Misaco + Otherz、シロクマが笑顔になるまで歌い続ける

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バンドといえば、固定メンバー。それを気持ちよく裏切ってくれたのがMisaco + Otherz。バンド名の通り、ヴォーカルMisaco以外は、固定メンバーでなくOtherzだ。そして、ライブごとにメンバーが変わる。それは、演奏スタイルだったり、ハコの大きさだったり、単純にメンバーの都合だったり。彼らは「名もなきバックバンド」。しかし、ただの名もないメンバーではなく、「など1号」から「など18号」(2012年5月現在)まで名前(?)が付いている。

◆Misaco + Otherz画像

そんな彼らが、5月20日に荻窪のRooster NorthSideでライブを行った。この日のメンバーは、ギター(など1号)、クラリネット(など5号)、ドラム(など10号)、ベース(など12号)、ビアノ/ギター(など18号)。そして、ヴォーカルのMisaco。

ライブは、Misaco + Otherz主催の<シロクマがないている♯2>。「シロクマがないている」は、彼らの楽曲タイトル。そこに込められた思いは、Misaco曰く「人間の手が加わったせいで環境が壊れ、いろいろな問題が発生し、地球は瀕死の状態のように思えます。シロクマに代表される地球上の生き物がみな笑顔を取り戻して生きていける、平和な世界になればいいな、という思いがあります」とのこと。そう、Misacoは、シロクマが笑顔になるまで歌い続けるのだ。

19:00、ライブが始まる。1曲目はライブタイトルでもある「シロクマがないている」。世界中の生きるものたちへのメッセージ。続く、「未来の風」では、未来への夢を歌う。サビで伸びる音が明日を連れてくるよう。そして、新曲「穏やかな暮らし」では、望む日常を歌う。穏やかな日常だ。「穏やかな日常」、簡単そうで現代では至難の技。それは、人が何をもって生活を穏やかと感じるかが、あまりに曖昧だから。ただ、「穏やかな暮らし」は、きっと人を健康にすると思う。

「月が」、「パンドラの壷に」、「透明な深呼吸」で歌われる言葉。月、雨、水、風、夜、雲。彼らの歌は、自然と協調する。そして、あることに気づく。歌を聴くと、癒されるとか、元気になるとか言われることがあるが、彼らの曲は、聴くと心がセンターに戻る。癒されたり、元気になったりというどちらかに偏ったものではなく、陰でも陽でもない中庸という一番ベストな場所に心が運ばれる。そんな魅力がある。うーん、初めての経験かも。

MCでは「ぴかぴかの道を」を、歌うと猫が噛みついてくる話を。その後の「ブヴロンの光」と「HOME」は、続いている歌のよう。「ブヴロンの光」で<りんご香るノルマンディーへとゆこう>と歌い、「HOME」で<異国での夢は終わる>と歌う。意図的なのか、どうなのか?

ラストの「おにぎり食べた」のなかでメンバー紹介。ここでも、メンバーは名前で紹介されることはなく、「など1号」、「など5号」と紹介される。しかし、「名もなきバックバンド」は、しっかりと存在しMisacoとともに音を奏でる。そこには、急ぐ思いも焦る思いもなく自然に乗っかる余裕と自由がある。それが、人の心をセンターに戻す力になのだろう。この日、ポジティブでなくネガティブでないセンターという感覚の大切さを改めて知った。

<シロクマがないている♯2 5月20日>
1.シロクマがないている
2.未来の風
3.穏やかな暮らし
4.月が
5.パンドラの壷に
6.透明な深呼吸
7.ぴかぴかの道を
8.ブヴロンの光
9.HOME
10.おにぎり食べた

<Misaco + Otherzライブ>
2012年7月4日(水)
@mona records
世田谷区北沢2-13-5 伊奈ビル3F
03-5787-3326

[寄稿] 伊藤 緑:http://www.midoriito.jp/

◆Misaco + Otherzオフィシャルサイト
◆Misaco + Otherzオフィシャルブログ
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