SuG、ジャンルを越えたイベントでBABY METAL&たむらぱんと狂乱の饗宴

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<SuG LIVE BATTLE 2012>と題し、この夏、ジャンルの枠を超えた4本の対バン・イベントを敢行したSuG。なかでも振り切れたラインナップで我々をアッと言わせたのが8月20日に行われた3本目である。その出演者はSuG、たむらぱん、BABYMETALの3組。ヴィジュアル系、女性シンガー・ソングライター、そしてアイドルという普通ならば実現しえない組み合わせに、フロアのオーディエンスも多種多様に入り乱れ、通常のライヴではありえない化学反応が、普段とは一味違う熱狂を会場である渋谷WWWに巻き起こした。

◆SuG、ジャンルを越えたイベントでBABY METAL&たむらぱんと狂乱の饗宴~拡大画像~

トップバッターはSuGのフロントマン・武瑠との対談をキッカケに参戦が決まった、たむらぱん。鍵盤やコーラスも交えた6人バンドに従えて“ゆるふわ”な風情で登場するや、息をするように吐き出される混じりっ気ナシの真っ直ぐなヴォーカルで、一瞬にして客席の心を掴んでしまう。草原のそよ風のように軽やかな「new world」で手拍子を招き、MCを挟むと滑らかなメロディを美しいハーモニーで聴かせる癒しチューン「ラフ」へ。心地よい流れで酔わせながら、けれど単に優しいだけでなく、底知れぬエモーションを秘めているのが彼女の末恐ろしいところ。物騒なタイトルコールに“オオーッ!”と声があがった「ぶっ飛ばすぞ」では、予想外に前向きなメッセージでドラマティックな感動を呼び、間髪入れず繋げた「へぶん」の即興性高いパフォーマンスに、聴いているだけで身体も自然にスイングする。ラストの「ジェットコースター」に到っては、その歌声が空を自由自在に旋回して、まさしくタイトル通りの爽快感! 1曲歌い終わるごとに拍手が沸くステージで、MCでの言葉を借りるなら“三種の盛り合わせ!ってライヴ”の幕開けを、見事な適温に温めた。

続いてワーグナーの「ワルキューレの騎行」が勇壮に鳴り響くなか、成長期限定ユニット・さくら学院で重音部として活動するBABYMETALが、大きなフラッグを掲げて厳かに入場する。次の瞬間、爆発したのは正真正銘のツーバス満載メタル・サウンドと、ゴシック・ロリータな衣装に身を包んだ3人の激しすぎるアクション! アイドルならではのキュートな歌声に、「ド・キ・ド・キ☆モーニング」「君のアニメが見たい」等の可愛らしい歌詞で笑顔を招きつつ、間奏ではメロイック・サインそっくりの“キツネ・サイン”を真顔でクールに決めるメリハリ具合。さらに、ステージを前後左右に駆け回って魅せる巧みなフォーメーション、センターを務めるSU-METALのハチ切れそうなシャウト&ヴォーカル、そこに振り上げられるファンの拳に、ただ、ただ、圧倒されるほかない。トランス・メタルなのに童謡「黄金虫」の旋律に合わせて全員が大きく身体を振る「いいね!」、サイドのYUIMETALとMOAMETALが“ウォール・オブ・デス”風かけっこを繰り広げ、“ダメ!”ジャンプに会場が揺れる超王道シンフォニック・メタル「イジメ、ダメ、ゼッタイ」と、音もパフォーマンスもすべてが“本気(マジ)”。最後は自らのポニーテールを掴んで振り回し、ヘッドバンギングを繰り出しまくる「ヘドバンギャー!!」でフロアとの間に恐るべき一体感を生み出して、“全力”という一点で繋がるへヴィメタルとアイドルの相性の良さを証明してみせた。

先程までの野太いコールから打って変わって黄色い歓声を受け、登場した大トリは言うまでもなく主催者のSuG。ファンタジックに流れるSEが途中で生演奏に切り替わると、「Howling Magic」では武瑠が歌いながらギターをかき鳴らし、最新アルバム『Lollipop Kingdom』からの2曲が衝動的かつバンド感あふれるオープニングを飾ってみせる。さらに客席から無数の腕が突き上がる「☆ギミギミ☆」、揃いのフリでフロアが丸ごと踊る「Crazy Bunny Coaster」のシングル2連発で心躍る“熱さ”を醸し出せば、場内に吹き荒れるのは外気に負けない“真夏”の熱風だ。

しかし、“SuG METALデス!”とキツネ・サインを出したのに続く武瑠のMCは“最初に一言言わせてください。帰らないでください!”と、ずいぶん遠慮がちなもの。アイドル好きとして知られるyujiはBABYMETALについて“素晴らしいでしょ!”と評したり、“異種格闘技戦”ならではの客層に対する配慮が感じられたが、沸き起こる歓声は男女入り乱れたもので、本イベントの成果を早くも感じ取ることができた。

そんな程よい緊張感が漂わせつつ、9月19日に到着するファンクな新曲「sweeToxic」、曲中でベースのChiyuがサックスをプレイする「Boom Boom Neat」でお洒落な空間を創り上げ、“身体ほぐれたか? 心ほぐれたか? 頭振れるか?”という煽りで怒涛の後半戦へ突入。ヘッドバンギング吹き荒れる「fat inside horror」に、久々の披露となる「餓鬼☆戦争 ~デスペラードは突然に~」で武瑠が“ヘドバンギャー!!”と煽り立てれば、BABYMETAL印のTシャツを着た男性が拳を振り上げるシーンも。そう。今やヘドバンはアイドルとヴィジュアル系を繋ぐ重要なキーワードなのである。

性別、音楽嗜好を問わず一つになったフロアに触発されたのか、凄まじいエモーションを吐き出した「不完全Beautyfool Days」で本編を締めくくると、なんと客席からはSuGファンの“アンコール!”の声に掛け声を挟む男性客の声が。それに応えてのアンコールでは“絶対また、こういう異種格闘技戦をやるから応援してください”と「39GalaxyZ」でタオルを振り、感動のフィナーレへ。すべての境界を超えて音楽を純粋に楽しんでほしいという彼らの願いが、そこにハッキリと滲んでいた。

この日以外の3本でも、男女ツイン・ヴォーカルを擁する少年カミカゼ、“近未来移動系シティパンクロック集団”を称する撃鉄、加藤和樹によるロックユニットJOKER、ニコニコ動画から飛び出した赤・ω・飯を迎えて行われた“SuG LIVE BATTLE 2012”。恐ろしくジャンルレスな面々との競演の成果が、10月からのライブ・ツアーで如何に発揮されるのか? 今から楽しみにしていてほしい。

取材・文●清水素子

●たむらぱん
<TAMURAPAN ワンマンライブ全国ツアー>
11月9日(金) 札幌KRAPS HALL
11月15日(木) 名古屋CLUB QUATTRO
11月16日(金) 大阪BIGCAT
11月24日(土) 仙台 CLUBJUNKBOX
11月25日(日) 新潟LOTS
11月28日(水) 福岡DRUM Be-1
11月30日(金) 東京SHIBUYA-AX

●BABYMETAL
ワンマンライブ<I、D、Z~LEGEND “ I ”>
10月6日(土) 東京Shibuya O-EAST
<第一部> open 14:30 / start 15:00
<第二部> open 18:00 / start 18:30

●SuG
<SuG TOUR2012『sweeToxic』>
10月10日(水) 札幌KRAPS HALL
10月12日 (金) 仙台darwin
10月14日 (日) 松山サロンキティ
10月16日 (火) 広島ナミキジャンクション
10月18日 (木) 金沢AZ
10月19日 (金) 新潟Live Hall GOLDEN PIGS(RED STAGE)
10月29日 (月) 東京Zepp Tokyo
11月5日 (月) 福岡Zepp Fukuoka
11月7日 (水) 愛知Zepp Nagoya
11月8日 (木) 大阪Zepp Namba

◆SuGオフィシャルサイト
◆BABYMETAL オフィシャルサイト
◆たむらぱん オフィシャルサイト
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