歴史に残る名曲、What A Wonderful World~この素晴らしき世界~

ツイート

「ワット・ア・ワンダフル・ワールド」は歴史に残る名曲として、多くの人々に知られている。正確にはクリスマス・ソングではないが、そのポジティブな歌詞のメッセージ性から年末のホリデーシーズンにぴったりなBGMとして頻繁に使われており、フランク・シナトラやナタリー・コールなどもカバーして、クリスマス・アルバムに収録されている。

日本では「この素晴らしき世界」という邦題でよく知られるこの曲は、有名な音楽プロデューサーのボブ・シールと作曲家のジョージ・デヴィッド・ワイスが書いたものだ。2人はジャズ・スタンダード曲「ララバイ・オブ・バードランド」、エルヴィス・プレスリーとUB40のヒット曲「キャント・ヘルプ・フォーリング・イン・ラヴ・ウィズ・ユー」も共作している。

実は最初、トニー・ベネットにこの曲をオファーしたが、彼が気に入らなかったので、当時66歳だった人気のジャズ・シンガー、ルイ・アームストロングに提供され、アームストロングはヒットチャート1位を獲得した史上最高齢の歌手となった。

発売当時、アメリカの民放テレビ局ABCの社長がこの曲を受け入れずプロモーションを行なわなかったことや、全米では1000枚以下のセールスにとどまったことは今も語り草になっている。しかしその一方でイギリスのチャートでは1位を獲得、1968年以来、最高のセールスを記録したシングル曲となり、その後も数多くのカバー・バージョンが登場している。アームストロングのオリジナル・バージョンも、1988年のヒット映画『グッド・モーニング・ベトナム』に起用されたことでリバイバルヒットとなり、全米32位、オーストラリアで1位を獲得した。日本では、2004年のヒット邦画『スウィングガールズ』への起用でリバイバルヒットとなった。

他にも特筆すべきこの名曲のカバー・バージョン10曲を紹介しよう。

1)1970年
遅ればせながらこの曲の良さを認めたトニー・ベネットはアルバム『サムシング』にカバー・バージョンを収録。その後、k.d.ラングとデュエット・バージョンをレコーディングした。

2)1988年
偉大なカントリー・シンガー、ウィリー・ネルソンがカバーし、アルバム『ウィリー・ネルソン』に収録し、大ヒットとなる。

3)1990年
ザ・フレーミング・リップスが、ブレイクするきっかけとなったアルバム『イン・ア・プリースト・ドリヴン・アンビュランス』でゆらゆらとしたムードのノイジーなバージョンをレコーディングした。

4)1994年
イズラエル・カマカヴィヴォオレ、こと“イズ”がハワイアン・アーティストとして初のゴールド・ディスクを獲得したアルバム『フェイシング・フォワード』で「サムウェアー・オーバー・ザ・レインボー」とのメドレー・バージョンをレコーディング。巨体のイズが小さなウクレレで奏でるメロディーと素晴らしくピュアで高い声は名曲を生み出し、イズが1997年に他界した後もさらに人気を集め続けた。このバージョンは映画『ジョー・ブラックをよろしく』や『50回目のファースト・キス』、ドキュメンタリー『ロンドン・コーリング』など、テレビや映画に何度も起用されている。また、ドイツのiTunesではシングルとして史上最高セールスを記録。この曲を収録したアルバム『ベスト・オブ・イズ』が昨年リリースされ、ドイツとフランスでトップ5にランクインしている。

5)1999年
カナダ出身のシンガー、アン・マレーがアルバム『ワット・ア・ワンダフル・ワールド』でカバー。このアルバムは、クリスチャン、カントリー、ポップ・チャートにランクインし、計200万以上を売上げた。

6)1999年
ケニー・Gがルイ・アームストロングのオリジナル・バージョンを使ったデュエット・バージョンをレコーディング。かなりヒットしたものの、すでに他界していた伝説的アーティストとケニーの演奏を結びつけたのは冒とく行為だとして強い反感を示す者も多かった。怒ったパット・メセニーがケニー・Gのやり方を“音楽的な死体愛好症”と批判した公開状を書いたのは有名な話だ。

7)2002年
他界する数ヶ月前にジョーイ・ラモーンが素晴らしく情熱的なパンクロック・バージョンをレコーディングした。このバージョンは、『フォーチュン・クッキー』や『ボウリング・フォー・コロンバイン』など様々な映画に起用され、アップル社のソフトウェア“ファイナル・カット”の広告キャンペーンにも起用されている。

8)2004年
ロッド・スチュワートがアルバム・シリーズ『ザ・グレイト・アメリカン・ソングブック』第3弾で、スティービー・ワンダーをハーモニカに迎えた壮大なオーケストラ・バージョンをレコーディングした。

9)2007年
ケイティー・メルアが故エヴァ・キャシディと、赤十字チャリティーのためにレコーディングしたデュエット・バージョンが全英で1位を獲得。

10)2011年
コールドプレイがグラストンベリーで演奏。バンドは過去にもこの曲を何度も演奏してきている。

上記以外にも、ステイシー・ケントとヘイリー・ロレンによるジャズ・ボーカル・バージョン、ドナルド・ハリソン(サックス)、ビージー・アデール(ピアノ)、オータサン(ウクレレ)によるインストゥルメンタル・バージョンが存在する。アン・サリー、綾戸智絵、コブクロ、モンゴル800、中島美嘉、ミーシャ(セコムのCM)、本田美奈子の日本語バージョンなど多数の日本人アーティストにカバーされてきている。

キース・カフーン(Hotwire)

◆【連載】キース・カフーンの「Cahoon's Comment」チャンネル
◆BARKS洋楽チャンネル
この記事をツイート

この記事の関連情報