-異種格闘技対談-Ring【round2】第24回/INORAN

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-異種格闘対談-Ring【round2】第24回

逹瑯(ムック/Vo)INORAN

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逹瑯:“INORANはトイレにも行かないし、爪切ったりしない!”って思ってましたからね。
INORAN:トイレも行くし爪も切るよ(笑)。爪とか人に切らせてると思った!?

――でも、やっぱりレコーディングって限られた時間や流れの中でやるから、リズム隊であるドラム、ベースから先に録っていくじゃないですか。リズム隊を録ってから、そこに上モノであるギターを重ねて、最終的にヴォーカルを乗せる。その工程的な問題もあり、楽器隊がレコーディングしているときにヴォーカリストが歌詞を書いていたりしますよね。だから、歌詞を読んでいないっていう楽器隊の方も多かったりするんですよね。インタビューしてると。

INORAN:うんうん、工程上そうしないとまわっていかなかったりするからね。

――バラードとかなんて特にそうだと思うんですけど、歌詞を体の中に入れてから弾いた方が気持ちが入るんじゃないかなって。

INORAN:そうだね。もちろんそうなんだよね。歌詞があった方が気持ちが入るのは絶対だよ。だから歌詞があってレコーディングに挑めるのが本当はベストなんだけどね。

逹瑯:それはいつもウチもドラムのSATOちが言ってるね。後から上がった歌詞を見て、“あぁ〜、ここでこういう歌詞が来るなら、ここもうちょっと強くいっとけば良かったな”って。だから、楽器隊はライヴでは音源とはまた違う感情がそこに乗ってたりするのが解るからね。

INORAN:うんうん。やっぱ歌詞にひっかけて演奏したいからね。でも、やっぱりギタリストとかって、どうしても歌詞よりも曲のクオリティを上げようと職人的な感覚になるから、歌詞が後回しになっちゃうのも実際のとこなんだよね。

逹瑯:なるほど。そこは楽器隊の性ですよね。でも、ソロではそこも調整できたりするんじゃないですか? いわゆるシンガー・ソングライター的な作り方ができるっていうか。

INORAN:それがね〜、なかなか(笑)。やっぱバンド出身なんで、バンドの音の作り方になっちゃうんだよね〜(笑)。

逹瑯:そうなんですね。でも、INORANさんってすごくいい声してらっしゃいますよね。

INORAN:ありがとう(笑)。

逹瑯:いや、こうやって話してる声もすげぇいい声だなって思うんですけど、歌声も俺、めちゃめちゃ好きです。歌詞もご自分で書かれているんですよね?

INORAN:うん、そうだよ。

逹瑯:やっぱ英詞にこだわる意味ってあるんですか?

INORAN:気分かな。今は英詞にこだわってるんだけど、それも今の気分だったりするんだよね。自分の中の旬みたいなのがあって、それによって歌詞も日本語詞だったり英詞だったりするんですよ。正直もんなんで(笑)、本当にそのときの気分なんですよね。

逹瑯:やっぱりロックみたいな音楽には英詞の方が合うんですかね?

INORAN:ん〜。メロによるんじゃないかな。英詞の方がハマる曲もあれば、逆に日本語詞の方が合うメロもあると思うよ。やっぱ日本人である僕たちが作るメロディは、日本っぽい歌詞が乗った方がハマりがいい場合もあると思うからね。

逹瑯:なるほど。鼻歌とかで出てくるようなメロには日本語の歌詞の方がハマりがいいのかもしれないですね。

INORAN:うん。絶対鼻歌的なメロには日本語詞の方が合うね。今の若い子たちのロックって、確実に俺たちの世代よりも洋楽を聴いてる子たちが多いせいか、体に染み込んでいるんだろうね、洋楽のメロディがすごくナチュラルに出て来てると思うからね。

逹瑯:あぁ、なるほど。たしかにそうかもしれないですね。

――ちなみに、INORANさんの音楽ルーツってどのあたりなんですか?

INORAN:俺なんでも聴きましたね。中学1年の頃から、結構音楽聴くようになって。洋楽が多かったですけどね。

――洋楽を聴こうと思ったきっかけって何だったんですか?

INORAN:テレビかな。それでカッコイイと思って、中学2年でギターを買い、中学3年の頃に日本のインディーズ・バンドとかを聴くようになって。D’ERLANGERさんとか中学3年のときに見てますからね。Kyoさんの初D’ERLANGERを僕、見てますからね。44MUGNUMさんとかも通ってます。

逹瑯:へぇ〜、すげぇ! っていうか、楽器隊の方が洋楽聴く人多いですよね。ヴォーカリストってやっぱりどうしても歌詞を聴く人が多いだろうから、邦楽聴いてた人の方が多い気がするなぁ。

INORAN:あぁ、そうだね! それは言えてるかもね。

――好きになったバンドの人がリスペクトしてたり、好きなバンドとして上げているバンドを遡って聴いたりもしたんですか?

INORAN:俺はね、そういう聴き方あんまりしなかった。掘り下げて聴くんじゃなく、横に広く聴いてた感じ。自分が今、聴きたいなって思った音楽を聴いてた感じ。だから、THE BEATLESを聴きだしたのは、ホント最近だからね、俺(笑)。2、3年前だからね。ストーンズ(The Rolling Stones)は聴いてたけど。

逹瑯:へぇ〜。そうなんですね!

INORAN:うん。

逹瑯:INORANさんは、英詞ってどうやって書いてるんですか?

INORAN:英詞を書くときは、まず日本語で歌詞を書いて、それを訳してもらってる感じ。

逹瑯:俺も英詞は同じで、まず日本語で書いて、それを英語に訳してもらうんですけど、英語になったとき、日本語独特の細かい表現までちゃんと表現できてるのかな? って心配になったりしませんか?

INORAN:不安はないかな。それより、俺の日本語の歌詞って、“貴方”に言ってることなのか“君”に言ってることなのか、すごく曖昧なモノが多いんですよ。それが俺の癖でもあり、それもいいと思うんだけど、英詞にしたときって、対象がはっきりするんですよね。だから、俺は、そこが英詞になったときの良さだと思ってるんですよ。抽象的なところがいい場合もあるんだけど、もうちょっと自分自身をプッシュされたいというか。そういう場合に英詞ってすごくいいなって思うんですよね。自分にとってもね。

逹瑯:なるほど。でも、それすげぇ解ります。英詞に訳してもらうときに、毎回聞かれるのは、“この一人称は何処に向かって書かれているものなのか?”ってことを、とにかく聞かれるんですよ。それをはっきりさせないといけないのか………っていつも思うんですよ。なんか、何処に向かって書かれているかを答えてしまうと、なんか、答えを言ってしまうみたいな感覚になっちゃって。俺は日本語の曖昧な感じがすげぇ好きだから、やっぱ英詞にしちゃうのはあんまり好きじゃないかもなぁって思ってたりするんですよね。

――バンドの方向性にもよりますよね。

INORAN:うん。それは大きいよね。

逹瑯:うん。ムックの場合というか、俺の場合は、その曖昧な部分をリスナーに想像してほしい部分でもあるから、そういうふわっとした部分というか、奥ゆかしい部分を残しておきたいんですよ。

INORAN:なるほどね。「ニルヴァーナ」聴かせてもらったけど、すごいいい曲だね。あの歌詞は逹瑯くんだっけ?

逹瑯:「ニルヴァーナ」の歌詞はウチのギターのミヤが書いてます。

INORAN:みんな歌詞書くの?

逹瑯:いや、ウチはギターのミヤと俺だけですね。半々くらいかな。よく、自分の書いた歌詞じゃない歌を歌うって違和感ないの? って聞かれたりするんですけどね。

――今の話の流れに通じるところでもあると思うけど、ムックはバンドのカラー的にも、サウンドももちろん、歌詞を聞かせるバンドでもあると思うからね。そういう疑問を抱かれるのは解るかな。

INORAN:たしかにね、そういうバンドの特性があるならば、そういう質問の意味も解るよね。

逹瑯:俺的にはウチのリーダー(ミヤ)の歌詞に対して違和感を感じたことはないですね。俺もリーダーも、もともとフォークソングが好きだったりするんで、“いいな”と感じる部分が近いのもあると思うんですよ。だから、リーダーの歌詞を読んだときにグッとくることもたくさんあるし、まったく自分の中にない感情を歌うことはないんですよ。それに、cali≠gariとかラヴィアンローズが地元の先輩なんですけど、cali≠gariもギターの青さんが作詞するし、ラヴィアンローズもドラムのkyohsukeさんが作詞した歌詞をヴォーカルが歌うっていうスタイルだったんで、他の人が作詞した歌をヴォーカリストが歌うっていうスタイル自体に、なんの違和感も感じないんですよ。昔から、そういうもんだっていう感覚だったというか。むしろそれが自然な形だったというか。

INORAN:なるほどね。でも、それを自分の言葉として消化して歌えているんだから、まったく問題ないよね。「ニルヴァーナ」もすごくいい歌声だと思ったし。表情がちゃんと伝わってくる声だったというか。

逹瑯:ありがとうございます。俺も自分が歌う訳だから、“これは違うんじゃないかな?”って思ったらきっとはっきり言うと思うんですよ。でも、まだ言ったことないから、きっと感性的なものが近いんだろうなって思うんですよね。

INORAN:すごくいいことだね。

逹瑯:はい。それが15年続いてますからね。すごく解りあいながら前に進めてるんじゃないかなって思うんです。

INORAN:ムック、15年なんだ。

逹瑯:はい。今年の5月で丸15年になります。

INORAN:そっか。ずっとやってね。継続は力なりって、本当にそうだと思うから。でも、逹瑯くん本当にいい声してるよね。

逹瑯:ありがとうございます。

INORAN:でも、そういう意味ではRYUICHIもすごかったんだね。LUNA SEAは全員曲を作って歌詞も書いてたから、RYUICHIはいろんな人の歌詞を自分の言葉として歌っていたことになるからね。

逹瑯:え!? LUNA SEAってRYUICHIさんが全部の歌詞を書いてる訳じゃないんですか!?

INORAN:うん、違うよ。もちろん、RYUICHIの歌詞もあるけど、俺も自分の曲には自分で歌詞付けてたし。メンバーみんなが歌詞書いてたからね。クレジット表記が“LUNA SEA”になってるから、あんまりどの曲のどの歌詞は誰が書いたとかって解りにくいんだけどね。「gravity」とか、俺の作詞作曲だよ。

逹瑯:そうなんですね! そうなんだ! それ初めて知りましたよ、俺。そう思うとやっぱRYUICHIさんってすごいですね! まったく違和感感じませんもん。やっぱ歌詞って書く人の感情や感性が乗るものだと思うけど、RYUICHIさんの言葉に聞こえますからね。それすごいな。すごい。

INORAN:そうだね、彼はすごいヴォーカリストだと思うよ。本当に。でも、逹瑯くんもいいヴォーカリストだよね。逹瑯くんの歌、BUCK-TICKの櫻井さんに通じるものを感じたんだよね。

逹瑯:うわっ。ありがとうございます! 俺、櫻井さん大好きなんですよ!

INORAN:低音の感じがすごく近い感じがしたんだよね。すごく安定した声だなって。

逹瑯:嬉しいです。RYUICHIさんとは正反対ですよね(笑)。高いですもんね。昔、ウチの事務所のイベントライヴでRYUICHIさんが出演されたとき、“ユニークな声してるね”って言ってもらったんですよ(笑)。俺、それがすっげぇ嬉しくて。“そのスタイルこそ個性だと思うから、大事にした方がいいよ”って言ってもらったんです。

INORAN:うんうん。俺もそう思うな。歌い方に変な癖がないのもすごくいい。逹瑯くんは一番好きなヴォーカリストは誰なの? 気を使わなくていいから、正直に教えて(笑)。

逹瑯:一番好きで憧れたのは櫻井さんで、歌詞とか存在とか影響を受けてたり、刺激を受けてて、毎回新譜が楽しみで聴かせてもらってるのは吉井さん(吉井和哉)ですね。

INORAN:なるほど、ロビンさんかぁ。解るなぁ。存在がカッコイイもんね。話してると石になっちゃうもんね。

――逹瑯は吉井さんと話すとき石になってますけど、INORANさんも!?

INORAN:うん。やっぱカッコイイもん。

逹瑯:いや、INORANさんもカッコイイですよ! 俺、今も若干石になりかけてますからね(笑)。今、喋りながらずっと思ってたんですけど、やっぱすごいことですよ! 俺、今、LUNA SEAのINORANさんと喋ってますからね。俺が茨城の中学生だった頃に、この状況知ったら腰抜かしますよ! まぁ、昔は“INORAN”って呼び捨てしてましたけど。

――ファン的には呼び捨てだよね(笑)。

INORAN:あはははは。そういうことね(笑)。

逹瑯:はい。直接知り合った瞬間に“さん付け”になるのはなんでしょうね? 呼び捨てにできちゃうファンのあの感覚って何なんでしょうね(笑)。

INORAN:あはははは。たしかにね、そうだね(笑)。

逹瑯:ファンだった頃は呼び捨てももちろんだし、“INORANはトイレにも行かないし、爪切ったりしない!”って思ってましたからね。

INORAN:トイレも行くし爪も切るよ(笑)。なになに? 爪とか人に切らせてると思った!?

逹瑯:それ以前に、爪なんか伸びないって思ってました!

INORAN:伸びるでしょ、普通に(笑)。俺も人間だし、生きてるんだから普通に伸びるよ(笑)! ヤスリもやっちゃうよ(笑)。

⇒NEXT INTERVIEW-3

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