LOVE PSYCHEDELICO【インタビュー】今あなたがいる場所がどんな状況であれ見つけていかなきゃいけないビューティフル・ワールド

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アルバムはだいたい2〜3年おきで、シングルは年に1枚。のんびりとしたマイペースに映るLOVE PSYCHEDELICOの活動ぶりだが、今日も二人はプライベート・スタジオで曲作りを積み重ねており、音楽と生活が結びついたきわめて濃密な日々を送っているのだということを、あらためて紹介しておこう。その最新の成果が1年3か月ぶりとなるニューシングル「Beautiful World/Happy Xmas(War Is Over)」で、映画『任侠ヘルパー』主題歌となった新曲と、ジョン・レノン&ヨーコ・オノの名曲カバーを収めたダブルAサイドシングルだ。今の時代にどんな歌を歌うべきか、音楽家としてのポジティブなメッセージをこめた新曲について、地下のスタジオから出てきてもらい、気持ちのよい陽のあたる昼下がりのオフィスで話を聞いた。

■「Beautiful World」が良い曲だと思えるのは
■自分たちがやった曲じゃないような感覚を持ったから

──このところ、リリースはゆったりペースですね。

KUMI:1年ぶりだもんね。

──このくらいがちょうどいいんですか。

KUMI:これでいいと思ってるわけじゃないんだけど(笑)。もっと速くてもいいなって実は思ってるんだけど、なんだろうね?

NAOKI:しかも『ABBOT KINNEY』以降のシングルは全部、先方からのオファーがあって作ったものだし。

──じゃあ、オファーがなかったら何も出してなかったかもしれない?

NAOKI:かもね(笑)。ただ去年の「It's You」にしても、今回の「Beautiful World」にしても、曲はずっと作っているので、オファーがあった時に曲は必ずあるんですよ。今回も『任侠ヘルパー』の監督からのオファーがあって、この曲をちょうど作りかけていた時だったので、聴かせたら気に入ってもらえたという感じだったよね。

──もともと、どんなイメージで作り始めた曲なんですか。

KUMI:「Beautiful World」も「It's You」もそうなんだけど、2011年の震災の直後に作った曲。“何か音楽でやらなきゃ”という時に。

NAOKI:最初の衝動でほとんど作っちゃったよね。

KUMI:だから曲自体はけっこう前からあって、完成させたのが今年に入ってから。

NAOKI:でも完成させたのは最近だけど、歌は一番最初に歌ったものなんだよね。

KUMI:いつも歌詞の乗り具合を確かめるために仮歌を歌って、本番ではちゃんと録り直すんだけど。そのあとどう歌っても、この感じにならないの。この曲にはこの歌がすごい良かったんだよね。これを超える歌が歌えなかった。

NAOKI:思い、みたいなものかな。

KUMI:なのかな? 仮歌の時に、特に思いをこめたわけではないんだけど。その時の空気みたいなものが入っていたのかな。

──いい意味でラフというか、軽やかというか、親密というか。

KUMI:そうなんだよね。重くなりすぎず、かといって「頑張ろうよ!」みたいなテンションもヘンだし。何とも言えないバランスが、この歌はすごくうまくいってると思う。

──そういうこと、時々あるんですか。

KUMI:初めて。自分のクオリティとして、“この歌じゃなきゃ駄目”ということはないと思ってたから。いつでもその時なりの歌が歌えるし、そういう楽曲だと思ってるし、“これじゃなきゃ”というのはないと思ってたんだけど。この曲に関しては“どうしてもこれじゃないと”というのがあった。初めてだったね。

──イントロの、マンドリンがすごくいい味を出してます。

NAOKI:そのへんはKUMIがやってる。マンドリン、シェイカー、ボンゴがKUMIで、エレキギターとベースが僕で。アコギも僕だっけ?

KUMI:たぶん。

NAOKI:サウンドは、『ABBOT KINNEY』以降という話になるけれども、一度ルーツ・ミュージックを探求することができたので、自分たちのルーツの呪縛からも解き放たれたから、わりと気楽だったんです。音源モジュールや打ち込みの音は一切使わないで、たとえばスネアの“カッ!”という音ひとつとってもちゃんとマイクを立てて、空気を通った音を拾って、それを加工する。そういうことには気をつけたけど、とりたててそこを頑張りましたという曲でもないし、サウンドはそんなに凝ってないというか、普通にやったつもり。ただプレイはすごい気をつけたかな。温度は低いけど情熱的な感じというか、あまり冷めない感じというか、そういうところは気をつけた。それとね、なんか最近、これはいい曲だなと思ってるんですよ。

──最近気づいたんですか(笑)。すごくいい曲だと思いますよ。

NAOKI:何年に一度くらいしかないんだけど、自分が弾いたギターじゃないような気がしたり、自分たちがやった曲じゃないような気がすることがあって。そういう感覚を持つ時って、いい曲なんだよね。自分がやっていようがいまいが、そんなのどっちでもいいみたいな。たとえばラジオでかかった時に、“あのシンプルで印象的なリフが聴こえてきた”という事実だけが自分に飛び込んでくる時が、何年に一度かあるんですよ。それをこの曲でまた味わえたのが良かったと思う。

──映画はもう、見られてるんでしたっけ。

NAOKI:うん。映画自体もすごく面白かった。実際ストーリーをちゃんと知ったのは、試写会で見た時だったんだけど。

KUMI:曲ともすごいマッチしてたし、似た世界観を持ってた。あたかもそれを知って書いたかのような感じだったから。

NAOKI:タイアップというよりは、コラボレーションに近い感じだったよね。

◆インタビュー続きへ

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