Creature Creature、孤高たる世界観・言葉と音の同調が生み出す深遠

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多くの人にとって、音楽は日々の娯楽の一つでしかないのかもしれない。しかし、瞬間的な満足には終わらない、いつまでも内面に情念が燻るような音楽も一方ではある。Creature Creatureが提示するものはまさにそれだろう。

◆Creature Creature@渋谷O-EAST 2012.6.9~拡大画像

現編成の礎たる2ndアルバム『INFERNO』(2010年7月)以降、Morrie(V)のソロ・プロジェクトとしてスタートしたこのグループは、確実に“バンド”への変貌を遂げつつあった。その事実が彼らにとっていかに重要だったのか。そんな想像力を強烈に喚起させられたのが、去る6月9日に行われた東京・渋谷O-EAST公演だった。

シングル「楽園へ/Ataraxia」のリリースに先駆けたタイミングということもあり、幕開けに配されたのは、その「楽園へ」。鋭い眼光でオーディエンスに言霊を意識させるMorrieを中心に、Hiro(G)とShinobu(G)が両サイドで積極的にアクティヴな動きを見せながらギターを鳴らし、Sakura(Dr)とHitoki(B)が後方から飛び出さんばかりのリズムを轟かす。新曲とはいえ、過去の公演で披露されていたこともあってか、すでに確固たるパフォーマンスの形ができ上がっている。既発のマテリアルについては言うまでもないだろう。

ただ、真に圧巻だったのはここからだった。たとえば、受け取りようによっては難解にも感じられるであろう複雑なアンサンブル。彼らのタイトな演奏を単純に器楽的な面白さとして捉えるのもいいが、視点の置き方によっては、さらなる本質的意味合いまで見えてくる。歌詞に描かれている世界観との同調だ。多種多様な音が、言葉で綴られた意味を後押しする役割を自然に担っているのである。

それを実現させる一つの要素が先述した“バンド”らしさなのだが、自然に生まれるグルーヴと併せて、メンバー5人のCreature Creatureに対する5通りの向き合い方が集束し、新たな孤高の音塊へと昇華していく。この感触は主として中盤に固められた、現在、レコーディングが進行しているニュー・アルバムに収録予定の楽曲群を耳にして、ますます確信させられた。もちろん、先行して発表されるシングル曲「くるめき」「Sexus」についても同様だ。

理想と現実、あるいは虚像と実像。聴き手それぞれの日常的な経験によっても感じ方は異なってくるとはいえ、少なくとも彼らの創造物には、個々の生き方から生命の神秘に至るまで、様々な哲学的探究を自ずから求められる力が内包されている。人はなぜ存在するのか? そういったある種の真理を繙く道程こそが、Creature Creatureの表現そのものなのではないか。重層的な実演が魅力を幾重にも増していくなか、そんな自問自答がライヴ終了まで常に伴った。

付随的なことながら、歴史的にも多くの芸術作品のモチーフとなってきた<Sodom and Gomorrah>なるタイトルが、今回の公演には冠されていた。一般的な解釈で言えば、崩壊/滅亡の象徴だが、その真意も含めて、オーディエンスに熟考を促すような、連続した謎解きがまた興味深い。

果たして正解はどのように映し出されるのか。もしくはさらなる迷宮へと誘われるのか。一つの継続過程と言える7月21日に行われる大阪・BIG CATでのライヴは、より進化/深化した具体像も表現されるだろう。もちろん、その先にある新作発表とそれに伴うツアーを見据えてのものだ。相応の覚悟をもって、来るべき日を心待ちにしておきたい。

取材・文●土屋京輔
写真●大島康一

<Creature Creature @ 渋谷O-EAST 2012年6月9日>
【Sodom and Gomorrah:ソドム】
1. 楽園へ
2. Dream Caller
3. Amor Fati
4. Cosmos Blackness
5. 星憑き
6. Cluster
7. Black Hole
8. Aurora
9. Golden Age
10. Psyche
11. Mirrors
12. 天醜爛漫
13. Phallus Phaser
14. Gone By Rain
15. Sexus
16. Dead Rider
17. Red
18. Swan
-encore 1
19. Ataraxia
20. Maboroshi
-encore 2
21. くるめき
22. 楽園へ



5thシングル「楽園へ/Ataraxia」
XQLD-1002 [PSYCC-12003]
¥1,050(tax in)
6月20日リリース
6thシングル「くるめき/Sexus」
XQLD-1002 [PSYCC-12004]¥1,050(tax in)
8月8日リリース

3rdアルバム「タイトル未定」
10月17日リリース

<Sodom and Gomorrah:ゴモラ>
7月21日(土)大阪・BIG CAT
<くるめきへ>
8月5日(日)東京・目黒鹿鳴館(※チケット完売)
ツアー<Creature Creature TOUR 2012>
10月20日(土)福岡・博多DRUM SON
10月21日(日)岡山・岡山IMAGE
10月27日(土)北海道・札幌COLONY
10月28日(日)北海道・札幌COLONY
11月17日(土)埼玉・さいたま新都心HEAVEN'S ROCK
11月24日(土)宮城・仙台HOOK(宮城)
12月1日(土)愛知・名古屋ell. FIT'S ALL
12月2日(日)大阪・心斎橋MUSE
12月14日(金)東京・渋谷O-EAST

◆Creature Creature オフィシャルサイト
◆BARKS ヴィジュアル系・V-ROCKチャンネル「VARKS」
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