かつてアイドルは、生演奏のフルバンドをバックに一生懸命歌う“歌手”だった

ツイート
昨今アイドルといって思い浮かぶのは、AKB48やその姉妹グループ、ももいろクローバーZなど、打ち込み主体の音楽で歌い踊るグループだろう。この特徴は、今から15年ほど前にデビューしたモーニング娘。以降と言える流れで生まれてきたスタイルである。

◆『ディスク・コレクション日本の女性アイドル』画像

ここで時計をググッと巻き戻してみると、かつてアイドルは、生演奏のフルバンドをバックに、ひとりで少女の青春を時に甘く切なく、時に明るく楽しく表現した歌謡曲と呼ばれるジャンルの歌を、決して上手ではなくてもキュートな振り付けで一生懸命歌う“歌手”だった。

アイドル発掘番組『スター誕生』から放課後バラエティ『夕焼けニャンニャン』の残り香に至るまで、つまり1970年代から1990年代初頭までという時期は、そういった「昭和のアイドル」の時代だった。南沙織や天地真理に始まり、山口百恵や桜田淳子、キャンディーズ、ピンク・レディー、松田聖子、中森明菜といったメジャーどころから、シングル一枚で消えていったあの子まで…。

そこで書籍『ディスク・コレクション日本の女性アイドル』である。1990年代に不遇の時代を迎える前のアイドル歌手黄金時代を、500枚を越えるレコードで総覧したこれまでになかったディスク・ガイド本である。これだけアイドルを音楽本位で語った本はこれまでには例のないものではないか。

オリジナル・アルバムやコンピレーション(アイドルはシングル主体)のレビューの他にも、アイドルの洋楽カヴァー事情、ジャケ違いシングル紹介など読み物も充実、多角的にアイドル文化を検証している。楽しく懐かしくも読み応えたっぷりな一冊だ。掲載されているアイドルたちと同じ時間を生きた人にはもちろん、当時のアイドル事情や背景に興味がある現代の若者にも目を通してみてほしい一冊となっている。

『ディスク・コレクション日本の女性アイドル』
2012年9月26日発売
監修:大久達朗
判型:A5
頁数:176ページ
本体価格:2,100円(税込み定価2,205円)
初恋だったカノジョの歌声は、今も忘れられない──。ますますの充実振りが好評なオールカラーのディスク・コレクション・シリーズに、何と『日本の女性アイドル』が登場。伝説のオーディション番組『スター誕生!』世代から、メディア戦略の申し子ともいえるおニャン子世代まで、日本中を笑顔と歌声で魅了した多岐にわたる女性アイドル達を一挙に紹介。また人知れずひっそりとフェイドアウトしていったマニアックなシングル・オンリーのアイドル達もフォロー。合計500枚以上のディスクから、その魅力に今こそ改めて迫る。
●主な掲載アーティスト:浅丘めぐみ、浅香唯、天地真理、石川秀美、石野真子、伊藤つかさ、岩崎宏美、太田裕美、岡田有希子、荻野目洋子、おニャン子クラブ、河合その子、キャンディーズ、小泉今日子、斉藤由貴、桜田淳子、東京パフォーマンスドール、中森明菜、中山美穂、早見優、原田知世、ピンク・レディー、本田美奈子、堀ちえみ、松田聖子、松本伊代、南沙織、森高千里、薬師丸ひろ子、山口百恵、芳本美代子、渡辺満里奈 etc.

◆BARKSかわいこちゃんねる
この記事をツイート

この記事の関連情報