YUKI、妻として、母として、シンガーとして伝えたいメッセージを歌う

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YUKI

New Album 『megaphonic』 2011.8.24 Release

INTERVIEW

不安のパワーは強すぎるし、放っておいても勝手に人の中に入り込んでくるんです。だったら私は安心パワーを広げようと思いました。

――前作『うれしくって抱きあうよ』は、優しい肌触りを持ったアルバムでしたけど、今作はメッセージ性のある強い作品になりましたね。

YUKI:実は、今回のアルバムの歌詞は、1番を震災前、2番を震災後に書いたものがほとんどなんです。大きな変化があった時期にレコーディングをしていたので、自分の気持ちが強い意識を持たなくても作品の中に入りました。これまでの私は、いわゆる“トピカル・ソング”と言われるような時事的な歌を歌いたいと思わなかったんですけど、無意識に出てきた言葉ならば、それを拒否する必要はないなと思いました。皮肉でも何でもなく、自分の中で上手く歌に昇華できたものであれば、それは自分の伝えたかった思いであることは間違いないと思ったんです。

――同じ言葉でも、震災前に書いた1番と震災後に書いた2番では、大きく意味合いが変わったのでは?

YUKI:「揺れるスカート」に♪吹きさらしのミュージック~という歌詞があるんですけど、1番でその部分を書いた頃は、“音楽って虚しいな”“音楽って何だろう”というような気持ちになっていたんですね。でも、2番で書いた時は、同じ言葉なのにとても風通しが良くなったんです。それは、音楽はどこででも誰にでもでも鳴らせるんだ、という意味合いに変わっていたからなんです。その変化はとても嬉しかったですね。あと、「笑いとばせ」は、ずいぶん前にできていた曲だったんですけど、“笑いとばせ”という歌詞が出てきた時に、これは今鳴らさなくては!と思った曲でした。

――以前から、YUKIさんは“捨てられない音楽を作りたい”“未来に音楽を残していきたい”という思いを持っていました。その思いは今作でより強くなったのでは?

YUKI:思いは以前と変わらないけれど、今の私は自分の心と身体がちゃんと動くかどうか、その動きをきちんとキャッチできているかどうかを大事にしています。身体を使い、頭を柔らかくして、もっともっとできるはずだと自分に言い聞かせているんです。そういう思いと共に生まれた音楽は、私の歌がみんなの中で必要となった時、いつか残っていく歌になってくれるのではないかという希望的観測を持ってレコーディングしていました。

――YUKIはいつでもこの場所にいて、高らかに、大きな声で歌っているよ、と言っているようなアルバムだと思いました。

YUKI:私は妻であり、母であり、シンガーでもある。いろいろな立場があるからこそ、子供たちのためにも、大人がしっかりした精神を持って、いつでも“大丈夫だよ”と言ってあげたい。不安のパワーは強すぎるし、放っておいても勝手に人の中に入り込んでくるんです。だったら私は安心パワーを広げようと思いました。

――アルバムの最後の曲「集まろう for tomorrow」にある、♪不安は不安を呼び、愛は愛を呼ぶ~というフレーズがとても印象的でした。

YUKI:私は私を呼ぶんです(笑)。そして、YUKIを好きだと言ってくれるファンも“私”なんです。今回の事で本当にいろいろなことを考えたけれど、こんなにもたくさんの“私”がいてくれることにとても感謝しているし、だからこそ自分を曲げずに突き進めばいいんだと強く感じることができました。

――『megaphonic』には“最高の音”“最大級の音”という意味があるそうですね。

YUKI:アルバム制作を始める前から、新しいアルバムは明るくて、力強いアルバムにしたいと漠然と考えていました。それは普段の私が出ているアルバムではなくて、ステージ上の私というイメージがあったからなんですね。ステージ上の私はいろいろな魔法が掛けられて、私一人ではできないこともできるし、小さな声がどんどん大きくなって、もっと響かせることができる。みんなのパワーをもらって、ステージ上で大きくなっている私を一言で表す言葉は何だろうと探したら、“megaphonic”という言葉が出てきたんですよ。

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