カルティエ“LOVE”をテーマにしたミュージックイベントが開催


それに続いた田中知之も、自身の真骨頂とも言えるダンス・トラックにスメタナの名曲「モルダウ」の美しい旋律をインサートさせるなど、洗練されたDJテクニックを披露する。さらにSebastien Tellierは、ささやくように奏でるその歌声は同じフランスの名シンガー、セルジュ・ゲンズブールをどことなく彷彿とさせるようなオーラを感じた。自ら奏でる鍵盤と、サポート・ミュージシャンのシンセサイザーの音色に包まれながらゆったりとしたテンポで歌い上げる官能的な音世界に、会場を埋めたオーディエンスは心地よく酔わされた。

「ミューズという概念は、私たちにとっても実に重要です。一種の原動力と言っても良いでしょう。これまで発表してきた全てのアルバムで、私たちはモチベーションの源としてのラブストーリーを必要としてきました。作品を生み出すということは、愛されたいと願う強い欲求にも似ているのです」
「ミューズとは、どこか神のような存在です。画家の目から見た彼女は、完成の一歩手前の絶対的な愛の対象なのです。画家のミューズへの崇拝は、もはや現実と折り合えなくなる次元に達します。彼女を通してしか世界を見ることができなくなった画家にとって、唯一の望みは彼女と一体となることなのです」

そのストーリーは、自ら創り出した彫像ガラテアに恋をした彫刻家ピュグマリオンが、愛の神アフロディテに祈りを捧げ、生命が与えられて人間となったガラテアと結ばれるギリシャ神話の物語を現代に蘇らせたかのよう。そんな幻想的な映像に、女性の吐息がビートのようにループし、かと思えば、映像の色彩の変化とともに多彩な音色が重なり……。Airの真骨頂と言っても良いダンサブル、かつ美しい音世界が融合した「Painted Love」は、このプロジェクトのコンセプトである“LOVE”がひとつの芸術として結実した作品だ。さらにニコラは、ジルダ&マサヤとしての活動でも知られる、フランスの人気レーベルKITSUNEのオーナージルダ・ロアエックともにDJプレイも披露した。
「芸術は、愛の渇望。心を揺り動かす情熱が必要だ」
会場内のスクリーンで流されていた「Painted Love」の制作ドキュメンタリーの中で、ニコラはそんなコメントも語っていた。日本とフランスをはじめ、国境の枠を越えてこの一夜に集った様々な人々は、“LOVE”にインスパイアされた音楽や映像を通じてまさしく心を揺り動かされたはず。その原動力となった一作「Painted Love」はカルティエの特設サイト(http://www.love.cartier.jp/)で公開されているので、そこに託されたメッセージを貴方なりの感性でぜひ汲み取ってもらいたい。
◆カルティエ特設サイト
この記事の関連情報
<GREENROOM FESTIVAL’23>アーティスト総勢38組、心ゆくまで音楽を楽しんだ2日間が無事終演
斉藤和義、デビュー30周年記念ツアーで歌ってほしい曲を募集
フェニックス、ブレイクス+ファルコンによる「WINTER SOLSTICE」ニューリミックスをリリース
斉藤和義、一発録り12曲収録のデビュー30周年記念盤を7/26に発売
坂本龍一、中国・成都市で大規模展覧会<SOUND AND TIME>が開催
斉藤和義、シングルベストのアナログリマスターBOXセットをリリース
【ライブレポート】夏木マリ、デビュー50周年を経て作り上げた音楽への愛溢れるステージ
夏木マリ、東京ブキウギをカバーした「TOKYO JUNK BOOGIE」MV公開+日比谷野音ライブ決定
坂本龍一のオフィシャル楽譜サイトに2曲追加
