震災から1年、3月11日にシンディ・ローパーは東京に戻り、再びステージに立ってくれた。「ワスレナイワ、アナタノコトヲ…」と歌うシンディの様子をここにお伝えしたい。以下はオフィシャルレポートの全文である。

◆シンディ・ローパー画像

3月11日2時46分。日本人にとっては一生忘れられない日。そして、シンディにとっても、1年前の同時刻ちょうど着陸態勢で日本に降り立つ直前だったわけです。あれから1年、シンディは再び日本に戻ってきてくれました。本日オーチャードホールのステージでリハーサルの途中、2時46分近くになるとステージにいるバンドや日本人スタッフも全員集めて、北の方向をみんなで向いて黙祷しましょうということになり、時計が2:46をさすと、全員で黙祷…。日本人もびっくりするほど、本当に長い時間シンディは手を合わせて祈ってました(3分以上だったと思います)。

その後、開場時間前に4時45分からオーチャードホールで囲み取材。新聞、TVのカメラの前で今回の想いを語りました。

「私と日本のつながりは長く深く、初めての洋楽アーティストとして、全国津々浦々周らせて頂いたし、沢山の貴重な経験をさせて頂きました。私が伝えたいのは、本当に心はそばにあるということを忘れないでほしい、ということです。だから、また再び戻ってきました」と語り、またなぜ今回石巻へ行って自分の目で見たことを語り、日本への想いと東北地区を含む全国の劇場へ生中継される今日のライヴへかける意気込みを語りました。その中でとても興味深かったのが、石巻の小学校へ桜の苗木を送った理由。

「私は昨年自分のやるべきことをやっただけ。でも何かヒーローのように祭り上げられてしまったような気がして、ちょっと戸惑っていた。そんな時(旦那さんの)デビッドと話をしてみたら「君はまるで木のような存在、復興のシンボルなんだよ。だとしたら復興のシンボルとして木を贈呈してみたら?」と言われて、桜の木を思い出した。桜の苗木を受け取った子供たちは、苗木を大切に育てることで、毎年花を咲かせる美しさに感動し、共に成長できる、と思ったから」

そんなシンディは3月12日(月)、今度は世界へ向けて語ります。皆さんもよくニュースで見たことあると思いますが、外国特派員協会の記者会見に大阪への移動の途中に出席します。たぶん自分の目で見た被災地の模様、世界の人々にもう一度注目させるような発言をしてくれることでしょう。

今回なぜ日本語楽曲である「忘れないわ」を歌おうと思ったのか?それはこの詩を自分の気持ちとして、それも日本語で伝えたかったのでしょう。<忘れないわ、あなたのことを。愛する人よ、忘れないわ…>今回の日本への重要なメッセージだったんですね。

3月11日(日)オーチャードホールでの東京最終公演は18:00過ぎにスタート。大歓声の中ステージに登場したシンディは「アリガトウゴザイマース。コンバンワ。」と日本語で応える。そして「大震災から1年後という、このタイミングで戻ってこれるようにしてくれたキョードーとWOWOWにありがとうと言いたい。今日のこの公演は収録されています。震災の被害を最も受けた東北の3県では、無料上映され、被災地の皆さんも一緒に見てくれていることと思います。みんなに“愛しています”“ガンバッテ”と言いたい。今日は大きな声で一緒に歌ってください。(会場にいる)皆さんも東北の皆さんの為に、一緒に歌いましょう!Make Some Nooooooise!!」と叫んで、会場中も「ウォー」と大歓声で応える!

シンディの今日のファッションは上下レースがあしらわれた黒いパンツスーツ。インナーも黒のシースルーのキャミソール。靴は黒ブーツで。ヘアはドレットっぽい毛先を遊ばせたヘア。メイクはアイメイクはブラウン系のアイシャドウを薄くぼかしてナチュラルに。細くアイライナーを引いて。チークと口紅はピンクで。全体的な印象としては、カッコよさ(服やヘア)の中にも可愛らしさのある(メイク)春らしい印象。

生中継もあることもあるシンディは気合い充分!1曲目「SHE BOP」から早くの客席に降りていき、観客をあおって盛り上げる(2回も下りていく)。2曲目「Set Your Heart」でダンスビート、3曲目でギターを持って「When You Were Mine」「What’s Going On」~「Lyfe」のグル―ヴ感溢れるナンバーへと様々な異なる色彩りを見せるサウンドを披露。お次はブルース・セクションへ突入。

「次の曲はブルースの曲です。気に入ってもらえると思います。フィーチャリングCharlie Musselwhite。ここで歌うことができて、とても光栄です。メンフィス・ブルースCDから、こんな曲です。聞いてください。」と語って「JUST YOUR FOOL」へ。そして、そして待ってました!続く曲は日本語曲「忘れないわ」。いろんな意味でこの曲は今回のツアーで、重要な意味合いを持つ曲なんだってことが、シンディの発言を聴くたびにわかってきます。

「次の曲は、私が有名になる前にMIHOという日本のピアノバーで働いていた時に…そう、私を雇ってくれたのよね(笑)。オシボリやミズ、ミズワリ、タバコなんかも(お客さんに)出していたわ。“シンディ&オシボリエッツ”っていうバンドを始めたのよね。そこにいたギタープレイヤーのピーターという人が「これをやったらパーフェクトだよって」この曲を教えてくれたの。」

「今回ここに戻って来れたので、特別なこのステージで日本語で歌います。いつも皆さんのことは近くに感じていました。私のことをいつも受け入れてくれて。この曲はオバアチャン・ソングだけど、今回は少し現代風にアレンジしました。」

客席から桜の花束を受け取り、「WASURE NAIWA」を見事な日本語で歌いあげました(どんどんうまくなっていく!)。この曲何かに似てると思ってたんですが、あとでシンディに聴いたら、イメージはアル・グリーン!だそう。また他のソウル・ナンバーを元にいろいろミックス、アレンジを考えたとのこと。

つづく「DOWN DON’T BOTHER ME」では客席から日本語で「ガンバッテ!」と声をかけられると「OK…」と返答(笑)。「次の曲は、古い曲で1stアルバムに収録されている曲です。今日皆とシェアしたいこの曲は…ALL THROUGH THE NIGHT』と語ると皆さんも「ウォー」と声を上げる。「ALL THROUGH THE NIGHT」が終わると「アリガトウ。(また冗談を言い始めて…)さっきインタビューをしていて、フィリピンの記者の方に「○○○はショーでやらないの?」と聞かれたけど「やらないわ」って冗談で答えたの。日本語をもっと学べなかったのは残念だったわ。ま、私は英語もダメなんだけど(笑)。(そして気を取り直して…)ゲンキー!?」

(シンディの言葉はたまにわけわかんないモードになっちゃうんですよ!なので意味不明のとこもあるんですが…)そして曲は「TIME AFTER TIME」へ、けど途中で一回止めてしまった!間違えちゃったみたい。「ごめんなさい、間違えちゃった。私が間違えたの、ゴメンナサイ。次はもっと上手くやるから!ゴメンナサーイ」。って曲をやり直すかと思いきや、また突然関係ない話をして…「そういえば、インタビューでグッチさんっていうインタビュアーに会ったんだけど、彼、すごく面白かったわ」と言い終わるとTAKE 2として頭から再びTIME AFTER TIMEをやり直し(グッチさんはグッチ裕三さんなんです。3月16日予定のNHK「あさイチ」を是非ご覧ください!)。

続く「CHANGE OF HEART」では、最後の方で客席に入っていき、最後の“HEART”の部分を観客全員で歌う。本編最後の「MONEY」が終わると「アリガトウゴザイマース!」と言って一度引っこむ。アンコールの手拍子に合わせて再び出てくると、「GOONIES」そして「GIRLS JUST WANNA HAVE FUN」をメドレー的に連発。またまた客席に降りて行くこと2回。いつもの掛け合いもあり最高潮。

またまた日本語で「アリガトーゴザイマース!オヤスミナサーイ!アリガトウゴザイマース!」と語り、ここでバンド引き、キーボードのSteveとブルース・ハープのCharlieと残る。…しかし、そこでサプライズ!「もう一人、私の友達をステージに呼びたいと思います。TOKU!実はリハーサルしてないんだけどね」

2011年のツアーで一緒に回った、日本のフリューゲル・ホーンの第一人者TOKUがステージへ登場!
そうなんです。いきなり開場の30分前くらいのタイミングだったでしょうか?昨年のライヴで一緒に回ったTOKUと一緒にやりたいって話になって、そこからみんなバタバタ。TOKUさんはライブを見ることにはなってたものの、シンディから「リハに来て」っていきなりメールが入ったものの、気がついたときはもはやリハが終わってる時間。すぐにシンディに電話したら「いいから、来て」と。あわててフリューゲル・ホーンを抱えて会場へ。でも道が混んでて、着いたときはもはやショーはスタート。打ち合わせも全くないまま、この「トゥルー・カラーズ」で出てっていうことに話はなってた…。呼び込まれてステージへ。リハもなければ打ち合わせもなし。更にはチャーリーとはステージで初対面!でもさすがジャズ・ミュージシャンですね。全く動ぜず、見事なプレイを聴かせてくれました!凄い!

その「トゥルー・カラーズ」の前にシンディが一言「最初に日本に来たのは1986年だったんだけど、この曲を(日本のお客さんの前で)初めてアンコールで歌った時に、皆が一緒に歌ってくれたの。そんなの初めてで、とても特別なことだった。日本の皆さんいつも一緒に歌ってくれる。私は日本語で歌ってあげられないけど…あ、今日は一曲歌ったけど(笑)(と、また冗談)オヤスミナサイの代わりに、福島をはじめ被災地の方々の為にも、沢山の愛と勇気とガンバッテを皆さんに送ります」。

TOKUが参加した「トゥルー・カラーズ」はフリューゲル・ホーンの美しく温かい音色も相まって、とても素晴らしいヴァージョンで聴かせてくれました(2011年一緒にやったキーボードのスティーヴは終わった後TOKUに「素晴らしい、美しい最高のソロだったよ」とちょっと興奮した感じでTOKUに話してました)。

「トゥルー・カラーズ」が美しく終了したあと、最後にシンディが一言「オヤスミナサイ。ガンバッテ。ジャーネー。」素晴らしい1時間半のライヴでした。途中会場の中に入って見てみましたが、泣いてる人の多いこと!そして「ありがとう!シンディ」「ありがとう!」という声がいろんなところから聞こえてきました。終演後メッセージボードに書き込まれたコメントもいっぱい。外では「いや~久々にライヴ観て感動したね。いいライヴだったね。」との声もあちこちで聞こえてきました

終演後、しばらくたってそろそろホテルへ戻る話になったころ、ファンのみなさんが70人くらいシンディが出てくるのを待っているという情報が…。そこで普通はエレベーターでそのまま降りてすぐに車に乗れるのでぴゅーっと裏から車ででるところ、ファンの皆さんがいる正面玄関の方から出よう!という話になって、シンディは正面入り口まで楽屋から歩いて、ファンの皆さんが待つ場所まで車を動かさして。寒い中待っていただいていたファンの皆さんの前に近寄ったり、握手したり、残ったファンの皆さんもきっと感動して最後に一目シンディに愛ってありがとうを言いたかったんでしょう。誰一人乱す者もなく、整然としてて、とっても理解あるファンのみなさんで、とっても心温まる光景でした。

あっという間でしたが東京公演3公演も無事終了。本日12日の外国特派員協会の記者会見のあと、大阪へ。残すところ大阪と名古屋のみとなりました。きっと素晴らしいライヴを見せてくれることでしょう!

photo by Yuki Kuroyanagi

<2012年3月11日(日)東京公演@オーチャード・ホール>
1.She Bop /シー・バップ (1983『She's So Unsual』)*
2.Set Your Heart /セット・ユア・ハート (2008『Bring Ya To The Brink』)*
3.When You Were Mine/ホエン・ユー・ワー・マイン (1983『『She's So Unsual』)*
4.What’s Going On /ホワッツ・ゴーイング・オン (1986『True Colors』)
5.Lyfe/ライフ (2008『Bring Ya To The Brink』)  
6.Just Your Fool /ジャスト・ユア・フール (2010『Memphis Blues』)
7.WA SU RE NAIWA /忘れないわ(未収録/日本語)★
8.Down Don't Bother Me /ダウン・ドント・バザー・ミー (2010『Memphis Blues』)
9.All Through the Night /オール・スルー・ザ・ナイト (1983『She's So Unsual』)*
10.Time After Time/タイム・アフター・タイム (1983『She’s So Unsual』)*
11.I Drove All Night /涙のオールナイト・ドライヴ (1989『A Night To Remember』)*
12.Change of Heart /チェンジ・オブ・ハート (1986『True Colors』) *
13.Money Changes Everything /マネー・チェンジズ・エヴリシング (1983『She's So Unsual』)*
Encore
14.Goonies/グーニーズはグッド・イナフ(映画『Goonies(OST』)*
15.Girls Just Want to Have Fun/ガールズ・ジャスト・ワナ・ハヴ・ファン (1983『She's So Unsual』)*
16.True Colors/トゥルー・カラーズ (1986(『True Colors』) *
*=「究極ベスト」収録
★=ペギー・マーチ「忘れないわ」のカヴァー(日本語で歌う)
1968年に来日した時にレコーディングし大ヒットした日本語曲。1969年1月にEPリリース。

<シンディ・ローパー来日公演>
2012年3月7日(水) 新潟県民会館 【SOLD OUT】
2012年3月9日(金) Bunkamuraオーチャードホール 【SOLD OUT】
2012年3月10日(土) Bunkamuraオーチャードホール 【SOLD OUT】
2012年3月11日(日) Bunkamuraオーチャードホール【SOLD OUT】
2012年03月13日(火)大阪国際会議場 メインホール
2012年03月15日(木)愛知県芸術劇場 大ホール
http://www.cyndilauper-japantour.com/

◆シンディ・ローパー・オフィシャルサイト