GARNET CROW、新しい側面が結実した意欲作NEW ALBUM『メモリーズ』大特集

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GARNET CROW

NEW ALBUM『メモリーズ』 2011年12月7日リリース

INTERVIEW

──以前、「Smiley Nation」を作っていた頃の話をお聞きしたときに、「前向きなものを作ろうというモードになっていた」という話をされていたんですが、アルバム『メモリーズ』は、そういう部分と、今までのGARNET CROWが良い感じで混ざり合った作品になりましたね。

中村由利(以下、中村):そうですね。今は、ポジティヴな楽曲に挑戦しだした頃より落ち着いてきた感じなんですよ。ポジティヴな曲を作るのも、チャレンジという感じではなく、自分の中で普通になってきた感覚があって。「Smiley Nation」「live ~When You Are Near!~」「メモリーズ」などの楽曲も特別なことをしているという感じもなく、自分の中でもモノにできている感覚なんです。

──自然にこの幅が出るっていうわけですね。

中村:ライヴやイベント等でも皆さんに受け入れてもらえたというのも大きいかも。「明るい曲が好きです」というファンも増えてますしね。それはここ数年の新しい発見だなぁって。自分たちの持ち味は、切なさ、儚さ、憂いを含んだ、そういう楽曲。もちろん、そういう楽曲は好きなんですが、そこではない部分の楽曲でも評価を得られることができるようになったというのは、自分の中でも自信になってきて、強みになってきて、もっと抵抗なく、ライヴでも楽しめるようなものを作ってみようとなりましたしね。特に今年は色んなことがあったから、そういう時に心が和らぐような、自然と笑顔になれるような楽曲っていうのを思った年でもあった。プラス、本来の自分たちの姿、「JUDY」とかに見られるような、ミディアム調のロッカバラードも持ち味だというのがより理解できたのは、明るい楽曲を作り続けたからこそでもあって。逆に自分達の良さも際立ったというか。

──そこで再確認したんですね。

中村:そう。だから自分達らしい曲とポジティヴソングと「Misty Mystery」のようなデジタルロック的な新しく挑戦した曲が混在したアルバムになったかなぁと。

岡本仁志(以下、岡本):そうだね。従来のものともう新しくはないものと新しいもの、その3つの方向性が入ったよね。

中村:今年は色んなタイプの楽曲を分け隔てなく作りたいという思いが凄く強くて。自分にタブーを作らないという。こうじゃなきゃいけないという、マイナスな縛りはいらないんじゃないかと思って。自分が面白いなと思ったら、音でも素材でも取り入れてもいいんじゃないかなと思ったんですよね。今までは「GARNET CROWと言えばロックバラード」「泣かせる曲」みたいなのがあったから、聴かせる曲をもっともっと作ろうって思っていたけど。それは、そういうモードだったし、やりたくてやっていたんだけど、今年に入ってからはそういうこだわりよりも、もっと色んな面のGARNET CROWを観ていただきたい、聴いていただきたいという思いが強かったんですよね。

──なるほど。だからこそ、振り切って「ロンリーナイト」のようなものもできてくるわけですね。

中村:そうそう。巷ではK-POPも流行ってるし、デジタルな音楽が多いですよね。普段の生活の中でもそういう曲が耳に入る機会が多くなったじゃないですか。そうなると、自分たちでもちょっと取り入れてみたいなって疼くわけですよ(笑)。

──音楽をやっている身としては気になるわけですね(笑)。

中村:うん(笑)。結構カッコいいなとか、自分たちが広げて来なかった世界だったりもするから、新鮮だし、面白そうだなって。

岡本:そう。乗っかるんじゃなく、面白そうって感じ(笑)。“何なに?ちょっと食べてみていい?”みたいな(笑)。

中村:味見してみたら美味しいじゃん!っていう、そういう感じ。食わず嫌いな分野もかじってみようかなって。「Misty Mistery」の流れで、デジタルをもっと昇華させて、踏み込んで、「ロンリーナイト」みたいな踊れるディスコチューンみたいなのにしてみたり。歌も、今までは「歌モノ」っていうこだわりがあって、歌は極力自分のナチュラルなものを再現したいということで、加工とかはしないで、自分の声だけで勝負できるような音質にこだわって作ってるんですけど、「ロンリーナイト」に関しては、声にもオートチューンをかけてエフェクトをかけてるんですね。だから生の声じゃないんですね。そういうところを取り入れたりするのは、自分の声も一つのインストゥルメンツとして捉えて、ギターとかドラムの音と同じように、ミックスしてくださいってエンジニアの方にお願いしたんです。どんどん遊んでくださいって。そうしたら、こういう仕上がりになったんですよね。

──遊び心満載ですもんね。

中村:そう。この曲で切なさとか感動を生もうとか、そういうところとは別次元。これを家で聴いたら、その部屋が一瞬にしてクラブのフロアになるみたいな、シチュエーションを変えられる、楽しい曲だなって。じゃあ、これをライヴでやったらどうなるかな? クラブのフロアみたいになるかな? 踊りたくなるよね? って、考えるわけですよ。それも音楽の楽しさじゃないかなって思うようになってきて、変なこだわりの部分がとれてきてるんですよね。それが11年目の経験なのか、余裕なのか。音楽ももっと色んな聴き方や楽しみ方があってもいいと思うんです。どんなときにどんな曲を作らなきゃいけないとか、どんな曲を聴かなきゃいけないとか、そういう決まりもないから、だったらGARNET CROWも広げていってもいいのかなって。面白いものがあれば取り入れてもいいんだなって、柔軟に思えるようになったのが今年だったので。

──聴いてるとすごく楽しいですよ。

中村:やってるほうもすごい楽しいですからね。従来の自分たちをもっと発展させることができたし。さすがに、「ロンリーナイト」にジュリアナヴォイスを入れたいと言ってシミュレートしてみたものは、速攻、リーダー(古井弘人)から却下されましたけどね(笑)。

──その現場すら楽しそうです(笑)。

中村:そう! すごい楽しんで作ったっていうのは大きいですね。

──いろいろ振り切っているからこそ「JUDY」のような従来のGARNET CROWらしい曲の深さが際立ちますね。

中村:うん。きっとどっちに偏ってもダメなんでしょうね。「JUDY」のような曲をガッツリ聴いてもらいたいがためにチャレンジ的なものが楽しめる。遊び心のあるものを聴いたあとに「JUDY」のような曲に戻ると、やっぱりGARNET CROWはこういう切ないバラードは凄いねとか、いいよねって言ってもらえるようになりたいから。そのために色んなバリエーションで持ち駒を持っていたい。

──「JUDY」はPVも風変わりですよね。

中村:はい。漫画になってるんですよ。ちゃんとしたストーリーがあって、そこに「JUDY」の歌詞と世界観がうまく絡んでるっていう。この曲とは別にオリジナルの漫画を夏目ひらら先生に描いていただいたんですけど、このPVは三話中の二話目になっているんです。切ない物語になっていて、WEBで完結するんですけど。漫画メインでPVを観てもいいですし、純粋にミュージッククリップとして観ても「JUDY」の世界観が楽しめると思いますよ。実写と漫画のコラボみたいな感じですよね。

岡本:まさか自分が漫画のキャラクターとして描かれるなんてねぇ。一番食いついてたのはリーダーですけど(笑)。夢だったらしくて。アニメの役になるとか、漫画に出るとか。

中村:意外でしょ?

──意外ですね(笑)。ちなみに……「創世記 I」ですけど、「II」があるんですか?

岡本:今のところはないんです(笑)。

中村:今後、「II」があるかも……。

──アルバムタイトルに「メモリーズ」と名付けたのは?

中村:今年は色々ありましたよね。過去を振り返って、想い出とか積み重ねてきたもの、経験って、かけがえのないものだから、それをこれからも大事にしていってほしいという裏メッセージもあるんですよ。その想い出に私たちの曲も寄り添って歩んで行けたら一番ベストだなぁと思って。音楽って、その時のBGMとして節目節目で残っていたりしますよね。想い出にくっついてるっていうか。この曲を聴いたら、あの曲を思い出すとか。曲が思い出の目次になってくれたらいいですよね。誰にでも聴いてもらえる曲がたくさん収録されていますしね。

──大晦日にはカウントダウンライヴもありますね。

中村:実はこのライヴが2011年、フルバンドの初ワンマンライヴだから、365日ぶりのライヴなんです(笑)。しかも2012年一発目でもあるんですよね。みんな待ってますよね。カウントダウンライヴはお祭り的な感じで考えているから、皆さんとより近く、騒いで、楽しんで、新しい年を迎えたいと思います。

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