チャラン・ポ・ランタン【インタビュー】予定調和の音楽にはない破壊力と怨念を紡ぐ唄とアコーディオンの姉妹ユニット

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■私の曲はももさんには全然共感してもらえないんだよねー(小春)
■だって、共感したら唄えなくなっちゃいそうだから(もも)

◆チャラン・ポ・ランタン~拡大画像~

――で、ようやく本題なんですけど。アルバム『つがいの歯車』がリリースされまして。ミュージカルのようですね。それぞれの物語もあるけど、一つのストーリーのようでもあって。「人生のパレード」「三人の男」「潮時」など、共感しますね。聴く人は選ぶかもしれないけど、ハマッたら抜け出せないような世界観。言ってることは明確ですし。こういうのは実体験なの?

小春:だいたいそうだね。まぁでも、「空中ブランコ乗りのマリー」のようにお話を考えるように作る曲もあるけど、だいたい本当の話。「潮時」なんてめっちゃ実体験なんで。そういう方が生々しくていいかなって。それを好きじゃない人もいると思うんだけど、私はこういうタイプなの。

――異世界に連れていってくれる感覚と、共感する感覚が同居していて、実に不思議ですよ。

小春:私たちはこれが自然なのでなんとも言えない。「潮時」で、彼氏と別れたときの手切れ金の57万円っていう数字を出したのは狙ってるけど(笑)。出さなくてもっていう感じはあったけど。できたときに「はぁ~、作っちゃった」って感じだったね。

もも:「潮時」ができる前から、小春がお世話になった男性(ひと)たちの曲はあったんですが、「潮時」の人と色々あり、「あぁ、これは近々(彼の)曲ができるなぁ」と思っていて。で、小春から曲をもらったときに「あぁ、ついにできてしまった」と。

小春:誰も止めなかったよね。お母さんですら「あぁ~」って感じで。最初は「手切れ金」っていう題名にしようと思ったんだけど、「手切れ金はリアルだから“潮時”にしなよ」ってお母さんに言われて(笑)。大丈夫かなぁ、このお母さんって思いつつ、結局、「潮時」にしたんだよね。

――もしかして、「三人の男」に出てくる男性の誰かと、「潮時」の男性はかぶっていたりするんですか?

小春:もちろん(笑)。あえて言わないでおくけど。あの時期は色んなことが波のように起きていたから、色んな曲ができたんだよ。

――アルバム全体としてのイメージはどう考えてたの?

小春:生まれて死にたかった……みたいな感じかな。この8曲で一つの舞台みたいな。

――廻っていくような作りですよね。輪廻のように。タイトルも歯車だし。

小春:そうそう、そうかも。ループして聴いてほしかった。

――人生のようだ。共感しますよ。

小春:でもね、ももさんには全然共感してもらえないんだよねー。

もも:だって、共感したら唄えなくなっちゃいそうだから。

小春:まぁ確かに、念を込めて唄われてもね。私が唄えるタイプじゃなくて良かったと思うね。特に「潮時」なんて生々しくなっちゃうし。そんな押し付けがましいものを聴かされてもね。妙なリアル感いやじゃない?

――確かに。ももちゃんは曲に入り込まないようにしてるの?

小春:別の自分みたいな感じじゃない?

もも:うん。

小春:ステージに立ってる時点でも、「もも」っていう別の人。小春の場合は、プライベートの小春が出ちゃうような感じなんで。

もも:普段の私っていうのは唄っていく上ではあんまり必要ないかなぁと。

小春:あんまり面白くないもんね?

もも:うん。あんまり……。

――でも確かに、今こうしてしゃべってるももちゃんは、このアルバムで唄ってるキャラクターとは違う人。

小春:そうなの。今ね、ネックがそこなの!

もも:私は舞台以外で口を開くと気が抜けちゃうんですよ。しゃべると全然ダメなんです。

――それでこの表現力!?

もも:たははは(笑)。デモをもらうと小春のちょっとした弾き語りが入ってるんですよ。歌詞と小春の唄を聴いて、小説を読んでいるような感じで、スーっと入ってポンっていけるんです。お話の中にいる一人の人みたいなのを想像できて、この曲をこう唄いたいみたいなのが出てくるんですよ。もともと唄い始めは何もない状態だったから、一曲ずつ、小春がすごく細かいディレクションをしてくれてたんです。

小春:そう。ここは舌を巻いてとか、ここは、あに「゛」みたいな感じで唄ってとか。設計図を書きまくりで。今はそういうことも必要なくなったけど。時間が経ったねぇ。

もも:私、唄い始めて3年以上経ったねぇ。

小春:ももって結構、歌詞の意味をわかんないで唄ってるところもあると思うんだけど、それでいいと思うんだよね。変に意味を付けて欲しくないというか。ももは心を込めて絵本を読み聞かせしてほしいみたいな。

――語り部なんだ。

もも:だからそこに普段のももは必要ないというか。

――ももちゃんの唄を今度はぜひライヴで聴いてみたいですよね。

小春:このCDで世界を膨らませてライヴに来てみて。きっとちょっと違う印象になると思う。

――チャラン・ポ・ランタンはどこへ向うの?

小春:どこへ向いましょう? 今生活している中での一部を切り取ったようなものなので。生きてりゃ何か変わったりするかもしれない。でも作ったところで脳みその根本は同じなので、根本は変わらないと思うんだけど。リア充みたいなのはなさそうだねー(笑)。♪あなたの子供を産みたい~/見えない薬指の指輪~/今日から料理を頑張るよ~(いきなり即興で唄う)。

――そういうのアリ?

小春:ギャグで一曲くらい作ることはあるかもしれないけど、私、どういう嬉しい状況にあっても、絶対にこれには終わりがあるって考えが頭の隅っこにあるの。唄にもかなりそれが出まくりなんで。だからたぶん無いかもね~(笑)。

取材・文●大橋美貴子



<『ZEPP!STEP!SMA!』@OSAKA>
11月7日(水)Zepp Namba
※チャラン・ポ・ランタンは開場中アクトとして17:30~18:30のどこかに登場

<チャラン・ポ・ランタン ワンマンライヴ『崩壊寸前ライヴ』>
11月11日(日) 渋谷 七面鳥
<出演>チャラン・ポ・ランタンと崩壊寸前バンド
<時間>開場18:30 / 開演19:30
<チケット>前売り\3,000 / 当日\3,500 +1drink \500
チケットはコチラから→http://www.7mentyo.com/

『つがいの歯車』
LNCM-1004 \1,680(tax in)
」1. 歯車 -a cappella-
2. 人生のパレード -haguruma mix-
3. 三人の男
4. 見えない首輪
5. おしまい
6. 潮時
7. 空中ブランコ乗りのマリー
8. 歯車 -a ccordion-

<12月26日、何と前作から3ヶ月で、ニューアルバム発売決定!>
ヴォーカル“もも”の二十歳カウントダウン3部作 第2弾のタイトルは「たがいの鍵穴」
2012年12月26日(水)発売 「たがいの鍵穴」
●収録曲
1.たがいの鍵穴 -a cappella-
2.サイテーな女
3.雪解け 
4.墓場までご一緒に
5.恋は盲目
6.最期の準特急
7.旅立ちの唄
8.たがいの鍵穴 -a ccordion- 
全8曲収録 今作もデジパック仕様
LNCM-1019  ¥1,680(tax in)
◆HMV ONLINE
◆TOWER RECORDS ONLINE

◆チャラン・ポ・ランタン オフィシャルサイト
◆チャラン・ポ・ランタン、レコ発ライヴで超満員の観客が狂喜乱舞
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