amazarashi、胸にズッシリと重く響いたライヴ<この街で生きている>@渋谷WWW

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活動開始から三年。姿を現さずに、音楽だけで存在を伝えて来たamazarashiが初のライヴを行った。渋谷のwwwには、彼らの生の世界に触れようと、超満員のファンが詰めかけた。初体験のamazarashiのエンターテインメントに、最初はどう乗っていいかすらわからなかった客席も、ライヴが進むにつれて、自分なりの楽しみ方を見つけて行くような、自分と向き合って行くステージが繰り広げられた。

◆amazarashi、ライヴ@渋谷WWW~拡大画像~

2009年に活動を開始してから、公に姿をさらさず、その作品だけで圧倒的な存在感を放っていたamazarashi。たとえばコンビニで流れている音楽。ロックにポップス、いろんな曲が流れているが、どれも似たように感じ、その曲自体に記名性を感じるものは多くない。唄っている人の顔が見えて来ないのだ。生き様をぶつけてくるような、訴求力のあるアーティストはなかなか見つからない。対してamazarashi。ジャケット写真にも顔を出さず、そもそもどんな容姿なのか知っている人がいないのに、彼らの音楽からは、その人となりがクッキリと浮かび上がる。姿が見えず、曲の中にだけ、彼らはいるのに、耳から感じる音からは、体温や鼓動、呼吸、肌触りまでもリアルに具現化されるのだ。

そんな風に音だけで存在感を伝えるamazarashiが、初のライヴを行うという。

「いったいどんな人が歌っているんだろう?」

きっと、これはオーディエンスの多くの一番の関心ごとだっただろう。曲の存在感は、歌っている人、演奏している人への興味へとつながる。そして、MCでは何をしゃべるのか、とにかく楽曲から受けたイメージで膨らんだ彼らのアーティスト像がそのままなのか、どうしてもこの目で確かめたい。

歌というよりもポエトリーリーディング的な要素の強い「ポエジー」からライヴはスタート。ステージの前に垂れ下がった、シースルーの幕がもどかしい。楽曲に合わせて映像が映し出される。amazarashiの楽曲は、いやでも自分と向き合ってしまう曲が多いが、「ポエジー」はその中でも濃い言葉が並んでいる楽曲だ。この最初の一曲で、周りに人がいるのも忘れてしまいそうなくらい、ステージから飛び出してくる音と自分だけの世界に入り込んだ。

「夏を待っていました」で、視覚に飛び込むのは、キモかわいいおなじみのキャラクターのアニメーション。まるで夢で見るような脈略のないストーリーの奥にメッセージを感じるのは曲のせいだろうか。幕を透けて動いているメンバーが曲の感情に合わせて大きく揺れたり、小さく揺れたり。

楽曲の合間には三篇のポエトリーリーディングがはさまれている。「飛べない鳥」「生きている」「昨日以外の全てについて」。ライヴが進むに連れて、この三篇を通して思い悩みつつ、自死を踏みとどまり、前を向こうとする過程が描かれる。

「つじつま合わせに生まれた僕等」では、映像には地球環境や戦争について考えてしまうようなメッセージ性の強い映像が浮かび上がる。続いて「アノミー」では、社会と自分との関わり。映画を見に行って、その世界に入り込んでしまうように、amazarashiの曲の世界に迷い込んでいく。最初の頃は、メンバーを薄く覆う幕がいつ振り落とされるのか、そちらにも興味があったが、いつの間にかどうでもよく思えていた。彼らの楽曲を聴いたときに感じた、音楽だけで体現する存在感。それでいい。しかも、幕の後ろには間違いなく、彼らがいて、生身の彼らが同じ空間で、会場の空気を震わせているのだ。声と言葉。そして、映像のエンターテインメント。MCもなく本編が進んでいたが、13曲目に「この街で生きている」のあと、「今日はありがとうございます。次で最後の曲です。『カルマ』」と、ヴォーカル&ギターの秋田ひろむが口を開いた。結局、メンバーの歌以外の声を聴いたのはこの一言。

初めて体験した不思議な感覚のライヴだった。まるで音楽映画を見たようでもあり、ひたすら自分と向き合う時間でもあった。

取材・文●大橋美貴子

<1st Live「この街で生きている」>セットリスト@Shibuya WWW
1.ポエジー
2.夏を待っていました
3.ムカデ
4.ポエトリー1「飛べない鳥」
5.光、再考
6.つじつま合わせに生まれた僕等
7.アノミー
8.ポエトリー2「生きている」
9.さくら
10.無題
11.奇跡
12.ポエトリー3「昨日以外の全てについて」
13.この街で生きている
14.カルマ

◆amazarashi オフィシャルサイト
◆amazarashiオフィシャルmyspace
◆amazarashi Twitter
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