ノラ・ジョーンズ、SXSWで新作楽曲を披露

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ノラ・ジョーンズの新作『リトル・ブロークン・ハーツ』の収録曲が初披露されたライブが、テキサス州オースティンで開催されるSXSW(サウス・バイ・サウス・ウエスト)のラ・ソナ・ロッサという約1,000人収容のライブハウスで行われた。開場1時間前にはノラのステージを見ようと集まったファンや音楽関係者による長蛇の列ができていた。

◆ノラ・ジョーンズ画像

ステージにはサポート・メンバー(ジョシュ・ラタンジー(B、G)、グレッグ・ヴィーチョレック(Dr)、ジェイソン・ロバーツ(G)、ピーター・レム(Key)の4人)に続き、大きな歓声に包まれながらノラが登場。冒頭を飾ったのは「グッド・モーニング」。ドラム脇に置かれた木琴のような楽器とアコースティック・ギターの音色が静かに重なり合い、ノラの伸びやかなボーカルを導いていく。新作のサウンドの特色となるポストロックにも通じる壮大なスケール感は、ジェイソンのギターとピーターのキーボードによって演出されていた。2曲目は「セイ・グッバイ」。ジョシュがエレキギターへと持ち替え、ドラムのグレッグの小気味良く刻むリズムのポップな曲調と構成で聴き手を惹き込んでいく。

ノラが赤いフェンダー・ムスタングに持ち替えて、アルバム・タイトル曲「リトル・ブロークン・ハーツ」。フロアタムをベースにしたリズム上で歌われる虚ろ気なボーカルが曲名を象徴しているかのようだ。その歌声は次の「彼女は22歳」にも続き、メローな雰囲気に。「テイク・イット・バック」ではキーボードに席を移し浮遊感漂うサウンドから始まるも、歪みの効いたギターと徐々に手数を増していくドラミングによって曲調が変化していき、その雰囲気はそのまま「アフター・ザ・フォール」「4 ブロークン・ハーツ」にも引き継がれた。

後半は、どこか物悲しい旋律の「トラヴェリング・オン」から。ピアノで弾き語るノラに寄り添うのは、小ぶりのアコースティック・ギターに持ち替えたジェイソン。「アウト・オン・ザ・ロード」では、雰囲気を一変させ、アップテンポなビートがオーディエンスの体を揺さぶる。合間のMCではオーディエンスと会話を楽しみ、シングル曲である「ハッピー・ピルズ ~幸せの特効薬」を紹介。弾むようなメロディーが聴き手に歓声と拍手を促していた。

ショーのクライマックスは「ミリアム」。しっとりとしたバラードで、歌の軸はノラのピアノとボーカルにあり、ギターがそのスケールと魅力を何倍にも広げていく。「来てくれてありがとう」と何度も言い、最後は「オール・ア・ドリーム」。ダークで荒涼とした空気が辺りに広がっていく。何を意図してこの曲を締めに持ってきたのか?―この感覚はアルバムを通して聴くことで体感できる。なぜなら今回のライブはアルバムの曲順のままに行われたからだ。それは聴き手によって異なるのだろう。

10年前にブルーノート・レコードよりデビューした時から、その音楽性は変化を重ね続け今に至るノラ・ジョーンズ。新作の初披露というだけでなく、そういった側面もあるからこそSXSWでのライブが大きく注目されていたようだ。のめり込むように聴き入っていたオーディエンスの反応は上々で、終演後には大喝采が巻き起こった。

文:船橋 岳大/Takehiro Funabashi

『リトル・ブロークン・ハーツ』
2012年4月25日日本先行リリース
TOCP-71280 2,300円(税込)
1.グッド・モーニング
2.セイ・グッバイ
3.リトル・ブロークン・ハーツ
4.彼女は22歳
5.テイク・イット・バック
6.アフター・ザ・フォール
7.4 ブロークン・ハーツ
8.トラヴェリング・オン
9.アウト・オン・ザ・ロード
10.ハッピー・ピルズ
11.ミリアム
12.オール・ア・ドリーム
13.アイ・ドント・ワナ・ヒア・アナザー・サウンド* 
*日本ボーナス・トラック

◆ノラ・ジョーンズ日・オフィシャルサイト
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