【連載】Vinyl Forest Vol.22 ── Situation「Barcelona (Psychemagik Remix)」

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今回は、Situationから5月半ばに正規リリースされた「Barcelona (Psychemagik Remix)」をご紹介したい。

その前に、Situationついてだが、ここ数年の間ではぽつりぽつりとRe-Editシリーズをリリースしている程度。しかしネタのチョイスがニクくて、派手さはないが記憶に残りやすい“通好みの盤”として筆者の仲間内でも人気があるレーベルだ。

最新盤のRe-Editでは、West Philipsの「(I'm Just A) Sucker For A Pretty Face」をフロア仕様にエディットしており、こちらは覚えている方もいるだろう。元ネタがとても良いので中古市場でぜひ見つけて見て欲しい。

と、まあここ最近は目立ったリリースがなかったのだが、4月の中旬頃に突如、極少量のPROMO盤がリリースされ、それが5月の半ばに正規リリースされた。それが「Barcelona」だ。

本作は、ボーカルトラックをそれぞれリミックスしたEP盤。フィーチャーされている少ししゃがれたようなソウルフルなボーカルは、Lauren Rimellというキュートな女性シンガー。

A1の「Barcelona」は、どこかフラメンコ調なギターのアルペジオに突き抜けるようなLauren Rimellの歌声が絡むダンストラック。

そしてなによりも今回のオススメは、ここ最近では飛ぶ鳥を落とす勢いのPsychemagikによるA2であろう。

自身のアルバムもリリースされ、シングルカットされた盤がすでに話題となっているPsychemagik。注目のA2の「Barcelona (Psychemagik Remix)」の前半は、静かなシンセディスコとなっており、中後半にかけてNew WaveやItalo Discoを意識した壮大なエレクトリックなシンセベースになっていく展開がとてもかっこいい。2011年に、International FeelからリリースされたAdventure Partyのトラックのようだ。

B1の「Barcelona Disco」はボーカルが活かされたパーカッシブなトラック。NU-Disco系のトラックとも相性が良いと思うし、DJセットの前半などにさっとかけても良いと思う。

そしてB2の「Barcelona Electro」は、エレクトロと冠されるだけあって、少しアシッドなトラックになっている。

4トラックとも同じくらいのBPMであるのに、どれも違った曲調に聴けるのが不思議である。“捨て曲まったくなし!”のとてもオススメできる盤であるので、ぜひ見つけたら購入して欲しい。特にPsychemagikが絡むリリースには要チェックだ。


text by Blue Eclair

◆Blue Eclairs Room
◆【連載】Vinyl Forest アーカイブ

──【連載】「Vinyl Forest」とは

筆者の私達は音楽好きなのは言うまでもないのだが、それでも年齢を重ねるにつれ不感症になりつつある。原因はハッキリしていて、テクノロジーの進化によって低価格、高品質な制作環境が容易に手に入る昨今にもかかわらず、楽曲のクオリティが退化の一途を辿っているからだ。低コストで在庫を抱えずに済むからレーベルは多くのリリースができる反面、現場ではとても使えないトラックも非常に多い。

そこで、データ音楽販売が主流となった昨今のダンスミュージック界隈の懐事情を鑑みて、

「私たちは、レーベル側が在庫リスクを背負い、インディながらも頑なにVinylをリリースするという行為そのものが、レーベルが充分な楽曲クオリティを保証しているのではないのか?」

という持論(フィルタリング)で巡り会えた珠玉の刺激物と、今では考えられない予算を投じてリリースされた名盤をご紹介していく。

text by Dee-S&Blue Eclair
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