Tina、心揺さぶる珠玉の歌声。約2年ぶりシングル「Starting Over」発売

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“やり直す”という意味を持つ「Starting Over」をタイトルに掲げて、約2年ぶりにTinaがニュー・シングルをリリースする。ブラック・ミュージックに深く根ざした圧倒的なヴォーカル・パワーは相変わらず、優しく語りかけるような繊細なニュアンスも加えて、何度も繰り返し聴きたくなる愛しさと慈しみにあふれたソウルフルなスロー・ナンバーで、Tinaはまた新たな表現の扉を開いたようだ。本物の歌の力とはどういうものかを示し、多くの人の心を揺さぶる曲がまた一つこの世に生まれたことを共に喜ぼう。

――お久しぶりです! ここ最近は、時間をかけてゆっくり制作しようというモードみたいですね。

Tina:いえ、全然そんな、余裕のある感じではなく…(笑)。この2年間は“どんな作品を作ろうか?”と日々自分と向き合ったり、関わって下さる方と意見交換をしながらやってました。

――具体的には、どんなことを考えていたんですか。

Tina:“Tinaはこういう作品を歌わなければいけない”という、自分の中のTina像からもっと自由になりたかったんです。でも“自由になる”ということを意識した時点で、すでに不自由な自分もいたりして…。“歩き続けることも、立ち止まることも、どっちにしてもすごく勇気がいることだ”という、この2年の間に自分が感じた正直な思いをストレートにそのまま曲にしたいなと思っていて、そのためには“どういうサウンドで、どういう曲がいいんだろう?”と。前は、Tinaと言えばR&Bとかブラック・ミュージックとか、それはもちろん根底には今も変わらずあるんですけど、そういう枠からも離れて、本当に伝えたいメッセージがストレートに届く音、メロディ、歌詞をテーマに作りたかったんです。

――それをずっと探していた2年間だった?

Tina:そうですね。実はこの2年の間に、シングル候補になる曲はいくつかあったんです。でも去年の震災があって…それだけがきっかけではないですけど、世の中がすごく沈んでいて、自分の気持ちも沈んでいる時に、たまたま入ったお店で流れていたある方の楽曲を聴いた時に、その曲が心にスッと入ってきて、“音楽ってこういうことだよな”と思えたんです。そこで自分がずっと考えていた“Tinaはこうあるべき”という意識は、大事なことですけど、表現をせばめているような気がして。今歌う歌が聴いてくださる方にどうストレートに届くか?という、そこに重点をおきました。

――ちなみにその楽曲というのは…。

Tina:森山直太朗さんの「さくら(独唱)」です。もちろん以前から知っている曲ですが、その時の私の中に自然にスッと響いたんですね。アーティストって楽曲以外の面においても自分自身をプロデュースしていくものだと思ってるんですね。“こういう見せ方をしたい”とか。でもそういう表面的なことからも、もっと自由に、ということを思って作ったのがこの「Starting Over」です。ずっと「Starting Over」というテーマで曲を作りたいって、3年前ぐらいから思っていたんですよ。

――もともと考えていたことだった、と。

Tina:だから「Starting Over」というタイトルの曲が何曲もあるんです(笑)。メロディ違いで、歌詞も違う「Starting Over」という曲が。2年前に、私にとっては久々のリリースになる「PRIDE」を出したんですけど、その時から「Starting Over」の、“いつでもここが始まり”というテーマはずっとあったんですね。だからひとつのきっかけとして、去年の震災や、森山直太朗さんの曲を聞いたその時の気持ちもあったりしますが、私自身の個人的なテーマとして、“Starting Over”というテーマがここ数年はずっとあったんです。

――作曲は、島野聡さん(※MISIAの作品など多数を手がける)と共作ですね。これは?

Tina:このシングルの3曲目に「Sincerity」という、ラッパーのAnarchyくんを迎えた楽曲があるのですが、実は3年ぐらい前にレコーディングしていた曲なんです。これも島野さんが曲を書かれてるんですけど、島野さんが書くメロディが私はすごく好きで、「Starting Over」を作るにあたって、曲を書いてほしいというお願いをしたんですね。“じゃあ一緒にやってみよう”ということで、島野さんの自宅スタジオに行って何曲かトライしたのですが、なかなかまとまらなくて。今日はそろそろ煮詰まったね、もう帰ろうかという時に、島野さんがポロンポロンとキーボードを弾いて、この「Starting Over」のサビの部分のメロディを弾いたんですよ。しゃべりながら、なんとなく。

――おおー。ドラマチックです。

Tina:私は“ちょっと待って! それを!”と(笑)。それをiPHONEで録ったものを家に持ち帰って、AメロとBメロを私が作ったんです。それを島野さんに返して、島野さんから新しく構成されたものがまた返ってきて…というやりとりの中で、曲ができていきましたね。

――共同作業ですね。

Tina:私は作詞もしますし、メロディを作ったりもしますけど、自分としては“シンガー”という気持ちがすごく強いんですね。だから私が作るメロディはすごく荒削りで、島野さんが作るメロディはいい意味ですごく洗練されてるんです。私が作るメロディで足りない部分を島野さんに補っていただきつつ、島野さんは島野さんで、“荒削りなところからしか出てこないメロディというものがあって、それが一番聴く人のハートに刺さるかもしれない”と言ってくださって。私の良さと、島野さんの良さを、最終的に島野さんがまとめてくださってできた曲ですね。

――それを河野圭さんがアレンジするという、ベスト・コンビネーションだと思います。音はすべてバンドで、生音で録ってますね。

Tina:この曲はもともとピアノで作った曲ですけど、最終的なアレンジとしては、ギター・サウンドが核になったらいいなと思っていて、それをアレンジャーさんに伝えました。“ギターのリフが入っていたらいいな”と言ったら、ギターの田中義人さんが“こんな感じかな?”って、何パターンも弾いてくださって、すごく楽しいレコーディングでしたね。

――ということは、楽器のレコーディングの時からTinaさんはスタジオにいるんですね。

Tina:私、全部いるんですよ(笑)。最初から最後まで。音を作っている現場が大好きで、いろんな方のプロフェッショナルな尽力によって、曲がガラッと変わるということを何度も体験しているので。“ずっとスタジオにいて煮詰まらないですか?”“息抜きは?”とよく聞かれますけど、スタジオにいることが本当に楽しいので、そういう環境にいられてすごく幸せだなと思いますね。「Starting Over」の歌詞の中でも歌っていますけど、結局いろんなことがあっても、なるようにしかならないというかね。でも“なるようになる”と言って腹をくくったつもりでも、また悩んだりもがいたりして、それがまさに”生きている”っていうことだなと、心からそう思える自分が今いますね。

――「うまくいかない時もあるけど/その場所からまたやり直せばいい」というフレーズに、深い実感がこもっているように聴こえます。

Tina:この曲はぜひ多くの方に聴いてもらって、それが私の思っていることとまったく同じでなくても、何かあったかい気持ちになれたりする、そういう歌であればなという気持ちがありますね。

――Tinaさんがデビューしてから13年、もっと前からずっと歌い続けてきた間には、本当にいろんなことがあったと思うんですけど、それがそのまま言葉になっているというか…。

Tina:一番大事なことは、立ち止まるにしろ、そこで終わりにしないというか、“いつもここから始まり”と思うことだと思うんですよね。もちろん日々そんなに前向きに生きられないし、そんなふうに思えない時もあるという、きれいごとだけではない部分も歌詞にしたいという思いがあって、一人じゃないとわかってるけど「思わず泣きたくなるのは何故?」という歌詞は、そういうことを表現してます。

――Tinaさんはデビューして、いきなりすごい脚光を浴びましたよね。でも5年目くらいからはしばらくリリースがなくて、11年目に久々のシングルを出してカムバックして、そこからまた2年たって今に至るわけですけど。ファン目線で言うと、すごく起伏の大きいアーティスト・ライフだなと思うんですよ。

Tina:自分で意図的にということは、全然ないんです。私の中ではすべてつながっていることなんですけど、その時“これだ!”と思ったことに突き進んでいくタイプなんですよね。特に、年が若ければ若いほどそういうパワーは強いですし、その時その時“これだ!”と思うものをやり続けてきて、その都度いろんな人たちとの出会いがあって、人と人との関わりがあって、今も私がシンガー・Tinaとしてやっていられるんだなというのを、あらためてすごく感じます。今、深夜のクラブイベントでライヴをやると、前はアップテンポの曲ばかりを求められることがあったんですけど、今は、その当時のクラブのライヴでは歌わなかったような、シンプルなバラードをアンコールで求められたりして。「Tears Rain」という曲とか。この前「Starting Over」も歌ったんですけど、みなさんじっくり聴いてくださいました。ファンの方の年齢層もだんだん高くなってきましたしね(笑)。

――そして、次はアルバムですか。もう言っていいですか、アルバム制作中ということは?

Tina:はい。昨日もスタジオにいて、なんとなく完成形が見えてきた感じですね。制作の期間がすごく長かったので、その時々の気持ちも当然変わっていくわけで。そういうものも含めて、1曲1曲にその時々の私が反映されたアルバムになると思います。

――今年の後半は、かなり活動的なモードになりそうですね。

Tina:そうですね。具体的な目標としては、アルバム・リリース後にライヴを考えています。それがすごく楽しみですね。

――あらためて、メッセージをもらえますか? ずっとTinaさんを聴いて来た人と、そしてここから新しく聴き始めるリスナーに向けて。

Tina:今はいろいろと音楽の楽しみ方が、世代によってあると思うんですけど、どんな楽しみ方でもいいと思うんですよね。人が音楽を聴きたいと思う感情は、どんなに音の聴き方が変わっても、根本にあるものは一緒だと思っているので。今回の私の作品が、今までのTinaを知ってくださっている方はもちろん、本当にシンプルに曲を聴いて、聴いてくださった方のハートに届くような曲だったらいいなと思っています。そしてぜひライヴを見に来ていただきたいなと思います。作品とライヴはいつもセットなので、アレンジ面でも、ライヴならではというのもありますし、この「Starting Over」と、次のアルバムを聴いていただいて、ぜひライヴに足を運んでいただけるとうれしいです。

取材・文●宮本英夫

New Single
「Starting Over」
2012年5月23日発売
ESCL3901 \1,223(tax in)

New Album
『A Song for You』
2012年7月4日発売
ESCL3923 \3,059(tax in)

<Tina~New Album『A Song for You』リリースライブ~>
●2012/8/21(火) NAGOYA Blue Note
1stステージ 開場17:30 開演18:30
2ndステージ 開場20:30 開演21:15
料金: 5,900円
問い合わせ: 名古屋ブルーノート 052-961-6311
出演者: Tina / Masa Kohama (g.) / KENJI "JINO" HINO(b.) / FUYU(dr.) and more

●2012/8/22(水) Billboard Live Osaka
1stステージ 開場17:30 開演18:30
2ndステージ 開場20:30 開演21:30
料金: 自由席 6,500円 / カジュアル席(1D) 5,000円
問い合わせ: ビルボードライブ大阪 06-6342-7722
出演者: Tina / Masa Kohama (g.) / KENJI "JINO" HINO(b.) / FUYU(dr.) and more

●2012/9/7(金) JZ Brat SOUND OF TOKYO
1stステージ 開場17:30 開演19:30
2ndステージ 開演21:00 ※入替なし
料金: 5,250円(入替なし)
問い合わせ: JZ Brat Sound of Tokyo 03-5728-0168
出演者: Tina / Masa Kohama (g.) / KENJI "JINO" HINO(b.) / FUYU(dr.) and more

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