タイナカ彩智、Rie fu、園田涼(fromソノダバンド)、80年代生まれの3人が織りなす自立した音たち

ツイート
2012年6月23日、南青山マンダラ。この日のライブタイトルは、<born in the 80's session>。そう、1980年代に生まれた20代アーティストによるセッションライブだ。出演は、1986年生まれのタイナカ彩智、1985年生まれのRie fu、そして、1986年生まれの園田涼(fromソノダバンド)だ。

正直、私から見れば若い!アーティストたち。しかし、音は自立し個性的でそれぞれに色を持っていた。3人のセッションと、それぞれのメインコーナーで楽しませてくれた。

3人が登場し、タイナカ彩智のルーツである童謡を披露。園田涼がピアノを弾き、タイナカ彩智とRie fuが歌う。園田が弾くピアノという舟に乗った女性が二人、夕方の川を下るイメージ。ジャズピアノで聞く日本の歌だ。

曲を終えて今日のライブの話へ。そして、タイナカ彩智と園田涼が、同じ学年で地元が近いことを伝える。兵庫県加古川市と三木市という田園風景広がる場所で育った二人は、ライブ中も時々、故郷の話を。

そして、タイナカ彩智タイムへ。歌で自己紹介ということで暖かい季節をイメージした曲。高音がライブハウスの天井に跳ね返るくらいに伸びて気持ち良い。ギターの弾き語りとピアノの弾き語り。MCでは、子供の頃から地元のスーパーで歌っていた、と。動物を擬人化した歌、猫がテーマになった「のらねこ天国」では、<人が好き 一人が好き>という歌詞が耳に残る。Rie fuを呼び、二人で一台のピアノを弾きながらの歌。そんな二人の指は、鍵盤の上を転がる猫みたいだ。ひとりに戻りオートハープでの演奏も。そして、園田涼を呼び、園田アレンジで一曲。バレエを習っていたというタイナカ彩智は、声だけでなく身体、指先を使って歌を表現した。

ここで休憩。

再び3人が登場。ここからは園田涼タイム。園田の希望でボサノヴァの曲を。園田ひとりになり、いつもはバンドで活動をしているため、ソロピアノは久しぶり、と。バンドで見ているときより、少年のようで一人の男性のようで、という不思議な感覚。女性二人に男性一人というシチュエーションも彼の違う面を見せてくれているよう。バンドの曲を、ピアノソロで。いつもはバイオリンやチェロが歌う部分をピアノが奏でる。そして、ヨーロッパの映画のサントラで使われていそうという曲。良い曲なのに、なかなか表に出ないと残念そう。そして、悲しそうでありながら、この主人公は芯が通った女性ではないかと思わせる曲。ラストは、元気な曲を書いてきたということで、「ナショナリズム(表記不明)」。意外なところに飛ぶ音に不安させられたと思うと、いつかそれに慣れている。不安と安心は反対語ではないと感じた。

続いて、Rie fuタイムへ。3人での演奏は、レディー・ガガ。なんと、タイナカ彩智がiPadドラムで参戦。会場からは手拍子が起こる。Rie fuは、話し方がとっても個性的。特に語尾が女性からみても良い感じに可愛らしい。しかし、歌になると雰囲気が変わる。2曲目は、現実という空間を確認しつつ、それを声にしていくような曲。音符が音になっていく。夢を見過ぎない歌に心地よさを覚える。MCでは、27歳という年齢について話す。まだ若いけれどいい歳だ、と。そして、19歳のときのデビュー曲「decay」。10代が醸し出す特有の世界を27歳の声が表現する。「decay」の意味は「腐る」。この気持ちを持ちつつ生きていきたい、と。タイナカ彩智を呼び<Noと言えない女>について話し、そんな歌を。そして、園田涼を呼び新曲「6月のたからもの」を。

アンコールは3人で、パズルを集めたような曲。約3時間に渡る充実のライブ。3人の表現者が、それぞれ自立した音を主張しつつも、互いに絡み合いながら音を届けてくれたと感じた。そして、25歳から27歳の3人が、自分のレーベルを持っていたり、会社にしていたり、事務所を持っていたりと、個を主張する時代になっていると感じた。私の20代(20年くらい前?)には、ほとんどあり得なかったこと。それが時代であり、それが今。どちらが良いとか悪いとかではなく、どんな場でも音楽は創られ届けられる。そんなシンプルことを改めて感じた。このライブセッションは、6月30日に大阪でも開催される。

<born in the 80's session>
2012年6月30日(土)
@Bar MUSZE
出演:Rie fu/園田 涼(from ソノダバンド)/タイナカ彩智
時間:open 17:00 start18:00
チケット料金:\3,600(別途飲食料\1,000)
☆Bar MUSZE予約メール
ticket@barmusze.comに、公演名,公演日時,枚数,連絡先を明記の上送信して下さい。返信メールが届き次第、予約完了とさせていただきます。

[寄稿] 伊藤 緑:http://www.midoriito.jp/

◆タイナカ彩智オフィシャルサイト
◆Rie fuオフィシャルサイト
◆ソノダバンド・オフィシャルサイト
この記事をツイート

この記事の関連情報

*

TREND BOX

編集部おすすめ

ARTIST RANKING

アーティストランキング

FEATURE / SERVICE

特集・サービス