イベント<北欧MUSIC NIGHT>に聞く、アイスランドの音楽事情

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アイスランド/デンマーク/フィンランド/スウェーデンの北欧4カ国から、Electric/Pop系の実力派新進アーティストが集結するイベント<北欧MUSIC NIGHT>が、5月25日(金)に代官山UNITで開催される。

このイベントは、2010年に設立された北欧5ヶ国のMUSIC EXPORTが共同で主催するNOMEX(Nordic Music Export)が主催するものだが、そもそもは毎月開催しているロンドンでのイベント<JA-JA-JA>の盛況を受け、この日本版を開催したいというアイデアが発端となったものだという。

参加各国の人口は少なく、デンマーク(56万人)、フィンランド(54万人)、アイスランド(34万人)、ノルウェー(49万人)、スウェーデン(94万人)と、5ヶ国の人口をすべて合わせても米テキサス州と変わらないほどだ。<北欧MUSIC NIGHT>によって北欧各国からアーティストが来日し、日本でライヴを行うということ自体、アーティストにとってもオーディエンスにとっても非常に貴重な機会でもあり、北欧アーティストの素晴らしいパフォーマンスを楽しめる絶好の機会でもある。

今回も、素晴らしい実力派アーティストが結集しているが、イベントを前にして、主催団体NOMEXの構成メンバーでもあるIceland Music Exportの代表Sigtryggur氏に話を聞いた。この人物、実はビョークが在籍していたシュガーキューブスの元メンバー(ドラマー)なのだ。

彼の口からアイスランドの音楽事情をきいてみよう。

──あなたが音楽に関わるようになったきっかけは?シュガーキューブスのドラマーからIceland Music Exportの代表へと転身した経緯を教えてください。

Sigtryggur:私が音楽の演奏を始めたのは12歳の時です。シュガーキューブスに加入する前も様々なバンドで活動をしていました。10代でドラムを叩きはじめたのが音楽活動の出発点でしたね。最初はジャズが中心でしたが、1980年頃にジョイ・ディビジョンやイギリスのポスト・パンクを知って夢中になりました。シュガーキューブス解散後はアメリカに渡り、それからオランダに移住しました。その頃はエミリアナ・トリーニとの仕事が多く、他にはアイスランドやイギリスのアーティストとも活動をしていましたね。2004年にアイスランドに戻ってからは地元が拠点となりました。IMX(Iceland Music Export)事務局が立ち上がった2007年に取締役会の委員になり、今年の2月1日付で常務取締役に就任したのです。

──人口約34万人という小さい国なのにも関わらず、アイスランドはミュージシャンとアーティストが非常に多い国だという印象を受けます。この理由は何だと思いますか?教育システムやお国柄によるものなのでしょうか?

Sigtryggur:正確な理由はわかりません。アイスランドの飲料水に何か特別な成分が含まれているとか?おそらく、教育システムやお国柄などの様々な要素の組み合わせなのだと思います。あとは、私達は他の国でミュージック・ビジネスがどの様に動いているのかについてあまり情報を持っていません。そのために自分達が好きなことを独自のやり方で続けているだけなのです。逆にそれが最良の方法になっているのかもしれませんね。

▲HUSKY RESCUE
──アイスランドの人々が地元アーティストの音楽を聴く機会は多いのでしょうか?ラジオに地元アーティストの割り当て枠はありますか?

Sigtryggur:アイスランドには7~8局のラジオ局がありますが、その中でも2局に聴取率が集中しています。その1つの国営ラジオ局では、放送する音楽の50%がアイスランドの作品であることが方針となっています。そういう意味でもアイスランドの人々が地元の音楽に触れる機会は多いと言えます。だからといって、ビヨークやシガー・ロスといった海外でも有名なアーティストの曲がかかるというわけではありません。アイスランドには地元で人気のあるアーティストが沢山いますからね。

──シュガーキューブスやビヨーク以外に、日本でも比較的知名度の高いアイスランドのアーティストといえば、Beni Hamm Hamm、Emiliana Torrini、Feldberg、Gus Gus、Mezzoforte、Mugison、Mum、Olafur Arnalds、Sigur Rosなどがいます。彼らの他に、世界に進出しているアイスランドのアーティスト/バンドを教えてください。

▲KIRA KIRA
Sigtryggur:最近ではOf Monsters and Menという若手バンドがアメリカでかなり人気を集めています。あとは、FM Belfastというバンドがヨーロッパで好調ですね。

──アイスランドで音楽活動を始めたばかりのバンドにとって、ライブを行なう環境はどの様な感じですか?

Sigtryggur:アイスランドは非常に小さい市場ですから、多くのバンドはライブのブッキングとプロモーションを自分たちでやっていますね。バンド・コンテストもとても人気があります。Of Monsters and Menは2年前にコンテストで優勝しました。

アイスランドでの海外ミュージシャンによる公演の頻度は?その場合、ライブ会場になる一般的な場所はどこですか?

Sigtryggur:毎年秋に開催される素晴らしいインディーズ・ポップ・フェスティバル<Iceland Airwaves>には、Robyn、Bombay Bicycle Clubといった若手バンドを中心に優れたアーティストが多数出演しています。2012年は10月31日から11月4日の開催となります。フェスティバルの他にも、アイスランドで単独ライブを行なう海外アーティストもいますよ。最近レイキャヴィックでは10CCのライブがあったばかりです。あと、5月後半にはブライアン・フェリーが来ますね。今後もチック・コリアやその他のバンドのライブが予定されています。大半の海外アーティストは、新しいコンサート・ホールのHarpaを使うことが多いですね。とてもいい空間ですよ!

──1999年にスタートした年次フェスティバル<Iceland Airwaves>は、楽しくユニークなフェスティバルとして非常に高い評価を築いてきました。今年の計画について聞かせてください。

▲LARS AND THE HANDS OF LIGHT
Sigtryggur:現在、出演アーティストのブッキングを行なっているところですが、すでに数組のバンドの出演が決定しています。海外アーティストでは、wunderkind Patrick Wolf(イギリス)、エレクトロニック・デュオのPhantogram(アメリカ)、エレクトロニック・ポップ・ソウルを展開するPolica(アメリカ)、BBCが2012年最優秀サウンド賞に選出したJamie N Commons(イギリス)、北欧音楽賞にノミネートされたRubik(フィンランド)、正統派テクノ・ユニットElektro Guzzi(オーストラリア)、新人エレクトロ・ポップ・アーティストのPhilco Fiction(ノルウェー)。アイスランドからは、Retro Stefson、不良バイキング・メタル・バンドのSkálmöld、ローファイ・デュオのNolo、<Iceland Wacken Metal Battle>で入賞したGone Postal、そして地元で過激派バンドの人気を復活させているMuckです。<Battle of the Bands>に出演したBattle of the Bands、ミステリアスなR&BシンガーのGabríel、2011年にOf Monsters and Menが優勝した<Músíktilraunir>に出場したばかりのRetRoBot、Þoka、Funk That Shitらも出演します。また、2011年はビヨークがヘッドライナーを務めましたが、2012年も世界的に有名なアイスランドのアーティストの出演実現に向けて動いています。近日中に発表する予定ですよ。(※現時点ではシガー・ロスのヘッドライナー出演が決定)

──近年でのアイスランドに関する最大のニュスといえば、2008年の金融危機、そして2010年に世界中の空の交通に影響を与えた火山噴火でした。これらの出来事はすでに過去のものですか?それとも、アイスランドは現在もこの問題と向き合っているのでしょうか?

▲LO-FI-FNK
Sigtryggur:通貨切り下げと低いインフレ率、金利と雇用の悪化が続いているアイスランドは、現在も金融危機に直面しています。しかし、この状況を改善すべく我々は音楽をはじめ、アイスランドが誇る素晴らしい産業やアートの輸出に力をいれています。今回、再び東京に行けるのを楽しみにしています。日本のような素晴らしい国を訪問できることを光栄に思っています。

<北欧 MUSIC NIGHT archives>
2012年5月25日(金)
@代官山UNIT
HUSKY RESCUE (from FINLAND) / KIRA KIRA (from ICELAND) / LARS AND THE HANDS OF LIGHT (from DENMARK) / LO-FI-FNK (from SWEDEN)

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