阿部真央、2011年を締めくるライブ「自分にとって大きな1年になった」

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12月26日(月)、阿部真央が12月からスタートさせた全7カ所公演ツアー<阿部真央らいぶNo.3~ZEPPとQUATTROだけでごめんねTOUR~>がZepp Tokyoでファイナルを迎えた。その最終日の模様を伝えるオフィシャルライブレポートをお届けしよう。

◆阿部真央画像

約1年ぶりの全国ツアー<阿部真央らいぶNo.3~ZEPPとQUATTROだけでごめんねTOUR~>最終日、Zepp Tokyo公演。阿部真央はこの1年間、良いことも良くないことも含めて、様々な経験をした。喉の治療のため、活動休止。「いままでのアルバム以上に、自分自身に近い歌が多い」と語った3rdアルバム『素。』のリリース。パフォーマーとしての復活を期した夏のライブ<阿部真央らいぶ夏の陣>(日比谷野外大音楽堂/大阪城音楽堂)。この夜、Zepp Tokyoのステージで彼女が見せたのは、すべての経験を糧にしながら、アーティストとしてパワーアップを続ける真摯な姿だった。

この日のライブはデビューアルバムのタイトル曲「ふりぃ」からスタート。心地よいスピード感をたたえたバンドサウンドのなかで彼女は、溢れんばかりの情感と爆発的なダイナミズムを共存させたボーカルを高らかに響かせる。「いっしょにZeppを揺らしましょう!」という煽りとともに放たれた「I Wanna See You」では、この日最初の大合唱が巻き起こる。喉の調子はまったく問題なし。というか、いままで見たことがないほどの素晴らしいテンションだ。

その後も“シンガーソングライター・阿部真央”の色彩豊かな魅力を感じさせるシーンが続いていく。<怖がるのは 踏み出してからだ>とオーディエンスを鼓舞する「走れ」、<ずっと ずっと ずっと ずっと好きよ…>という真っ直ぐな思いを描き出す珠玉のラブソング「15の言葉」、そして、アコギの弾き語りによって、あまりにも切ない恋愛感情がじんわりと広がった「貴方の恋人になりたいのです」。生々しい感情から紡ぎ出された歌を、ここまでポップに…つまり、誰もが共感できるように表現できるシンガーは、本当に稀だと思う。

「去年の12月6日、ここで“パワーアップして帰ってきます”と言ったんですよね。だから、ぜひパワーアップした阿部真央を見てほしいと思います」というMCの後に披露された最新シングル「側にいて」は、この日の最初のクライマックスと言っていい。大切な人に伝えたいことがあるなら、いますぐに伝えたほうがいい。“あのとき、言えば良かった”と後悔してほしくない。この曲から伝わってくるメッセージは、2011年という年において、きわめて深い意味を持っていると思う。

また、震災後に書かれたバラードナンバー「光」(アルバム『素。』収録)も強く心に残った。美しいメロディとともに響き渡った<必ず 迎え に行くから 待っていて>というフレーズからは、彼女の切実でまっすぐな思いが確かに感じられた。

そして彼女は、2度目のMCでゆっくりとオーディエンスに語りかける。喉のリハビリの過程で落ち込んだ時期があったこと。そのときに自分を支えてくれたのは、ファンからの手紙やメールだったこと。誰にでも落ち込むことはあるけど、その時間は決してムダではないということ。「次の曲はみんなへの愛を込めて歌います」という言葉とともに演奏された「いつの日も」における、祈りにも似たボーカルには本当に心を揺さぶられた。特に<二人共に生きた今日を その胸に刻んで いつの日も思い出して>というフレーズは、彼女とオーディエンスの強い絆を象徴している、と思う。

その後は「伝えたいこと」「loving DARLING」「モットー。」などのアップ・チューンを連発、会場の温度をグッと高めていく。ストレートなロックサウンドによって(西川進/Gt、佐野康夫/Drなど、凄腕のミュージシャンによるバンドも最高)、彼女のボーカルはさらにテンションを上げ、オーディエンスひとりひとりの心と身体を気持ちよく揺らしている。シングル「側にいて」のインタビューのときに彼女は「みんなが楽しんでくれる、もっと感動できるライブにしたい。音作り、曲の組み立て、パフォーマンスを含めて、レコーディングと同じように納得いくまで準備しようと思ってます」と話していたが、まさにその言葉どおりの光景が目の前に広がっている。すごい。

本編のラストは<素直な心が愛しい人の前で 特別輝くように>という愛らしい歌詞を持つ「ポーカーフェイス」。“あべまコール”に導かれたアンコールではキュート&ポップな「モンロー」、凄まじい声量の大合唱が起こった「ロンリー」、さらに「デビューのきっかけになった曲。ライブでしか歌わない曲です」という「母の唄」(ライブのたびに聴いているが、何度聴いても涙腺を刺激される)も。「自分にとって大きな1年になった」という2011年を締めくるライブで、自らのポテンシャルをしっかりと見せつけた阿部真央。このツアーで得たものはきっと、彼女の今後にとって大きな財産になるはず。シンガーソングライター/パフォーマーとしての飛躍的なステップアップを示す、素晴らしいライブだったと思う。

テキスト:森 朋之
撮影:古渓一道

<らいぶNo.3~ZEPPとQUATTROだけでごめんねTOUR~>
1.ふりぃ
2.I wanna see you
3.give me your love
4.未だ
5.走れ
6.15の言葉
7.じゃあ、何故
8.貴方の恋人になりたいのです(弾き語り)
9.側にいて
10.TA
11.光
12.19歳の唄
13.いつの日も
14.伝えたいこと
15.loving DARLING
16.YURALI forever
17.モットー。
18.ポーカーフェイス
EC-1.モンロー
EC-2.ロンリー
W EC-1.母の唄(弾き語り)

【LIVE】
12月29日<FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY>(http://radiocrazy.fm)
12月30日<rockin'on presents COUNTDOWN JAPAN 11/12>(http://countdownjapan.jp/1112)
<アヴリル・ラヴィーン The Black Star Tour>
【振替公演】2012.2.4(土)/2012.2.5(日)さいたまスーパーアリーナ
Opening act出演

「側にいて」
2011年11月16日(水)発売
PCCA-03500 ¥1,200
1.側にいて
2.YURALI forever
Songs from「阿部真央らいぶ 夏の陣in東京」@日比谷野外大音楽堂(2011.08.14)
3.痛み
4.19歳の唄
5.Don't leave me
6.for ロンリー
7.雨あがりの夜空に
8.走れ
9.光
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