陰陽座、“麗しの島・台湾”で魅せた魂迸る完全燃焼ライヴ

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唯一無二の音楽性で幅広いファンベースを築いてきた陰陽座が、2日間に渡る初の台湾・台北公演<麗しの島に魂を饗う也>を行った。

彼らの海外遠征は、2006年の欧州ツアー以来のことだが、チケットが発売されてすぐに飛び込んできたのは、何と即日完売というニュース。会場となったTHE WALLは日本の多くのアーティストがしばしば訪れるが、こういったケースは非常に稀だというから、かの地で陰陽座のライヴがいかに待望されていたのかが窺い知れる。

実際にステージが幕を開けてからは、さらに驚かされた。とにかく凄まじい盛り上がりなのである。メンバーの一挙一動にことごとく大歓声が上がり、楽曲それぞれの最初から最後まで大合唱が続く。あまりのヴォリュームの大きさに演奏が聞こえなくなるという、にわかには信じられないハプニングさえ起こった。

超絶としか表現しようのない熱狂で迎えるオーディエンスに対し、バンド側も全身全霊のパフォーマンスで応えていく。もちろん、その真剣さはいつものことではあるが、これほどまで両者の“魂の迸り”が相乗効果となって昇華されていったライヴはほとんど記憶にない。文字通りに感服させられる。

セットリストを眺めればわかるように、両日共に特徴的な流れが見て取れるだろう。初日は序盤に最新作『鬼子母神』(2011年)の準完全再現(MCもなし)を配した大胆な演目。リリースされたばかりのDVD『絶界演舞』(東京・NHKホール公演を収録)と同様の壮大なストーリー性とライヴならではの瞬発力のある即効性を巧みに融合させた様には、進化を止めない陰陽座の本質的な凄みを再確認した。

また、これまでの歩みを総括できるような二日目は、最終的に6度にも及んだアンコールがすべてを物語る。観客は時間経過に従ってますます燃え上がり、陰陽座コールを繰り返す。その純粋な思いに鼓舞されたメンバーも真っ向から対峙する。まさに麗しい関係がそこには自ずから出来上がっていた。

瞬火、黒猫、招鬼、狩姦は、予想だにしていなかった台湾のファンの熱烈な歓待ぶりに感激したことを口々に話していたが、今回の公演が陰陽座の歴史上、伝説的とも記録的とも言えるライヴになったのは間違いないだろう。彼らにとって、また帰るべき街が一つ増えた。

取材・文●土屋京輔
写真●菊地英二

<陰陽座『麗しの島に魂を饗う也』>
2012年9月8日=台湾・台北THE WALL
2012年9月9日=台湾・台北THE WALL

<セットリスト:8日>
1. 組曲「鬼子母神」~啾啾
2. 組曲「鬼子母神」~徨
3. 組曲「鬼子母神」~産衣
4. 組曲「鬼子母神」~膾
5. 組曲「鬼子母神」~鬼拵ノ唄
6. 組曲「鬼子母神」~鬼子母人
7. 組曲「鬼子母神」~怨讐の果て
8. 組曲「鬼子母神」~径
9. 組曲「鬼子母神」~紅涙
10. 組曲「鬼子母神」~鬼哭
11. 百の鬼が夜を行く
12. 甲賀忍法帖
13. 鬼斬忍法帖
14. 舞頚
15. 月に叢雲花に風
16. 蒼き独眼
17. 火車の轍
18. 生きることとみつけたり
-encore 1
SE 序曲
19. 魔王
20. 卍
21. おらびなはい
-encore 2
22. 喰らいあう
-encore 3
23. 羅刹
24. 悪路王

<セットリスト:9日>
SE 焔之鳥
1. 鳳翼天翔
2. ひょうすべ
3. 妖花忍法帖
4. 癲狂院狂人廓
5. がしゃ髑髏
6. 煌
7. 塗り壁
8. 彷徨える
9. 組曲「鬼子母神」~鬼拵ノ唄
10. 組曲「鬼子母神」~膾
11. 組曲「鬼子母神」~鬼子母人
12. 孔雀忍法帖
13. わいら
14. 蒼き独眼
15. 組曲「義経」~悪忌判官
16. 甲賀忍法帖
17. 亥の子唄
-encore 1
18. 羅刹
19. 骸
20. がいながてや
-encore 2
21. 悪路王
-encore 3
22. 火車の轍
23. 喰らいあう
-encore 4
24. 生きることとみつけたり
-encore 5
25. 鬼斬忍法帖
-encore 6
26. おらびなはい

◆陰陽座 オフィシャルサイト
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