GARNET CROW、クールかつドラマチックなダンサブル・チューン「Misty Mystery」特集

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GARNET CROW

最新シングル「Misty Mystery」2011.8.31 リリース

INTERVIEW

――前作「Smiley Nation」から2ヶ月、ガラリと曲調の違う新曲の登場ですね。

中村由利(以下、中村):確かに前作「Smiley Nation」、前々作の「Over Drive」は割と明るいポップソングで、みんなと一緒に歌って楽しめる系統の曲でしたよね。その反動なのか、次はもう少しクールで強いグルーヴのある、パンチの利いたロックを、どうしてもやりたくなったんです。ここ最近の笑ってるGARNET CROWじゃなくて、ちょっとカッコつけて笑わないGARNET CROW。そこを魅せたのが、今回の「Misty Mystery」なんですよ。

――なるほど。ある意味、決めポーズの似合う曲。

中村:そう! 型が決まってる。ただ、そういうイメージでデモは作ったものの、最初に古井(弘人)さんが上げてきたアレンジは、もっとGARNET CROWっぽいというか。ミディアムで横揺れっぽい切ない感じだったから、もっとデジタル・ロック調でロー感の利いた鋭いロックに作り替えてもらったんです。普段は歌詞もアレンジもお任せなんで、滅多にそんなダメ出ししないんですけどね。そしたら、かなり振り切ってくれて。結果、いい意味で裏切れる仕上がりになって大満足です。

岡本仁志(以下、岡本):僕もイントロから“これGARNET CROWの曲? CD間違えてない?”って思ったくらい(笑)。だけど歌が始まってしまえば“あ、GARNET CROWだ”って何の抵抗もなく入って行けて、そのへんのリアクションはファンの方々も同じじゃないかと思うから、早く反応が知りたいですね。

――実際、私も“GARNET CROWが、こんなにビートの利いたダンサブルな曲を?”って驚きましたからね。完成に到るまでの過程でも、今までとは違う苦労があったんじゃありません?

岡本:歌の“アッ”っていうフェイクにはこだわってたよね?

中村:あそこは一番苦労して、何回も録り直しました! こういう曲なんで、メロディの歌入れをしてるときに、“ここにはフェイクが欲しいな”って思っちゃったんですよ。とはいえ、そんなフェイクはやったことがないから、具体的にどう発声したらいいのかわからなくて。ファルセットで高く歌ったり、低い声でやったり、地声で出したり、いろいろ試行錯誤して一番ビッ!と来るものを選びました。

岡本:サビも言葉数が詰まってて、歌うの難しそうだなぁと思ったけど。

中村:そこも難しかった。歌詞も韻を踏んでたりで、畳み掛けるようなメロディとフレーズだから、常に次の歌詞を思い浮かべながら歌わないと追いつけない。もう、歌詞にもサウンドにも喰らいついて、強さや鋭さを重視しつつ、ある意味必死に歌ってます(笑)。

――AZUKI七さんの歌詞については、どんな印象を受けました?

中村:“幻想”とか“残像”とか、抽象的な言葉使いがミステリアスで、GARNET CROWっぽいなぁと。それがガットギターのアンニュイな響きと上手く絡んで、グルーヴィーな今風のダンス・チューンっていうだけに留まらない不思議な妖艶さ、美しさを出してますよね。そのミステリアスで掴みどころのない雰囲気に呑まれて、なんだかクセになる感じ。

岡本:その中でギターも、揉まれて楽しむというか。こういう打ち込み系のサウンドになると、ギターの選択肢は逆に狭まるんですよ。印象に残る部分って、ガットギターでのソロくらいじゃないかな。あと、ぜひ観てほしいのが初回限定盤につくPV!

中村:草原でイメージ・シーンを撮ったり、CGを使ったりで、撮影に19時間もかかったんですよ。あとは外国人エキストラが演じる偽GARNET CROWとも共演してて、私の役の方は金髪だった(笑)。あとは、歩くシーンを撮るときの監督さんの指示が面白かったよね?

岡本:“いつ襲われるかわからないくらい治安の悪いところに来ちゃって、ヤバイぞ!っていう顔をしてくれ”とか。

中村:そんなのイメージ沸かないし! そういうお芝居的なところも注目してもらえれば。

――楽しみです。新境地を開いた「Misty Mystery」とは対照的に、カップリングの「live(リヴ)」は、ここ数作の延長線上とも言える曲ですね。 

中村:そうですね。これ、実は「Misty Mystery」と共にシングル候補だった曲なんですよ。「Over Drive」「Smiley Nation」と続けてきた明るいポジティヴ・ソングも、自分たちの中で“モノ”にしたいという想いもあったし。実際3作目にして、ようやく馴染んできた感もあったから、じゃあカップリングに……と。

岡本:飛び抜けてポップな曲で、こんなにウキウキでいいのか?と思ったのも最初だけで。そういう意味では僕ら自身、頭が柔らかくなったのかな。

中村:デモ段階では普通のミディアム・チューンだったのに、アレンジされたら跳ねた明るい曲になって返ってきたんで、私も“古井さん、何かいいことあったのかな?”って驚いたくらい(笑)。“‘おと’になる‘うた’になる”っていう歌詞の通り、いろんな気持ちが集まって一つの歌になる……っていうポジティヴな気持ちで歌える曲だから、私もライヴの絵が浮かんできて、楽しくレコーディングできました。だからイントロもライヴを意識して、ドラムのフィルだけで“あ、「live」だ!”ってわかるように作ってもらったんですよ。

岡本:うん、ライヴが見える。イントロのドラム回しが何倍かになって、それをバックにMCしてそう(笑)。

――そもそもタイトルが“ライヴ”まんまですもんね。私には陽だまりの中で楽しそうにアコギをかき鳴らしている岡本さんが見えましたよ。

岡本:そのアコギが跳ねてる上に、テンポが速くて! 年を取って細かいプレイに追いつけなくなってきてるから、頑張って若返ったつもりで弾きました(笑)。

――まだまだ大丈夫ですって! と、軽やかで楽しげでハイトーンな「live」とは逆に、通常盤のみ収録の「I can't take…」は低音押しで、その対比が面白いなと。

中村:新しい挑戦をした「Misty Mystery」、最近のモードでもある明るくポジティヴな「live」と来たので、3曲目では原点回帰というか。昔から作り続けてきたGARNET CROWの王道でもある、マイナー・コードのミディアム・ポップをやりたかったんです。

岡本:ギターも割と重ねてるというか、曲の中での比重は高いですね。結構いろんなことを弾いてるから、ライヴではどれを弾こうかなって(笑)。

――しかし、“I can't take”というサビ・フレーズのリフレインが、ずいぶんと激しいですよね。このワードに何か、特別なこだわりがあったんでしょうか?

中村:そう思うじゃないですか? でも、作詞した本人いわく“フィーリングで書いた”らしくて。実際、私たちも制作中はリフレインの多さに気づかなかったんです。でも、いざ出来上がったときに“多すぎじゃない?”って話になって、頭についてたアカペラ風のサビだったり合間だったり、合計10個くらい取ったんです……けど、ミックスでディレイを掛けちゃったから、結局あんまり回数変わってない(笑)。まぁ、おかげで音の壁みたいな感じになったのは面白いし、メロディ・ラインやサウンドは初期のGARNET CROWを彷彿とさせつつ、歌詞は珍しく大半が英語のフィーリング重視ということで、新鮮に歌えましたね。

岡本:なんか台詞みたいだよね。不治の病で死にそうな人が、想いの丈を必死で伝えようとしてる……みたいな。そう考えたら感動的に聞こえる。

中村:すごい。シェイクスピアみたいなこと言うね。

――(笑)。ともあれ、本当にバランスのいい1枚になりましたね。

中村:そうですね。新しいGARNET CROW、今のGARNET CROW、昔ながらのGARNET CROWが全部入ってる。今がそういうモードなんですよ。一つのものに捉われずに、いろんなバリエーションの曲を貪欲に作りたい。

岡本:やっぱり自分たちが飽きてしまったらダメなんですよね。いろんなタイプの曲をやって、その中に新境地もあり、GARNET CROW的ドストライクもあるっていうのが、自分たちのモチベーションを下げないために必要なことなんだと思う。だから次のアルバムは、そういったことが反映されたアルバムになるんじゃないでしょうか。

――新境地ということなら、“踊るGARNET CROW”なんてどうでしょう? それこそ「Misty Mystery」なんてピッタリな曲じゃないですか。

中村:確かに、今時の方たちだったら絶対に踊りながら歌う曲ですよね。私もソコに憧れて作った部分はあるんですよ。カッコよく踊りながら登場する絵は浮かぶんだけど、自分では到底無理だから、せめて曲だけでも!って。

――無理だなんて言わないで、ここまで来たら振り切ってみましょうよ。

中村:そうですか? じゃあ、ダンサー用意しとかなきゃ!(笑)

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