ムーンライダーズ、「又、進化したらどこかでお会いしましょう!」

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無期限の活動休止宣言を行ったムーンライダーズが、活動休止直前の最後の公演となるライブを、2011年12月17日(土)東京・中野サンプラザで開催した。

◆ムーンライダーズ画像

リアルタイムで聴いてきた原体験世代から、デビュー時には生まれてもいなかった20~30代まで、世代を超えたオーディエンスが開演を待ち望む中、5分前を告げる1ベルが鳴る。そこへ、各々の楽器を手にしたメンバーが演奏しながら、客席に登場し客席内を回り歩いた。ロビーに出て歌っているメンバーもいる。やがて全員が客席中段に集まり、鈴木慶一がメガホンを通じて「Damn! MOONRIDERS(くたばれ、ムーンライダーズ)」と叫びながらステージに上がった。このマイクを使わない生音だけのオーディエンス・シート・ギグという意表を突いたオープニングで幕を開けた。

舞台幕前には鈴木慶一がひとり残ってアコースティック・ギターを爪弾きながら、1979年発表の「鬼火」を歌う。いきなりオールド・ファンのハートを掴み、続いてメンバー全員での「Who's gonna be reborn first」「 Who's gonna die first」。“誰が最初に生まれかわるか?”“誰が最初に死ぬのか?”と意味深な曲を続けた後に「Don't Trust Enyone over50、60」(50、60歳以上の人間は誰も信用するな!)とシニカルに繋げる辺りが、いかにもムーンライダーズらしい。

中盤は12月14日にリリースされた通算21枚目の最新作『Ciao!』の楽曲を中心に淡々と演奏していく。

後半になるとファン待望の名曲コーナーに突入した。まず1986年発表の「ボクハナク」では、ソング・ライターである鈴木博文が再び客席に降りて、コーラス・パートを観客と共に生で歌う。続く「Cool Dynamo, Right On」では、武川雅寛が煽って、総立ちとなり怒濤のアップテンポ・ナンバーが次々と演奏されていく。ラストの「スカーレットの誓い」の全員での大合唱を経て本編は終了。

アンコールでは、舞台に客を呼び込む。まずは女性客が50人ほど舞台の上手下手に分かれ懐かしの名曲「マスカット・ココナツ・バナナ・メロン」を合唱。続いて白井良明が「穴掘り男性合唱隊」を募り、今度は約50人の男性客が舞台に上がって、白井の穴掘りパフォーマンス指導のもとに「花咲く乙女よ穴を掘れ」を歌い踊る。この臨時混声合唱隊は、アンコール・ラストまで舞台に残ってメンバーと共に最後の演奏に参加。

2時間40分、全25曲の公演の中、多くのファンが期待していた無期限活動休止に関するMCは一切、メンバーから語れる事は無く、唯一、鈴木慶一が「又、進化したらどこかでお会いしましょう!」というメッセージが発せられたのみであった。

この夜のライダーズは、オープニングで客席から舞台にあがり、終演後も客席に降りて会場内を周りお別れの挨拶をした。この長い間、応援してくれてきたファンと同じ位置に立つという事が、何よりも彼らからのメッセージだったのだろう。

この後、ムーンライダーズは12月30日に新宿タワーレコード屋上でルーフトップGIGを行う。当面は、これが6人揃っての公式の場所に登場する最後の機会となりそうだ。

<2011年12月17日@中野サンプラザ>
( )内は収録アルバム。※=Ciao!(2011)
1.Damn! MOONRIDERS (ムーンライダーズの夜/1995)
2.鬼火(モダーン・ミュージック/1979)
3.Who's gonna be reborn first (※)
4.Who's gonna die first (最後の晩餐/1991)
5.Don't Trust Enyone over50、60 (DON'T TRUST OVER THIRTY/1986)
6.Frou Frou (ANIMAL INDEX/1985)
7.涙は悲しさだけで出来てるんじゃない (最後の晩餐/1991)
8.Morons Land (Dire Morons TRIBUNE/2001)
9.Mt.,Kx(※)
10.弱気な不良Partー2(※)
11.オカシな救済(※)
12.ハローマーニャ小母さん(※)
13.ラスト・ファンファーレ(※)
14 masque-rider (※)
15.ボクハナク (DON'T TRUST OVER THIRTY/1986)
16.Cool Dynamo, Right On (MOONOVER the ROSEBUD/2006)
17.ダイナマイトとクールガイ(A.O.R./1992)
18.トンピクレンッ子 (青空百景/1982)
19.ヤッホーヤッホーナンマイダ (P.W Babies Paperback/2005)
20.スカーレットの誓い (MANIA MANIERA/1982)
ENCORE
1.マスカット・ココナツ・バナナ・メロン (ムーンライダーズ/1977)
23.花咲く乙女よ穴を掘れ (MANIA MANIERA/1982)
3.Kのトランク (MANIA MANIERA/1982)
4.Beatitude (Bizarre Music For You/1996)
5.蒸気でできたプレイクラント劇場で(※)
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