7月17日仙台、SIAM SHADEのロック魂と東北魂が共鳴した熱い夜

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東北地方の6大祭が集結するという一大イベント、東北六魂祭で大いに賑わっていた7月17日の仙台で、もうひとつ“魂”を揺さぶるような出来事があった。去る4月に期間限定の再結成を発表したSIAM SHADEによる<東日本大震災復興支援チャリティーライヴ SIAM SHADE SPIRITS~Return The Favor~>がZepp Sendaiにて開催されたのだ。公演入場料は無料という大盤振る舞いだが、その無料チケットを手に入れようと全国から実に定員の約15倍にも及ぶ申し込みがあったという。幸運にもその難関をくぐり抜けたファンたちの熱意が、猛暑の仙台をさらに熱いものにした。

◆SIAM SHADE画像

午後5時の定刻に暗転すると、ステージ上にKAZUMA、NATCHIN、淳士、DAITA、栄喜の順でメンバーたちが登場。あらかじめ手拍子と歓声が渦巻いていた場内は、1曲目の「RAIN」が炸裂した瞬間から極上の一体感に包まれた。冒頭の3曲を歌い終えると、フロントマンの栄喜は「大変だったな、おまえら。パッといこうぜ、パッと。今日は俺たちの奢りだ!」と言い放ち、オーディエンスを沸かせる。これでこそSIAM SHADEだ。大仰な再結成のドラマがそこに演出されているわけでは、まったくない。

メンバーたちは去る4月の時点において「この5人が再び集まることで少しでも元気になる人々がいるなら、少しでも希望を持つことができるならば、もう一度だけ俺たちの信じた“ROCK”をみんなに届けようと思います」という連名の公式コメントを発表し、自分たちの願いを「音楽を通じて、頑張る力、勇気と希望を与えたい」との言葉で伝えている。オーディエンスのなかには、フェイヴァリット・バンドとの再会を号泣しながら迎えたファンも少なくなかったが、そこに妙な湿り気は皆無。誰もが結果的には笑顔になっていた。

ふと気付いてみれば、アンコールでの「曇りのち晴れ」「1/3の純情な感情」「Dreams」の連射に象徴されるように、このバンドにしてはめずらしいほどシングル曲が数多く散りばめられた演奏内容となり、開演から約2時間15分後、二度目のアンコールの最後を飾った「Don’t Tell Lies」の余韻のなか、きわめて濃厚なライヴは、あくまでポジティヴに幕を閉じた。

終演後はメンバーたちもオーディエンスも実に清々しい表情。“東北魂”のバックプリントが鮮やかなTシャツ(この日、チャリティ目的で会場販売されたもの)を汗で濡らしながら帰路につこうとしていたある男性ファンに話を聞くと「今日は本当に元気をもらったし、相変わらずSIAM SHADEは最高のバンド。できることなら、これからもこのバンドをもっと観たい」との答えが返ってきた。おそらくこれこそが、この日に会場に詰め掛けていたすべての人たちの気持ちを代弁するものだろう。

あくまで期間限定である今回の再結成だが、彼らとの遭遇の機会はもう一度だけ、10月21日、さいたまスーパーアリーナに用意されている。暑く熱い仙台での忘れ得ぬ一夜を過ごしたSIAM SHADEが、震災直後には避難所としても活用されていたあの場所で、次にどんなステージを披露してくれるのか。とにかくこれは、必見と言うしかない。なお、この公演に関しては各地からのオフィシャル・バスツアーなども組まれているので、下記の期間限定公式サイトを是非チェックしてみて欲しい。

文:増田勇一
撮影:田中和子

『SIAM SHADE SPIRITS ~Return The Favor~』
10月21日(金)さいたまスーパーアリーナ
開場17:30 開演18:30
◆SIAM SHADE期間限定公式サイト
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