを押すだけでフェーダー、パン、ソロ/ミュート、EQ、リバーブなど、必要なところにすぐ移動でき、設定もダイヤルで簡単に行なえる。だからスピーディに作業できる。MTRで、ストレスを感じず操作できるというのは、実はとても重要なことなのだ。

編集機能も万全。トラックの一部または全部のコピー/ペーストはもちろん、パンチ録音も可能。さらにはバウンス(ミックスダウン)してマスタリングまで行える。マスタリング専用のエフェクトも複数用意されていて、全体の音圧を上げる“ダイナミクス”と、高音/低音を強調する“トーン”が調整可能。これが面白いくらい強烈に効く。自分の頼りないギターのために全体がショボショボになっていても、マスタリングエフェクトを調整することで、かなり力強くメリハリのある曲にできそうだ。

録音したデータは付属のPC用ソフト「BR Series Wave Converter」で、WAVエクスポ-トが可能。同じく同梱のDAWソフトウェアSONAR X1 LE(for Windows)でさらに細かい編集作業を行うといった、PCでの音楽制作も可能になっている。より本格的な曲作りにも対応しているわけだ。

■各モードを連携すればさらに楽しめる

3つのモードをそれぞれ使うだけでも十分に楽しめるのだが、各モードは連携させて使うこともできる。一度BR-80に録音したデータは、ほかのモードで呼び出して使うことができるからだ。

たとえば、
1.曲のアイデアが浮かんだらLive Recモードでギターやボーカルを録ってためておく。
2.そのデータをMTRモードで呼び出し、キーボードなど他のパートを追加し、内蔵のリズムパターンをつけて曲の形にする。
3.完成した曲をマスタリングして保存する。
4.保存したデータをeBandモードで呼び出し、セッションしながらソロを練る。

こんな使い方が、この小さいボディーのマシン1台でできるのである。この連携こそが、BR-80が本領を発揮する場面と言っていいだろう。

ギターの練習によし、アイデアのストックによし、作曲によし、そして単純にセッションして楽しむのにもよしと、BR-80はギタリストの要望をすべてフォローしてくれるような製品なのだ。まさにギタリストの強力な相棒。つねに持ち歩きたくなるに違いない。

text by BARKS編集部 森本

◆MICRO BR BR-80
価格:オープン (予想実売価格 27,000円前後)
発売中

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