SEKAI NO OWARI、人の心の奥深くにある感情を描くトリプルリードシングル「INORI」大特集

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SEKAI NO OWARI

トリプルリードシングル「INORI」発売中

INTERVIEW

──資料には「2010年、突如として現れた」と書いてあるけど、まずは皆さんの出会いから聞かせてもらえますか?

藤崎彩織(以下、藤崎):深瀬とは幼稚園から高校くらいまでの幼なじみですね。私と深瀬は幼稚園から小学校、中学校とずっと一緒で。私の方が学年は一つ下ですけど。

LOVE:僕は高校からです。知り合ってもう十年ですね。

中島真一(以下、中島):僕と深瀬は小学校からの同級生で。クラスの中ではだいぶタイプの違う2人だったんですよ。この2人がバンドやってるってだけで同級生は意外に思ったんじゃないですかね。きっかけは、中学三年のときに、お互い“ゆず”が好きってことで、家を行き来するようになったんですね。高校は別の学校に進学したんですけど、同じ音楽好きとしてつきあいが続いていて。大学に僕が入ったときに、バンドをやろうって誘われて。でも、ドラマーとベースが見つからず。僕ら付き合いが長いので、そこに入って来れる新しいメンバーってなかなかいなくて。うまく活動が進まないからどうしようって話をしたときに、僕らが24時間音出しができて、活動の拠点となる場所を作ろうと。それが今、club EARTHという形で残っている場所なんですけど。そこを作ることになって、集まって来た仲間たちの中に彩織ちゃん(藤崎)とLOVEがいて。彩織ちゃんは昔からピアノをやっていたし。

深瀬慧(以下、深瀬):気の合わない人とやるよりも、仲の良い友達同士でやったほうがいいですしね。今の形ができるまでに結構な試行錯誤と苦労があったんですけど、曲作りの段階で、ドラムやベースは打ち込みでやってたんで、DJを入れて、それで一つのスタイルを作っちゃったほうがいいんじゃないかと。紆余曲折ありながら、今の形に落ち着きました。

──それでLOVEが加入したわけですね。

LOVE:はい。誘われました。自分の前にサポートメンバーが一人いたんですけど、その人が辞めたその日に深瀬から電話がかかってきて。「一生のお願いがあるんだけど……」って言われて、話を聞きに行ったらそういうことで。その場で「やります」っていう感じでしたね。

──SEKAI NO OWARIというバンド名はいつのタイミングでつけたんですか?

深瀬:club EARTHを立ち上げる前くらいが一つのターニングポイントになっていますね。ちょうど音楽を始めたのが二十歳くらいだったんですけど、僕はそれまで本当に勉強もできなくて、夢も持ってなくて、漠然と何かしたいみたいな。だから、絶望の真っ只中の時に、ある瞬間があって。今自分には何も残されてないから、ここでこのまま終わってしまうのか、終わってしまったところから、また何か始めるのかは自分次第だなって。始まるなら終わりからちゃんと始めて行こうと思ったので、SEKAI NO OWARIというバンド名が自分には合ってるなって思ったんです。

──ニュアンスとしては、英語の「LAST」(最後という意味の他、持続、継続の意味もある)に近いですよね。

深瀬:そうですね。表裏一体みたいな考え方なんでしょうけど、それにすごく近いです。自分の世界が一度終わったところから、また何か始めてみようという、そういう気持ちなんです。何かが終わることにすごく抵抗のある人間だし、何かが終わってしまうことが悲しかったから、終わりから始めていく。何もないところからまた新しいものを作っていって、それがまた何かのタイミングで終わってしまったとしても、それがまた新しい始まりだと思えるようなものになりたいなと思ったんですよね。

──この「INORI」は3曲がすべてリード曲で、それぞれ作曲者が別ですね。三人が曲が書けて、深瀬くんと藤崎さんが作詞ができるから、自由自在に曲ができていきそうですね。

深瀬:気持ちとしては良い曲を書かれると複雑なんですよね。「こんなの作れるの?」って悔しい気持ちもあるけど、僕らが演奏する僕らの曲だから嬉しいし。そんな気持ちが半分ずつあって(笑)。だけど、悔しいと思ったら、お酒をキューッと飲むと、嬉しい気持ちが9割くらいになるので、お酒を飲んで大喜びすることにしています。そういう意味では他のバンドさんたちとぜんぜん違う楽しみ方というか。なかじん(中島真一)や彩織ちゃんから上がってきた曲を一番聴くのは僕なので、リスナー的な楽しみ方もできているというのはありますね。

──歌詞の振り分けはどうやって決めているんですか?

深瀬:「花鳥風月」に関しては、メロディに歌詞が溶けるようなものにしたいと思ったので彩織ちゃんに頼みました。僕はそういう歌詞が苦手で。

藤崎:うちのバンドの場合、メッセージ性が強い歌詞がほとんどだったので、「花鳥風月」は、メッセージ性がなくても、口にしたときに気持ちいい言葉がいいなぁと思っていて。そういうイメージから書き始めました。

──「不死鳥」は中島くんの曲ですけど、ギタリストらしいですね。

中島:そんな感じですよね(笑)。原型は5~6年前くらいに作ったんですよ。Bメロのちょっとゆったりしたところだけ、二年前くらいにSEKAI NO OWARIでやりたいなと思って作り変えて今の形になりました。原型は曲作りを始めたときのものだけど、Bメロを作ったときにはもう曲作りもそれなりにこなして、できることも増えて来た頃だったんですね。Aメロとサビの間に新しく作るというのはパズルっぽいところもあって。そういうのがうまく綺麗にできました。

──歌詞ではロボットとの恋愛を唄っていますよね。それを下敷きに永遠のことや死生観も浮かび上がっていますが。

深瀬:もともとは恋愛の曲を書きたいと思ってたんですよ。永遠と永遠じゃないものの恋愛というのを描きたかったので。実はラブソング初挑戦だったんですよ。

──へぇ!

深瀬:自分の中のいろんな恥ずかしい部分も闘いながら出したし、個人的には自分の中の世界観をこんなにも出してしまったけど、僕的にはすごく好きな曲になったので良かったなと。

──3曲目「Never Ending World」がすごく壮大じゃないですか。どんどんテーマが広がっていくシングルですね。曲は藤崎さん。

藤崎:これは震災直後にできた曲なんです。震災の翌日くらいに、ピアノに向かったんですね。原型になるものはあったんですけど、なかなかまとまらなくて。震災を受けてこういう曲にしようというのが初めてビジョンとして見えて。その翌日か、翌々日くらいにはできました。ほとんどアレンジも変わらないような形で。深瀬にも「震災を受けて歌詞を書いてほしい」とお願いして。

深瀬:アーティストが今回の震災のことに関して触れることって怖いんですよね。変なことを言えば誰かを傷つけてしまうかもしれない。変なことも言ってないし、誰も傷つけていないのに怒られるかもしれない。怖いからみんな言わないんですよ。僕も自分の中では整理が付いてないし、これから時間が経ってから、このことに関しては歌詞を書いてみようかなと思ってたんです。偽善とか、いろいろ言われるのかなぁと思ったんですけど、「いいや」って思って。間違えたっていいかって。覚悟を決めて進んで間違えたことは、ただの間違いではないし、そこから始まる何かだと思うし。

──すごい説得力ですよね。

深瀬:あまり何も考えずに書きました。その時に思っていることを素直に、記録として。レコーディングの日程とかも詰まってて、歌詞を書く時間って4、5日間くらいしかなかったんですよ。「不死鳥」は半年かかってるんで、4日間とか5日間だと僕にとってはすごく短い。短い期間だからこそ書けることにしようと。

──普段から考えていたからその期間でできたんでしょうね。

深瀬:そうかもしれないですね。自分の中にあったから。考えすぎてわけがわからなくなったりしますよ。体が壊れないようにしないと。メンタルがやられると体が壊れますから。最近は運動するようにしています。歌詞を書くスタミナって必要なんですよ。こういうヘヴィなものを書いたりしているので。書いているときもそうですけど、それを周りの人に見せたとき、リリースしたときに一番のダメージがくるんですよ。

──色んな人の意見とか?

深瀬:意見というよりも、自分たちの曲が公共の場に出ててしまった瞬間。その瞬間がすごく怖いんです。本当に自分がそんなことを思っていて、自分の言葉に100%責任を負えるのかって。負えるようにしているけど、100%の自信で、自分に自信があるわけじゃないので、そういう不安ももちろんあるし、すごいストレスフルな曲だったので、スポーツしてごまかしたりしていますね。

──そして、もう武道館のライヴが決定していますが。

藤崎:武道館は結構大変ですよね(笑)。私たち、今まで12曲が最大の曲数なんですよ。でも「もうちょっとやれ」って言われているし(笑)。今までのライヴの中で最長のプログラムを今組んでいるんですけど、一時間半とか二時間のライヴをやったことがないので。

深瀬:ないどころか、俺らは東京でワンマンをやったのが3回くらいなんですよ。4回目で武道館。きっと、来てくれる人も俺らのワンマンっていうのをわかってないと思うんですよね。お見合いみたいにならなきゃいいですけどね。「初めまして」みたいな感じにならないような仕掛けを作らなきゃいけないなぁと思っています。最初から楽しんでもらえるように。イメージとしては、暗い曲を暗くやりたくないんですよ。きっと見てられないくらい暗くなると思うから。

藤崎:楽しいライヴにしたいですよね。体が動かせるような。そうしたくない人はしなくてもいいですし、体が動かしたい人が遠慮せずに楽しめるようなライヴにしたいと思います。

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