「城南海」のよみかたVol.13「南国の自然を感じる響きを届けたい…普天間かおり&城南海の沖縄・奄美大島対談」

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7月14日(土)北とぴあ さくらホールで<普天間かおり&城南海 美ら歌コンサート>が開催されます。今回は普天間かおりさんをお招きして、2人の出会い、沖縄と奄美大島の音楽について、コンサートのみどころなど、城さんと語っていただきました。城さんと普天間さんの穏やかな会話には、ゆったりとした島時間が流れているよう。驚くような共通点もあって、2人の意外な面も明かされました。

◆普天間かおり&城南海 画像

近いけれども少しずつ違う、沖縄と奄美大島の文化、歴史、音楽

――7月14日に行われる<美ら歌コンサート>で共演する城さんと普天間さん。そもそもお2人は、どんなきっかけで出会われたのでしょうか?

普天間かおり:毎年<新宿エイサーまつり>と連動して<沖縄音楽フェスティバル>というイベントが開催されるのですが、2010年に私と城さんが出演して。そのときにご一緒したのが初めてですね。

城南海:はい。実は母が以前から普天間さんのファンなんです。

普天間かおり:本当に? わあ、ありがとうございます。

城南海:ずっと普天間さんの歌を聴いていたから、私もとてもうれしかったです。また、沖縄の方々の集まりである<沖縄音楽フェスティバル>に奄美大島出身の私が呼んでいただいたこともうれしくて。沖縄と奄美大島のコラボができて、本当に楽しかったですね。

――お互いに、初対面ではどんな印象でしたか?

普天間かおり:城さんにお会いする前に、お名前の文字を見て「『じょうなんかい』ではないよね」と思って(笑)。いろいろなご活躍を目にしたり耳にしたりするなかで、「沖縄音楽フェスティバル」に誘ってくださった歌手の古謝美佐子さんから「とてもいい子よ」と城さんのお話を聞いていたんです。だから、すでに半分会っているような感じがしていたんですよ。直接お目にかかったら、とてもホワンとした空気感と、歌っているときのギャップがすごく魅力的な方だなあ、と思って。

城南海:私も、普天間さんは歌っていらっしゃるときは女神さまのようだけれど、お話されるときは、とてもホワッとした空気を持っていらっしゃると思いました。

普天間かおり:いえいえ…。私のホワッとは城さんのホワンとは違う種類のような気がしますけれど(笑)。でも、2010年の<沖縄音楽フェスティバル>以来一緒に歌う機会はなかったので、今回はすごく楽しみなんです。

城南海:はい、とても楽しみですね!

――沖縄と奄美大島の民謡は、どのように違うのでしょうか?

普天間かおり:私はまだ奄美大島に行ったことがないので、イメージの域は超えないんですけれど、裏声を使った歌唱法のグインは奄美大島独特のものですね。奄美三味線と三線は、奏法が違いますし。沖縄でも切ない歌や情け歌はありますが、奄美の唄声は少しもの悲しさというか、沖縄より陰りのある感じがしますね。私は田中一村さん(奄美大島の自然を愛した日本画家)の絵がすごく好きなんですけれど、光が射しこんでいるなかで、少し陰が多い、といった田中一村さんの作品に通じるものを奄美の唄には感じますね。

城南海:沖縄が太陽で奄美大島が月、というイメージがあります。普天間さんは、琉球王朝の血が流れていらっしゃるんですよね? 沖縄の民謡は王さまへの献上歌として生まれたものが多い、と聞いたんですけれど。奄美大島は薩摩藩だったり、琉球王国だったりした時代もあって、圧政下でブルースのように生まれてきたシマ唄が多いので、沖縄とそこで響きが違うのかな、と思います。でも、言葉は共通しているところがたくさんありますね。

普天間かおり:とても近くて親近感のわく部分と、その島ならではの歴史、生きてきた人たちの様子が音楽になっているから、違いは感じますよね。

――普天間さんは、琉球王朝の流れを汲んでいらっしゃるのですか?

普天間かおり:普天間という名字は本名なんですけれど、ルーツをたどると昔の王さままでつながっているんです。ただ、昔だったらいろいろなしきたりがあったようですが、私の世代はそんなにはないですね。祖母の世代まではとても厳しくて、女性が歌うのはあまりよろしくなかったようですし。私はよく「今の時代で良かったね」と言われます。

――沖縄では、女性はあまり歌わなかったのでしょうか?

普天間かおり:琉球王朝の時代は、貿易などの交渉事で「宴」というものはすごく大事だったんです。そのための部署があるくらいでしたから。歌うことは男性の仕事だったんですね。

城南海:沖縄民謡は、最初男性に合わせるから地声で高く歌う、と聞いたのですが。

普天間かおり:そういったことも、あるかもしれないですね。だから宮廷楽府には美少年が集められたんですって。若くて美しい男の子たちを集めて訓練して、それできちんとしたおもてなしをすることで政治が動いていく、というとても大事な仕事だったんです。

城南海:奄美大島は女性が神さまという島で、女性に合わせて男性も唄うので、いっぱい裏声も入りますし、三味線も沖縄より1オクターブ高い音で唄いますね。ユタ(沖縄、奄美諸島の民間霊媒師)やノロ(沖縄県と鹿児島県奄美群島の琉球の信仰における女司祭)も女性がやっていて、姉妹神信仰(うなりがみしんこう)という、女性を神さまにしていることが、シマ唄の響きにも現れているのかな、と思います。

普天間かおり:沖縄もノロは共通していて、神さまの使いは女性が全部やっているので、そこはとても似ていますね。

城南海:実は普天間さんにお聞きしたかったのですが…。普天間さんは、ユタの力を持っていらっしゃいますか?

普天間かおり:目に見えない、なにかを感じる力ですか? 残念ながら、まったく持っていないんですよ(笑)。ほかの人からは「持っていそう」と言われますけれど。

城南海:沖縄はユタの能力を持った人がその道に行くか、芸能の道に行くか、どちらか、というのを聞いたのですが。

普天間かおり:確かにそういう話はありますね。私も実は子どものころ、ユタに「この子は、どちらかにいくはず」と言われて。ユタになるか、もしくは人の前に立つ仕事につく、と。

城南海:すごい! 私はユタ神さまにお会いしたことはないんですけれど、最近不思議なことが多くて。このところ毎日、自分が「会いたい」と思っている友だちや知り合いに街のなかで偶然会うんですよ。

普天間かおり:うわあ、それこそすごいですよ!

城南海:霊感は全然ないんですけれど(笑)。

普天間かおり:でも、そういう力は突然来る、と言う人もいますから。

城南海:人とつながる時期なんだと思って、今は自分から行動を起こして、いろいろな人に積極的に会いに行っています。

普天間かおり:そういうことって、うれしいですよね。沖縄、そして奄美大島もそうだと思うんだけれど、この世とあの世がとても近いから、実際に自分に関わる先祖や亡くなった魂の存在に対して、あまり怖いとは思っていないんですよね。逆に「見ていてくれているかな」とか、「頑張るからね。守っていてね」みたいな。宗教観は近いものがありますよね。そういえば、沖縄では「シーミー」という伝統行事があって、お墓でピクニックをするんですよ。

城南海:えー! ピクニックですか?

普天間かおり:お墓参りなんだけれど、そこでお弁当を広げて、みんなで宴会をするんです。なかには三線を持って唄うお家もあったり。

城南海:それはとてもユニークですね。

普天間かおり:それは先祖に「私たちはおかげさまでこうやって家族も親戚も元気に暮らしていますから、安心してくださいね」というのを見せるため、そして「見守っていてくださいね」とお願いするためなんです。だからお墓は怖いところではないんですよ。

城南海:そうなんですね。奄美大島もお墓参りを大事にしますけれど、さすがにピクニックはしたことがないです。いろいろな違いがありますね。

2人の意外な共通点を発見、南国育ちでも水泳が苦手?

――ところで、普天間さんは何をきっかけにして歌手を目指されたのでしょうか?

普天間かおり:私は3歳から歌い始めていて、子どものころに沖縄の芸能界というのが存在していて、そのなかで小学生くらいからちびっこ歌手みたいな感じで活動をしていたんです。私は特別には民謡を習っていないので、テレビやラジオで聴こえてくる流行歌が好きで歌い始めた、という感じなんですね。ずっと沖縄で活動をしていたんですけれど、スカウトされて東京へ単身で出てきたんです。歌を始めたのが3歳なので、好きなことをずっとやっていたら、それが生業になって。今も仕事のような、楽しんでいる遊びのような感じでやっています。

城南海:何歳のときに、スカウトされたのですか?

普天間かおり:中学生のときにオーディションを受けて、高校1年まで沖縄にいて、高2から東京に来て。学校に通いながらレッスンを受けて、ずっと歌っているという感じです。長く歌っているから、沖縄に帰ると「普天間かおりは、実は60歳くらいになるんじゃないか」というようなイメージがあるみたいなんですよ(笑)。城さんは3歳のころ、どんな女の子でしたか?

城南海:ピアノを弾いていました。母にとって念願の女の子で、女の子が生まれたら音楽をやらせたいと思っていたようで、島ではピアノ教室にずっと通っていたんです。

普天間かおり:練習は好きな方でした?

城南海:コンクールの練習は大変でしたけれど、ピアノはすごく好きだったので、ずっと弾いていて。高校も音楽科に行って、ピアノの先生になりたいな、と思って勉強していました。でも私も高2の時にスカウトされて、オーディションを受けたんです。

普天間かおり:小さいころは、歌を歌おうと思っていましたか?

城南海:まったく思っていなかったですね。14歳で奄美大島を離れて、鹿児島に行ったときに、兄がシマ唄を唄っているのを聴いて、「私もシマ唄を唄いたい」と思ったのが高校1年のときなので、そこからです。

普天間かおり:そのときから始められたんですね。すごい!

城南海:島を離れて、初めて良さに気づくというか。鹿児島は奄美大島から出てきている人が多いので、そういう集まりもいっぱいあるんです。

普天間かおり:私も東京に出てきてから、沖縄の良さとか魅力、違いに気づきましたね。もともと沖縄は大好きでしたけれど、胸を張って自分のふるさとを愛しているな、と感じられるのは、良かったなと。もし島を出なかったら、そういう気持ちは気がつかなかったかもしれないですし。

――お2人とも独学で唄の勉強をされたんですね。

普天間かおり:城さんは、てっきり小さいときから唄っているのかな、と思っていて。奄美大島の森のなかで歌っていそうな感じがします。

城南海:いえいえ、虫が苦手なので、あまり森に入れないんです(笑)。しかも、泳げないですし。

普天間かおり:実は私も泳げないの。

――えっ。お2人とも海のそばで育ったんですよね?

普天間かおり:海は泳ぐところではないんです。夕涼みをしたり、沖縄ではビーチパーティーといって、友だちや親戚が海辺でパーティーなどをするんですけれど、そういった憩いの場所。私のおばあは観光客の方が真夏の海で泳いでいるのをみると「こんな一番暑い時間に、わざわざ難儀して泳いで大丈夫かね。クーラーの涼しいところにいた方が楽なのに」と言いますよ(笑)。

城南海:夕方でないと、海には行かないですよね。私も奄美大島にいるころは水着も着たことがなくて、Tシャツでいつもつかっていました。

普天間かおり:漁師町や海の文化が強いところで育てば上手な人もいるんですけれども、私の周りでは泳げない人が多いですね。

城南海:私は中学生のときに鹿児島に出て、学校の授業でみんながすごく泳げるからびっくりして、近くのスイミングスクールに入ってみたんですよ。息つぎがどうしてもペースが合わなくて、早くできないんです。「それなら背泳ぎを覚えなさい」と言われてやったら、とりあえず進めるようになって。でもそれで止めてしまったので、背泳ぎで浮いているくらいしかできないんですよ(笑)。

普天間かおり:私もクロールで息つぎができなくて。じゃあ、平泳ぎなら顔を出しているから、これならいけるかもと思って、見よう見まねでやってみたら、同じ場所にずっといて進まないの(苦笑)。だから、泳ぎは苦手です。泳げたらいいな、と思うんですけれども。海に行くのは好きなんですけれどね。

2人のDNAを合わせ、美しい響きと島の風を吹かせたいです

――さて、いよいよ7月14日に開催される<美ら歌コンサート>ですが。お2人から、是非みどころポイントを教えてください。

城南海:他の地方の方から見ると、奄美大島も沖縄も同じに見えると思うんです。もちろん同じところもありますけれど、それぞれ違う響きもあるので、そこを感じていただければ、と思います。今回のコンサートのタイトルは<美ら歌コンサート>となっていますが、「美ら」は沖縄では「ちゅら」と読み、奄美は「きょら」と読むんです。このコンサートについては、どちらの読み方でもOK。それぞれの美しい響きと島の風を感じてもらえたらいいな、と思いますね。

普天間かおり:奄美大島も沖縄も、芸能というものが昔からとても重要な存在だったと思うんですね。奄美大島も沖縄も時代に翻弄された悲しい時代もあったし、とくに今、日本は震災後に復興に向かうぞ、という大変な時期ですが、こういうときだからこそ、芸能、音楽、歌、というものが、生きる力の一つになるのでは、と思います。昔の人たちは、喜びも悲しみも歌に変えて、人とつながって乗り越えてきたはずですから、私たち2人のDNAを合わせて、皆さんと一緒に音楽で栄養補給できるような、そういうコンサートにしたいです。2人で一緒に声を合わせる機会も作りたいな、と思って準備も進めていますよ。

城南海:ものすごい化学反応が、いっぱい起きそうな気がしますね。

普天間かおり:本当にそうですね。そういえば<沖縄音楽フェスティバル>の打ち上げのとき、城さんは未成年だったから、ソフトドリンクを飲んでいらっしゃいましたよね。今は何を飲んでいらっしゃいますか?

城南海:黒糖焼酎を飲んでいます。最近はシークワーサーで割って飲んでいます。

普天間かおり:ぜひ素敵なコンサートにして、終わったあとにおいしい黒糖焼酎で乾杯しましょうね。

城南海:はい。皆さんが楽しめるコンサートになるように、頑張りましょう!

●普天間かおり(ふてんま・かおり)
沖縄県出身。琉球王朝の流れに生まれる。幼少より歌い始め、小学生のころにはすでに地元の沖縄で音楽活動を開始。2002年、シングル「髪なんか切ったりしない」でテイチクよりメジャーデビュー。その雄大にして繊細な歌唱力で、自身のルーツとなる沖縄音楽に独自の解釈を加え歌い継ぐスタイルや、平和・家族などに視点をおいて人を見つめる温かな楽曲の世界観が支持されている。


<普天間かおり&城南海~美ら歌コンサート~>
~沖縄と奄美出身の二人による愛すべき歌たちと、南国の海のように穏やかなひととき。
2012年7月14日(土)
@東京 北とぴあ(財団法人 北区文化振興財団)
開場 17:00/開演 17:30
http://www.kitabunka.or.jp/

<~沖縄・石垣・奄美からの歌便り~南の島の歌姫たち 古謝美佐子・仲田かおり・城南海>
●2012年7月19日(木) 開演 18:30
兵庫県 神戸市 神戸文化ホール(大ホール)
●2012年7月20日(金) 開演 18:30
京都府 城陽市 文化パルク城陽プラムホール
●2012年7月21日(土) 開演 14:30&18:30(2回公演)
京都府 京都市 京都テルサホール
http://www.min-on.or.jp/index.html

城南海ワンマンライブ<ウタアシビ2012夏>
●2012年8月4日(土)
名古屋 TOKUZO
開場 16:30/開演 17:00
席種・料金(前売):整理番号付自由 ¥4,000(税込/ドリンク代別)
[問]サンデーフォークプロモーション TEL:052-320-9100
http://www.sundayfolk.com
●2012年8月5日(日)
東京 ミュージックレストラン ラ・ドンナ原宿
開場 18:00/開演 19:00
料金(前売):全席指定 ¥4,000(税込/飲食代別)
[問]ミュージックレストラン ラ・ドンナ原宿 TEL:03-5775-6775
http://www.la-donna.jp/

<奄美からの涼風~城南海ライブコンサートとブッフェ料理>
●2012年8月12日(日)
@ホテルテラスザガーデン水戸
First Stage 開場&受付 11:30~/立食 12:00~/ライブステ-ジ 13:20~
Second Stage 開場&受付 17:00~/立食 17:30~/ライブステ-ジ 18:50~
http://www.hotel-terrace.com/party/event.htm

城南海ニューシングル「アイツムギ/幸せの種」
2012年6月20日発売
PCCA.70338 \1,000(税込)
1.アイツムギ 作詞/作曲:川村結花/編曲:上杉洋史
2.幸せの種 作詞:Mari-Joe/作曲/編曲:安岡洋一郎
3.アイツムギ (カラオケ) 作詞/作曲:川村結花/編曲:上杉洋史
4.幸せの種 (カラオケ) 作詞:Mari-Joe/作曲/編曲:安岡洋一郎
※「アイツムギ」譜面付き

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